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雨の時期は要注意!吸血種『ヤマビル』とは?

登山でも多くの人が被害を受けているヤマビル。どんな場所に多く生息し、どう対策・対処すればいいのか、など事前にしっかり把握しておきたいですね。
今回は専門家の方に、このヤマビルについて詳しく教えていただきます。
今回教えていただくのはこの方

一社)セルズ環境教育デザイン研究所|西海太介氏
神奈川県横浜市生まれ。
『危険生物対策』や『アカデミックな自然教育』を専門とする生物学習指導者。
昆虫学を玉川大学農学部で学んだ後、高尾ビジターセンターや横須賀2公園での自然解説員経験を経て、2015年「セルズ環境教育デザイン研究所」を創業。
現在、危険生物のリスクマネジメントをはじめとした指導者養成、小中学生向けの「生物学研究コース」などの専門講座を開講するほか、メディア出演や執筆・監修、中華人民共和国内の自然学校の指導者養成を行うなど幅広く携わる。
監修書籍に『すごく危険な毒せいぶつ図鑑』(世界文化社)。
著書に、『身近にあふれる危険な生き物が3時間でわかる本』(明日香出版社)など。
静かに忍び寄り、皮膚を削って血を飲む…

「刺して血を吸う」蚊やマダニなどとは吸血の仕組みが異なるため、感染症の心配も基本的にはありません。ただし、吸血時に麻酔効果、血液を固まらせない効果がある「ヒルジン」という物質を出すため、皮膚感覚が鈍くなり、気づかないうちに血だらけ…ということも。
引っ張っても剥がれない強者!

ヤマビルに咬まれると、どんな症状がでるの?

時間がたってから腫れやかゆみが出てきますが、かゆみを出来るだけ軽くするためには、ヒルジンを良く洗い流すことが重要。後半で応急処置の方法も紹介しているので、そちらも確認してみてくださいね!
梅雨時期だけではなく、秋も注意が必要
活動時期は、4月~11月。雨の日や雨が降った次の日には活発に活動するので、梅雨の時期や秋雨の時期などは特に注意が必要です。また、9月~10月にかけては仔ヒルが産まれるシーズンなので、紅葉時期の山歩きにも気を付けましょう。ヤマビルを引き寄せるのは『熱・二酸化炭素・振動』

そのため、私たちがそこにいるだけで、彼らを引き寄せてしまうのです。
ヤマビルが生息しているエリアへ出かける際は、正しい知識や対処法を身につけて、対策を万全にして行くことが大切。

ヤマビルに咬まれないための対策は?【忌避剤編】
登山の前に忌避剤を吹きかけておくことでヤマビル対策をすることができます。咬まれてしまった際、皮膚から剥がすためにも有効なアイテムなので、事前に準備しておきましょう!① ヤマビル専用のスプレー
ヤマビル専用のスプレー。自然界で分解される材料のみで合成されているので、安心して使用することができます。② 食塩水スプレー

100円ショップなどに売っているスプレーボトルに入れて持ち歩けば、ヤマビル対策にも◎。
ただし、ザックやウェアにスプレーしたまま長時間放置してしまうと傷みの原因になるので、帰宅後のケアはしっかり行いましょう。
③フマキラー 天使のスキンベープ プレミアム
子供も使用できるイカリジン配合の虫よけスプレー、「天使のスキンベープ プレミアム」もおすすめ!普段使いもできるので、一本持っておくと便利です。※ヤマビルに対しても効果があると厚労省でも確認され、2020年6月から製造している製品より「『効能・効果』:蚊成虫、ブユ、アブ、マダニ、イエダニ、トコジラミの忌避」にヤマビルの忌避が追加されています(フマキラー株式会社 確認済)。
④お酢
家庭で料理に使う「お酢」も、ヒルは嫌がる傾向があります。ただし、ここまでで紹介したものと比較すると効果は低めでニオイもきついため、ほかに用意できるものがないときの代替品として考えておくと良いでしょう。ヤマビルにかまれないための対策は?【服装編】
次は、ヒル対策のための服装をご紹介します。ズボンや上着の裾、襟元など、肌が露出している場所が侵入しやすいポイント!取り入れやすい方法を試してみてくださいね。① 長袖・長ズボンを着用する

また、上着の裾をズボンに入れるなど、出来るだけ侵入を防ぐように心がけることが大切です。
② ズボンの裾を靴下の中に入れる

③ スパッツをはく

④ 首や足首に忌避剤を付けたタオルをまく

ヤマビルにかまれないための対策は?【行動編】
山歩きや休憩の際、ちょっとした行動に気を配ることでヒル対策をすることができます。山に入る前に確認しておきましょう!① こまめに吸血されていないか確認する

② 休憩する際は、足踏みや息を吹きかけてヒルがいないか確認する

③ ザックなどの持ち物を地面に直接置かない

④ 地面に直接座ったり、手を付いたりしない

咬まれてしまったらどうする?【取り除く方法】
“対策はしたけど、咬まれてしまった!”という時に備えて、取り除く際の方法を確認しておきましょう。① 忌避剤や塩水をかける

② 塩をかける

③ たばこやライターで火を当てる

ヒルの吐血に注意!

咬まれてしまったらどうする?【傷口の手当て】

まずは、傷口を流水で洗浄します。この時、ヒルジンを絞り出すイメージで傷口を絞りながら洗い流すのがポイント。しっかり洗うことで、その後のかゆみが軽減します。洗浄後には、抗ヒスタミン剤を塗るとかゆみが抑えられるので、万が一の時に備えて持参しておくと安心。
※血が止まらない場合は、ガーゼや絆創膏で出血部位を押さえて止血しましょう。
ヤマビル対策をマスターして安全に登山を楽しもう!

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