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使ったことがありますか?雪崩救助の必需品・ビーコン

埋没者救助の最初のステップで行うのが、ビーコンによる埋没場所の捜索。今回は国際山岳ガイド・天野和明さんの解説で、正しいビーコン捜索の方法をご紹介します。
高価なビーコンだからこそ機能はしっかり吟味!

素早い捜索が可能な3本アンテナのモデルがオススメ

*1本:送受信アンテナのみ
*2本:送受信アンテナ1本+受信アンテナ1本
*3本:送受信アンテナ1本+受信アンテナ2本
高価になりますが、より正確に埋没者の位置を特定できる3本アンテナのモデルがオススメ。一刻も早い捜索・救助が埋没者の生死を分ける雪崩遭難に使用するアイテム、極力しっかりしたスペックのモデルを携行したいものですね
行動開始前にチェック!装着方法と事前準備

この時ビーコンは、必ず行動中に脱ぎ着しないウェアの上に装着しましょう。ハードシェルなどの外側に装着していると雪崩に巻き込まれた際にビーコンが身体から外れてしまい、自分自身を捜索してもらうことができません。

例えばジャケットの胸ポケットへ収納すると、ビーコンとほぼ重なってしまいます。パンツのポケットなど、ビーコンからなるべく離れた場所に収納するようにしましょう。

1.まずは電池残量がしっかりと残っているか確認
2.リーダーのビーコンのみを送信モードに切り替え、他のメンバーは受信モードにして受信ができるかどうかを確認
3.OKなら、今度は送信モードに切り替えハーネスにしまって行動できる服装に
4.リーダーだけが受信モードに切り替え、各メンバーを電源の入れ忘れがないかなどやきちんと発信しているかをチェック
5.最後にリーダーも送信モードに切り替えるのを忘れないように!
※機種によって使用する電池の種類なども異なるので、あらかじめ確認しておきましょう
全員が同一ブランド・同一モデルでないとNGだと思いがちですが、現在は多くのビーコンが国際的な規格に準じた同一の周波数を使用しており、別ブランド・別モデル同士でも発信・受信できるものが多数。雪山登山に出かける前にも動作チェックしておくと良いでしょう。
雪崩発生!埋没者を素早く発見するためのビーコン使用法


1.周囲にいる無事だった登山者全員のビーコンを受信モードに切り替える
誰かひとりでも送信モードのままだと埋没者でなくその人のビーコンが反応してしまいます。
2.救助要請は捜索現場から25m以上離れた場所で行う
スマートフォンの電波が干渉してビーコン捜索に支障をきたしてしまいます。
ビーコン捜索の具体的な動き方
ビーコンを受信モードに切り替えたら、以下のように埋没者のいる場所へ近づきます。
1.比較的早足で雪崩が起こった斜面をジグザグに下り、距離表示が近くなる場所を探す
2.距離表示が「12〜10」になったら進む速度を落とし、ビーコンを膝の高さに落として中腰で進む
3.距離表示が「3.0」を切ったらビーコンをさらに雪面付近に近づけ、さらに速度を落として進む
4.距離表示が「1.0」を切ったらビーコンの向きは変えずに雪面の真上を前後左右に移動し、最小の数値になるポイントを探す
5.距離表示が「最小の数値」になるポイントの雪面に、×印など目印を付けておく

この後はプローブ(ゾンデ)による埋没者の特定、スノーショベルによる埋没者の掘り起こしへと捜索・救助活動が続いていきます。
▼プローブ(ゾンデ)の詳しい使用方法はこちらの記事に掲載
▼スノーショベルの詳しい使用方法はこちらの記事に掲載
確実な動作が必須のビーコン……電池残量とスイッチのチェックは確実に!

そんなビーコンだからこそ、最低限確実に動作するよう十分な電池残量が必要。もったいないと思うかもしれませんが、電池残量が60%を切ったら新しい電池と交換しましょう。古い電池と新しい電池を混ぜたり充電池を使うのもNGです。
精密機器であるビーコン、一刻でも早い捜索・救助で埋没者の生還率を少しでも上げるため、確実な充電と丁寧な取扱いで、その能力をきちんと発揮できるコンディションで雪山登山に持参しましょう。
オススメの雪崩ビーコン(3本アンテナモデル)

MAMMUT|Barryvox
PIEPS|PRO BT
Arva|Evo5
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