【初めての寝袋選び】最初の1本、決めるポイントは? ICIの人に聞いてきた

いよいよテント泊デビュー!という方が準備する道具のうちの1つ・寝袋。山で泊まる時の寝袋、まず最初の1本はどのように選べばいいのでしょうか? 今回は山道具のスペシャリストに、アレコレ聞いてきましたよ。最初に心得ておくべきポイントや、メーカーごとの特徴なんかを大公開しちゃいます!初めての寝袋選びの参考にしてみてくださいね。

この夏、テント泊デビューしたい!どの寝袋がいいの?

白馬岳のテント場
出典:PIXTA
「今年の夏は、憧れのテント泊デビュー!」 そんな登山者が準備しなくてはいけないのは、今までザックに詰めていなかった『衣・食・住』の『住』の部分。テントは山でのお家、そして大事な寝床はズバリ!寝袋です。

▼初めてのテントの選び方はこちら!

数ある種類の寝袋から、いったいどのような基準で何を選べばいいんでしょうか? 今回は寝袋のスペシャリスト、石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さんに、夏にテント泊デビューする際の寝袋の選び方についてお話を伺ってきました。

石井山専新宿東口ビックロ店増田さん
撮影:YAMA HACK編集部(石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さん)
編集部(以下:編):今日はよろしくお願いします! 早速なんですが、この夏初めてテント泊デビューを計画している人にとって、いったいどの寝袋をどうやって選べばいいのか、ポイントをお伺いしたいのですが…。

増田さん:はい! まずは寝袋って『山で使うお布団』なので、普段家で使ってる掛布団をイメージしてみてください。寝袋とマットは1セットで考えるんですが、マット=ベッドとか敷布団寝袋=掛布団に置き換えられます。

ちょっと待って! ほんとに“夏山”だけ?

夏の昼寝
出典:PIXTA
編:なるほど! 家だと、夏はブランケット1枚とかで寝たりするから…そのぶん薄めの寝袋になるということですね。

増田さん:いえ、「夏山に行くから夏用の寝袋を」という考えは、ちょっと待ってほしいんです。テント泊を始めたら、もしかしたら春の山や紅葉を見に秋の山へも行くかもしれませんよね。

編:あ、そっか…。その先のことをまったく考えていませんでした!

石井山専の寝袋売り場
撮影:YAMA HACK編集部
増田さん:夏の温度に合わせて寝袋を選んじゃうと、もしかしたら寒いというケースが出てきます。“自分がどの時期まで行きたいか”を最初に考えておきましょう。雪山はやはり別物として考えなくてはいけないので、雪山以外の春・夏・秋のシーズンで、一番寒いところにあわせる必要があるんです。

その上で、暑がりか寒がりか、も重要なポイントですね。人によって暑がりか寒がりかは異なるので、寒がりな人はもちろんあったかめの寝袋を選んだ方がいいです。暑い分には、ジッパーを開けたり、上から掛けたり色々対応ができるんですよ。

編:そっか、別に入んなくてもいいんですね。

増田さん:そう。でも夏用のものを買ったけど寒かったな…となると、もう1本必要になる。でも夏用と秋用2本持ってても、温度域はすごく似てるのでもったいないんですよ。

イスカの寝袋対応表
撮影:YAMA HACK編集部(店内にあった寝袋メーカー・イスカの寝袋と温度対応表。行く山の参考になる)
編:なるほど…できるだけ少ない本数で幅広いシーズンをカバー出来た方が、確かにお金もかからないし嬉しい。(笑)

増田さん:だから『自分が行く山の寒いところ』に合わせたほうがいいんです。夏山に行くから寝袋を買う、ではなくテント泊をするから寝袋を買う、という考え方が正しいですね。

最初に買うなら3シーズンがおすすめ

サマーシーズン寝袋注意書き
撮影:YAMA HACK編集部(店頭の夏用寝袋の案内)
編:じゃあ、例えばこれから秋の紅葉時期にテント泊もしたいかも…と思ったら、最初に買うのって夏用のものじゃない方がいいんでしょうか?

増田さん:そうですね。例えば紅葉が有名な秋の涸沢で、紅葉してるけどチラチラ雪が降っていたり霜が降りていたり…、そういう場合って外気温はだいたい0度近くまで下がってくるんです。そんな時に当店で「サマーシーズン用」と謳っているものだと、着込めば0℃まで大丈夫ですが基本が0℃以上の設定なので、寒がりの方は結構寒く感じます。そういう時は3シーズン用のものがおすすめです。

スリーシーズンの寝袋注意書き
撮影:YAMA HACK編集部(アルプスなどの3,000m級の山へ行く予定があるなら、こちらを選んだほうが無難そう)
0℃くらいまでは薄着でも快適で、着込んで寝袋に入れば-6℃くらいまでは大丈夫なものがこの3シーズン用。これを1本持っておくと便利ですよ。山の秋は平地の冬なので、冬に家でどれくらいの布団をかけているかを考えてもらうと、選ぶ時にイメージしやすいかと思います。

メーカーによってどんな特徴があるの?

