いま再び注目!自然な歩き方を取り戻す「ベアフットシューズ」

撮影:筆者
登山やトレイルランニングでは、安定性やクッション性を高めたシューズがいまや定番化。しかし、その真逆の考え方として、薄底で地面をダイレクトに感じられるベアフットシューズが再び注目を集めています。
クッション性の強いシューズでは失われがちな感覚を取り戻すことで、足の細かな筋肉や腱が働きやすくなり、自然な姿勢や動作につながるためです。
ベアフットシューズの3つの特徴

撮影:筆者
ベアフットシューズは、かかととつま先に高低差のないゼロドロップ構造と、薄くて柔軟なソールが特徴。足指を自由に動かせる上、地面の感覚を足裏でダイレクトに受け取れます。
ベアフットシューズの3つの特徴
1.ナチュラルフィット:自由な指先
つま先にゆとりのあるデザイン。足指を自由に動かせるので、バランスをとって踏ん張りやすい。
2.ナチュラルフィール:ゼロドロップ&極薄のソール構造
かかととつま先に高低差がなくフラットで、ソールも極薄。素足のような自然な姿勢を促し、地面の情報もダイレクトに感じられる。
3.ナチュラルモーション:柔軟性
足を固めない高い柔軟性。足の自然な動きを引き出し、足本来のクッション性を活かせる。
体にいいはずなのに、痛みが出るのはなぜ?

出典:PIXTA
ライター大堀
体にいいと聞いて試しに履いて歩いてみたところ、足裏が痛くなったり、ふくらはぎの筋肉が張ったり、足が疲れやすくなったりしました。僕の足には合わなかったのかな……。
筆者と同じような経験をして、ベアフットシューズを敬遠してしまっている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ベアフットシューズの人気ブランド「ゼロシューズ」を担当し、EBFA(Evidence Based Fitness Academy)公認のベアフットトレーニングスペシャリスト資格を持つ面川さんにお話を伺いました。
履き初めに足が痛くなるのは、自然なこと

撮影:YAMA HACK編集部
ゼロシューズ 面川さん
履きはじめに足裏やふくらはぎが痛くなるのは、普段使っていなかった筋肉や腱がようやく働きはじめた証拠。
これは、サポート力の高いシューズが代わりに担っていた機能を、足自身が引き受けるようになった自然な反応なんです。
着地の衝撃を吸収したり、横ブレを抑えたりするのは、足が本来持っている機能。しかし、現代のスニーカーや登山靴は、サポート力が高すぎるといいます。
クッション性や安定感が高い靴ばかりを履いていると、そのサポートに無意識に頼って衰えていた筋肉や腱、関節に痛みが出ることもあるそうです。
ゆっくり慣らすと、体が応えてくれる

出典:PIXTA(サポート性の高い現代のシューズ)
ゼロシューズ 面川さん
現代の高機能な靴は、いわばギプスのようなもので、足を守るために固めすぎています。骨折した腕からギプスを外した直後は、徐々にリハビリして動かす必要がありますよね。
ベアフットシューズも同じで、リハビリするように時間をかけて少しずつ履きならしていけば、体は自然に応えてくれます。
体を動かすのが楽しくなる!ベアフットシューズのメリット
だんだんとベアフットシューズの特性がわかってきました。では、履き続けるとどんなメリットがあるのでしょうか?
面川さんによると、それまで気づかなかった足裏の感覚がよみがえり、その結果「歩く」「走る」といった日常の動きそのものが軽やかになって、体を動かすのが楽しくなるといいます。
人間本来の自然な歩き方に

撮影:YAMA HACK編集部
自然な姿勢で地面を感じることで、足本来の2つの重要な機能を取り戻せます。
筋肉や腱、関節が正しく機能
まず、足にある筋肉や腱、関節をすべて正しく使えるようになります。足指が自由に使えるようになると、体全体の動きが正しく連動し、疲労や足腰の痛みなどが軽減する可能性も。
足裏のセンサーが活性化
足裏が地面の情報をつかみやすくなることで、地面の状態に合わせて必要な筋肉を瞬時に反応させ、歩行が安定します。地面の傾斜や凸凹などの細かな情報を脳に伝達するセンサー(メカノレセプター)が、活性化するためです。
ゼロシューズ 面川さん
登山中に転倒しそうになっても、本来の足の機能やセンサーが働いていれば、頭で考える前に体が反応し、転ばずにすむこともあります。
歩くこと自体が楽しくなる

出典:PIXTA
ゼロシューズ 面川さん
ベアフットシューズを履くと、足裏感覚や筋力が向上して身体機能が「ベースアップ」するんですよ。
身体機能がベースアップすると、歩きに余裕が生まれ、周りの風景に目が向くようになったり、より遠くまで行けるようになったりする可能性も。
正しく体を動かせると、歩くこと自体が楽しくなります。