冬用の登山靴もしまっちゃいたい!
編:靴のケアって、冬用のものだと何か特別なケアはあったりするんですか?
荒井さん:そうですね……汚れがついている状況が靴にとってはよくないので、まずはしっかり汚れを落としてあげることが大事です。その点で言うと、こういったケアは冬に限らず通年行ってあげるべきお手入れと言えますね。
ただ、冬の特徴といえばアイゼンをつけて雪の上を歩くシーンが多いかと思うので、夏ほど泥だらけになったり、そこまで汚くなるようなことは少ないかもしれません。
靴のケアはブラシ→水→洗剤の3段階
荒井さん:じゃあ実際に帰ってきて行うお手入れなんですが、まずできたら紐を全部抜いて頂いて、…これ、ちょっと面倒くさいんですけど。
編:確かに……。帰ってきたら、すぐ寝たいですよね……。
荒井さん:はい。(笑)ただ、このタンの部分やすき間にも汚れが蓄積しているので、まずは紐を抜いて濡れた部分、泥が付いた部分を乾かしてあげてください。
荒井さん:乾いたら、こういった靴用ブラシで磨いてあげてください。毛が柔らかすぎるものだとあんまり汚れが落ちないので、豚毛のものがおすすめです。
先ほども言ったように、冬靴ってそこまで汚れないので、軽くブラシでこするだけでもだいぶ汚れは落ちてくれます。ただ、これが春先などのぐちゃぐちゃな登山道を歩いてくると……
編:そう! 泥って本当に取れないですよね。取ったと思っても、また白~く浮いてきて……
荒井さん:はい。どうしても革素材とかは染み込んじゃうんですよね。ブラシで落としきれない汚れは、少し水を付けてブラシでこすってあげてください。それでも乾かして残ってる場合は、例えばグランジャーズなんかを使いましょう。
荒井さん:これ、ウェアや靴など全部に使える洗剤なんですが、汚れてる箇所にかけて、いらない歯ブラシとか毛先の柔らかいもので磨いてあげてください。少し時間が経つと、汚れが浮き上がってきます。それを拭いてから、サーッと水で洗い流してください。染み込んだ汚れ以外は大体落ちますよ。
ソールは金属ブラシでOK!
荒井さん:アッパーの部分は傷つけないように豚毛ブラシをおすすめしますが、逆にソールの隙間に詰まった泥なんかは金属ブラシでダーッと落としちゃって大丈夫です。
編:え! 金属ブラシ、使っていいんですね!
荒井さん:はい。ソールはゴムなので丈夫ですし、固めの金属ブラシで一気に汚れを落としちゃうと楽ちんです。
靴は箱に入れない
編:保管はどういう形で行えばいいでしょうか?
荒井さん:靴の中って汗をかくので、そのままだとにおいがしてきちゃうんですよね。やはり乾かすことと、除菌スプレーのようなものをかけてあげて、保管時はソールを外して立てて保管するのがいいですよ。あ、その前に、靴の表面に撥水スプレーをするのを忘れずに! この撥水スプレーは、長期保管前のみではなくできれば毎回やってあげるのが理想です。
編:その靴って、家の玄関とか下駄箱がいいんですか? 綺麗にしたら買った時に入っていた靴の箱に入れて、クローゼットにしまっちゃいたいんですが……。
荒井さん:靴の箱に入れるのはNGです! 箱って、湿度が高くて靴にはよくないんですよ。できれば風通しのいい場所や、下駄箱なんかで保管してあげてください。
ポイント!
①靴紐は全部抜く
②豚毛のブラシで汚れを落とす、頑固な汚れには水をつけてこする
③それでもダメなら洗剤を使う。乾いたら撥水スプレーを
④ソールは立てて、靴箱に入れずに下駄箱や玄関で補完!
しっかりケアして、また来年の冬に会おうね!
ギアのメンテナンス、さらには保管の仕方って、わかっているようでよくわかっていないことが意外と多いですよね。冬用のギアは、もしかしたら1年のうちで出番が少ない方が多いのではないでしょうか? それでも、冬の厳しい山で命を守ってくれるギアであることには間違いありません。しっかりケアをして正しく保管すれば、来シーズンもきっと素晴らしい山行の相棒になってくれます。その時のためにも、今回ご紹介した方法をぜひ参考にしてみてくださいね!
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