巻き込まれたらどうすればいい?【雪山登山者必読】雪崩の仕組みとその恐怖
厳しくも美しい雪山の世界。雪を踏みしめながら見る絶景はなんとも言えません。しかし、そのためには雪山のリスク「雪崩の危険性」について知っておかなければいけません。雪崩の基本情報や発生のメカニズム、起きやすい条件、どんな対策が必要で、巻き込まれてしまった時の行動など。自分自身や仲間の命を守るため、登山計画を立てる前に恐ろしい雪崩についてしっかりと学んでいきましょう。
2023/02/14 更新
監修者
社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド
山田祐士
社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド
1978年、北海道生まれ。
高校山岳部に入部してから現在まで、20年以上に渡って山登りを続けています。
大学に入ってからは、アルパインクライミングやフリークライミングに没頭していました。
冬の谷川岳や穂高が好きなフィールドです。
谷川一ノ倉沢や幽ノ沢、穂高のバリエーションルートのガイドが最も得意です。
また、海外登山も好きで、マッターホルンなどの登頂経験もあります。
趣味は山で淹れる珈琲です。皆さまに最新の登山情報をお送りするべく、日々勉強をしています。
山田祐士のプロフィール
制作者
ライター
emi
21歳の時に初めて登った北岳に感動!その後地元山梨や長野などの山々を仲間と登り、すっかり山好きになりました。鳳凰三山や穂高岳の様な有名な高山も大好きですが、現在は、近場の低山をのんびりハイクがちょうどいい感じ。これからは、簡単で美味しい山ごはんにチャレンジしたいです!
emiのプロフィール
アイキャッチ画像出典:PIXTA
雪山では避けられないリスク「雪崩」とは?

出典:PIXTA
澄んだ空気と真っ白な世界が魅力の雪山登山。しかし、そこで避けて通れないのが「雪崩」の危険性。雪山登山を安全に楽しむためのスタートは、雪崩の知識を知ること。
そもそも雪崩とは、どれくらい危険なのでしょうか?
決して他人事ではない雪崩の恐怖

出典:PIXTA (雪崩画像はイメージであり事故画像ではありません)
残念なことですが、全国各地で毎年のように雪崩に関連した痛ましい事故が起きています。記憶に新しいものだと、2017年の那須雪崩事故。この事故では、高校生山7名と教員1人が命を落とし、多くの負傷者を出した事故としてニュースになりました。2019年に入っても、谷川岳で雪崩に巻き込まれて1人の方が亡くなっています。
このような事例から、すべての雪山登山者は雪崩の危険にさらされるリスクがあることがわかるのではないでしょうか?
雪崩が起きる仕組み

作成:emi
雪崩は「駆動力」と「支持力」のバランスが崩れることによって、発生します。
【駆動力】
積雪が重力によって滑り落ちようとする力
【支持力】
地面や雪粒などで結合されている力
雪崩の種類としては、新雪が積雪の上に積もり、その重みで新雪の層が滑る「表層雪崩」や、気温上昇などによる融雪が原因で地表部分から支持力を失い崩れる「全層雪崩」があります。
雪崩の場所の名称

出典:PIXTA (雪崩の跡とデブリ)
雪崩にはそれぞれ場所に名称があるので、覚えておきましょう。
【発生区】
山肌の雪が崩れ始め、雪崩が起きた地点。
【走路】
雪崩が通った(通る)道筋。
【堆積区】
崩れ落ちた雪が積み重なって溜まった場所。
【デブリ】
雪崩が起きたことによって堆積区に溜まった雪。
雪崩には種類がある!