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この季節、山へ行くなら気を付けたい“虫”

山であいたくない虫、どんな種類がいる?対処法は?

1:刺されると猛烈にかゆいヤブ蚊、ブヨ(ブユ)

「ブヨは小さい虫なので、刺された時には気がつかないこともありますが、数時間経って大きく腫れ上がることがあります。山菜採りなんかに行って藪の中に入ったりするとたくさんいて、私も刺された経験が何度かありますね。ヤブ蚊、ブヨに刺されたら、毒を吸い出す器具『ポイズンリムーバー』を使用することで症状の軽減が期待できます。ただしポイズンリムーバーは刺された直後が効果的。刺されたことに気づかず、時間が経ってしまうと効果が薄いと考えられます。その場合はすぐに市販の抗ヒスタミン軟膏を塗っておくのも効果的だと思います」(栗田さん、以下同)
2:刺されると痛い!命の危険もあるハチ・アブ

「ハチに出くわしたら、手で払ったりすると攻撃してくるので、じっと通り過ぎるのを待つのが得策。一方アブは、振り払ってでも避けないと刺されます。ハチは防御のために刺しますが、アブは食事のために刺すのでハチよりも積極的に刺してきます。ハチの場合、グループで登山している時に、誰か1人が攻撃してしまうと、周囲の人にも被害が及ぶので、遭遇した場合の行動を事前に共有しておきましょう」(同)

「ハチは、過去に刺されたことがあるとアレルギー症状が出やすくなる傾向があります。息苦しさや、刺されたところ以外の蕁麻疹などの症状が出る場合は、急いで病院へ行かないと命にかかわる場合があります」(同)
ハチの中でも、オオスズメバチやクロスズメバチ(通称:ジバチ)は、山で注意したいハチです。この2種類は地面の下に巣を作る習性があるため、外から巣が見えないので、気が付いたら巣の近くにいて刺されるという事故が起こりやすいハチです。
3:むやみに取り除くのも危険なマダニ

「マダニは口の部分を人間の皮膚に埋め込み血を吸います。私も実際に足を刺されたことがありますが、痛みが全くないため気がつかず、帰宅後にお風呂に入って初めて気づき、ゴミかなと思って払ったらマダニでした」(同)

「私が噛まれたときのように、自分で取ろうとすると、マダニの体の一部が体内に残ってしまうことがあります。自己処理はせず、マダニがついたまま、ただちに受診しましょう」(同)
すぐにでも取りたくなりますが、医師も虫の種類や状態が一目で分かり、治療がスムーズに行いやすいのだそうです。あるいは、ダニの除去器具『ティックツウィーザー』というものもあります。事前に練習しておいて、確実に除去できるようになればこちらを使用するのも効果的。
4:知らないうちに被害にあう毛虫

「毛虫に刺されたら、ガムテープやセロハンテープを使って、見えない毛針をペタペタと取り除きます。もしテープが無い場合は、絆創膏やテーピング用のテープなど粘着性のあるものなら代用がきくでしょう。取り除いたら水で患部を洗い流し、症状がひどいようなら病院への受診をおすすめします」(同)
5:水辺では気をつけたいヒル

「私自身も、田んぼの中でヒルに咬まれたことがあります。(※おそらく水棲のチスイビル。ヤマビルは陸棲)ヒルは見た目が強烈なのと、噛まれたところが血だらけになるのでびっくりしますが、ヒルそのものには毒はありません。咬まれた場合は、患部を洗い流し、軽く圧迫して血が止まるのを待ちましょう。ヒルがくっついていたら、ライターなどで火を近づけると逃げやすくなりますが、火傷をしないよう注意が必要です。塩か虫除けスプレーを使用しても取ることができます」(同)
6:田舎では家の中に出没することもあるムカデ

「ムカデについては、私はまだ刺されたことはないのですが、登山の休憩中に、シャツを脱いで置いておいたら、その中にムカデが紛れ込み、知らずに着てしまって刺された、なんて話も聞きますね。咬まれると激しい痛みがあり、赤く腫れるようです。ムカデの場合も、噛まれたら皮膚科を受診したほうがいいでしょうね」(同)
いざという時にあると便利なものは?

・水
・ポイズンリムーバー
・抗ヒスタミン軟膏
以上の3点は、登山やハイキングの際には常備しておきたいアイテムです。
出かける前の準備も大切! 事前にできる予防策

1:服装はできるだけ露出を少なく

特に夏の低山では暑いので、半袖短パンなどで登っている人もよく見かけますが、やはりそれは危険なんですね。また、ズボンと靴下の隙間も狙われやすいとのこと。特に、ダニなどもいる藪の中を歩くときなどには、ズボンの裾を靴下に入れることがおすすめだそうです。
2:“いい香り”はご法度!

汗の臭いが気になるからと、休憩時についつい制汗剤などをつけたり、いい匂いのする汗拭きシートなどを使ってしまいそうになりますが、NGだったとは。甘いお菓子も匂いが漏れないよう、ジッパー付きの袋などに入れて持っていくのがおすすめです。
3:虫除けスプレーは、衣類の上や帽子のツバなどにも

最近では防虫機能を施した素材でできているウェアも販売されているので、それらのアイテムも用いることで、より予防効果を高めることができそうです。
自己判断が難しい場合は、すみやかに病院へ

虫が寄ってこない予防を事前にしつつ、もし刺された場合も、慌てず適切に処置をして、夏のアウトドアを満喫したいですね。
◆お話しをお聞きした方:栗田朋恵さん
登山ガイド。外あそびtete主宰。長野県小谷村生まれ。故郷の白馬山麓と神奈川県鎌倉市を主なフィールドに活動している。親子ハイキングのワークショップのほか、幼児や児童を対象にした自然体験と造形表現の活動なども行っている。2児の母でもある。
監修/セルズ環境教育デザイン研究所 西海太介氏
紹介されたアイテム

ティックツウィーザー ウルトラ