寝袋売り場
撮影:YAMA HACK編集部
編:では、3シーズンの寝袋にしよう!と決まったところで、次は実際にどれを選べばいいのか…というところだと思うんですが。いくつかブランドがあると思うんですけど、何かメーカーの特徴などあるんでしょうか?

増田さん:どうしても登山の寝袋は、足元に向けて細くなっているマミー型という形が一般的なので、結構タイトなんです。そうすると、窮屈感が苦手だなぁと感じる人は、ストレッチが効いたモンベルの寝袋なんかだと、寝返りをうつときに足が少し動かせたりします。

編:へぇ! 私寝相よくないのでよさそうです。(笑)

モンベル寝袋
撮影:YAMA HACK編集部
増田さん:ダウンハガーというモデルなんですが、生地に少しゆとりを持たせていて、縫い目の所にストレッチが入ってます。横にもナナメにも伸びてくれますよ。ただ、寝袋って自分の熱を中に留めて暖かさをキープするので、動きすぎると…

編:空気が逃げちゃう!

増田さん:はい。あくまで、窮屈感が得意でない方はこういった選択肢がある、ということですね。

モンベルの寝袋
撮影:YAMA HACK編集部(モンベルの寝袋はストレッチ抜群)


ナンガの寝袋
撮影:YAMA HACK編集部
編:こちらのナンガはどうでしょうか。

増田さん:ナンガの他にない特徴としては、防水の寝袋があったり羽毛自体に撥水性があったり、素材自体に工夫を凝らしている点ですね。例えば長期間山に入るので、シュラフカバーの重さを減らしたい!という方なんかはおすすめ。あとは積極的にツェルト泊をする方なんかにもおすすめです。

編:へぇ~…ちょっと今のお話だけ聞くと、上級者向けなのかなという印象を受けます。

増田さん:自分の行きたい山、自分のやりたい登山スタイルがはっきりしている方なんかはいいかもしれませんね。靴なんかも一緒で、あるルートをトレランシューズで行くのかハイキングシューズで行くのか。それくらいの違いだと思います。

イスカの寝袋
撮影:YAMA HACK編集部
編:では、このイスカは?

増田さん:暖かさ、という点ではイスカでしょうか。イスカは寝袋専門メーカーなんですが、少しタイトめなので熱も逃げにくく、寒がりの方の定番で王道、という感じですね。

寝袋ひかく
撮影:YAMA HACK編集部
編:これ、同じ3シーズンのものですけど、280と450って数字が違いますよね。これは、羽毛の量?

増田さん:まさしく。羽毛の量の違いです。これは標高の違いで考えてください。例えば450はアルプスとか標高の高いところで使う3シーズン。280は夏の北海道ツーリングとか、そこまで標高の高くないところで使うことを想定しています。

大体アルプスなどを目指す登山者の方が使う3シーズンは、羽毛量が400~500g以上くらいのものを目安に選ぶといいと思います。

ここで注意! 避難小屋って意外と寒い

避難小屋
出典:PIXTA(大休峠避難小屋)
編:じゃあ低山の場合は、280でもいいんですね。

増田さん:はい、ただ1つ注意してほしいのが、避難小屋に泊まる時。テントより避難小屋の方が、結構寒いんですよ。

編:ほう…? といいますと?

増田さん:テントって小さい空間に人が入るので、自分の出す熱や呼吸で空間が暖まりやすいんです。でも避難小屋って広々としてるので、意外と寒いんですよ。

編:は~なるほど! それは盲点というか何というか。

増田さん:なので、登山計画を立てるとき、そんなことを頭の片隅に置いといて頂くと装備の準備も変わってくるかもしれませんね。

快適な山時間は、快適なお布団で

寝袋選び
撮影:YAMA HACK編集部
初めて寝袋を選ぶ時のポイントをお伺いしてきました。要点をまとめると、

・本当に夏だけ? そのうち自分が行きたい時期の事も考える
・春、夏、秋のシーズンで一番寒いところにあわせる
・最初に買うなら3シーズンがおすすめ

以上がポイント。また、各メーカーごとに特徴や自分にとってのメリット・デメリットがあるので、詳しくは実際にお店に足を運んでみて、行く予定の山を含めて店員の方に相談してみるのが一番です。

質の良い睡眠は、翌日のパフォーマンスにも影響します。自分にぴったりの寝袋でぐっすり眠れたら、山歩きも爽快になるはず! じっくり焦らず、『山のお布団』を選んでみてくださいね。

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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