雪崩救助の必需品・プローブ(ゾンデ)|素早い埋没者特定のためにマスターしたい使用法

2022/04/20 更新

雪山登山に欠かせない「雪崩対策装備(アバランチセーフティギア)」と呼ばれる雪崩救助のアイテム。特にプローブ(ゾンデ)は購入して携行してはいるものの、伸ばして組み立てたことや雪面に刺したことがない人も多いのでは。効率的に実施しないと雪崩埋没者の特定が難しいプロービングを、プロガイドの解説で学びましょう。

制作者

山岳ライター・登山ガイド

鷲尾 太輔

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。登山歴は30年以上、ガイド歴は10年以上。得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。山と人をつなぐ架け橋をめざして活動しています。 公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅠ 総合旅行業務取扱管理者

鷲尾 太輔のプロフィール

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アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔

正しく使えますか?雪崩救助の必需品・プローブ(ゾンデ)

雪崩発生時における埋没者の捜索・救助の流れ
撮影:鷲尾 太輔(雪崩発生時における埋没者の捜索・救助の流れ)
雪山登山者の誰もが遭遇する可能性のある雪崩、大切な仲間や周囲の登山者が巻き込まれ埋もれてしまったら……。一刻も早く掘り出して救助するのがあなたの大切な役割ですが、冷静に正しく行動できるでしょうか。
ビーコンによる埋没場所の捜索の次に行うのが、プローブ(ゾンデ)による埋没者のピンポイントな位置の特定。今回は国際山岳ガイド・天野和明さんの解説で、正しいプローブ捜索の方法をご紹介します。
\教えてくれた専門家/
国際ガイド 天野さん
国際山岳ガイド・天野和明さん
 
クライマー・IFMGA 国際山岳ガイド。2009年にインドヒマラヤ・カランカ北壁のアルパインスタイル初登攀により、 登山界のアカデミー賞と呼ばれる“ピオレドール賞”を日本人として初めて受賞。現在は石井スポーツ登山学校校長として、スタンダードな登山技術、知識の伝達や後進の育成に努めている。

一見どれも同じプローブ・選び方のポイントは?

プローブ選びのポイントは……?
撮影:鷲尾 太輔(プローブ選びのポイントは……?)
雪崩によって埋没してしまったメンバーや周囲の登山者を探索するプローブ。

雪中には少なくとも150cmは差し込む必要があるため、最低でも240cmの長さが必要。できれば300cmの長さのプローブを携行しましょう。雪中に差し込んだ深さがひと目でわかる目盛り付きのモデルが必携です。

雪崩発生!埋没者の場所をピンポイントで特定するためのプローブ使用法

撮影:鷲尾 太輔(まずはビーコンによる捜索)
雪崩が発生しメンバーや周囲の登山者が埋没してしまった場合、まず行うのがビーコンによる捜索。これによってビーコンの距離表示が最小になったポイントを中心に、プローブを差し込んで埋没者の位置を特定します。

▼ビーコンの詳しい使用方法はこちらの記事に掲載

まずはプローブの組み立て

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撮影:鷲尾 太輔(プローブの組み立て)
まずはプローブを収納袋から取り出し、以下の手順で素早く組み立てます。
1.プローブの一番上のセクションを持ちながら雪面に広がるように投げる
2.プローブ上部のループを引き全セクションをまっすぐにして、プローブ上端のレバーでロックする
スムーズに組み立てができるよう、雪山登山に出かける前にも練習しておきましょう。

複数のメンバーで捜索する際にはビーコンによる捜索をしている間に、他のメンバーが予め組み立てておくと、よりスピーディーな捜索・救助につながりますよ。

プロービングのコツは「90度」と「うずまき型」

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撮影:鷲尾 太輔(プロービング)
いよいよプローブによる捜索(プロービング)。利き手と逆の手はプローブに添えながら、利き手を使ってプローブを150cm以上の深さまで差し込みます。
プローブは雪面に対して90度の角度で差し込む
撮影:鷲尾 太輔(プローブは雪面に対して90度の角度で差し込む)
プローブを差し込む角度は、雪面に対して直角(90度)に。埋没者にヒットしなければ25cmほど離れた場所に再度プローブを差し込み、これを先端が埋没者にヒットするまで続けます。
中心からうずまき状に差し込む
撮影:鷲尾 太輔(中心からうずまき状に差し込む)
やみくもに25cm間隔で差し込むのではなく、上の写真のようにビーコンの距離表示が最小になったポイントから順にうずまき状にプローブを差し込んでいきます。

捜索者が複数いれば、ひとりがプロービングしている間に他のメンバーはスノーショベルで付近の掘り起こしを始めてもOKです。

90度に差し込まないと雪中でブランクが発生してしまいます
作成:鷲尾 太輔(90度に差し込まないと雪中でブランクが発生してしまいます)
焦りがちですが、すべてのポイントで斜面に対して90度の角度で差し込むのが重要。角度がバラバラになってしまうと上の図のように雪中でブランク(プローブ先端の届く距離差)が発生してしまい、埋没者にヒットしにくくなります。

またビーコンの距離表示の最小が0.4(40cm)だったのに、60cm四方をプロービングしてもヒットしない……というようにビーコンの最小距離よりプロービングが広範囲になってしまったら、再度ビーコン捜索をする必要があります。スノーショベルでの掘り起こし
撮影:鷲尾 太輔(スノーショベルでの掘り起こし)
プローブの先端が埋没者にヒットしたら、プローブは刺したままスノーショベルでの掘り起こしに移行しましょう。

▼スノーショベルの詳しい使用方法はこちらの記事に掲載

埋没者にヒットした感覚……わかりますか?

埋没者にヒットした感覚……わかりますか?
撮影:鷲尾 太輔(埋没者にヒットした感覚……わかりますか?)
スノーショベルでの掘り起こしへ移行する「プローブの先端が埋没者にヒット」という感覚は、初めての経験では確信しにくいものです

雪のように抵抗感が少なくプローブが刺さる訳でもなく、岩や樹木のような硬いヒット感でもなく……その感覚をつかむには事前のトレーニングが必要。

ビーコンを入れたザックを自分が見えない場所で他のメンバーに雪中に埋めてもらい捜索するなど、万が一の際に確実にその感覚をとらえられるよう、雪上訓練などデモンストレーションを経験してから雪山登山に出かけましょう。

オススメのプローブ(長さ3m・目盛り付き)

素早い捜索に役立つプローブを選びましょう
撮影:鷲尾 太輔(素早い捜索に役立つプローブを選びましょう)
前述の通りプローブは長さが3mあり目盛りが付いているものがオススメ。プローブはテントのポール同様に複数のセクションに分かれて折り畳めるので、コンパクトにザックへの収納が可能ですよ。

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増補改訂 雪崩リスク軽減の手引き|東京新聞出版部

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