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スノーショベル…使ったコトありますか?

けれども雪崩救助の講習会などに参加しない限り、実際に使ったことがある人は意外と少ないのでは。今回はプロガイドの解説でスノーショベルの正しい使用法と、緊急時のビバーク(野営)やテント泊にも活躍する活用法をご紹介します。
主な使用法はズバリ2種類!雪崩対策と雪上生活準備

*雪崩対策
*雪上生活準備
【雪崩対策】その①|埋没者の捜索・救助

1.ビーコンを使用しながら捜索、埋没者の位置を把握する
2.プローブ(ゾンデ)を雪中に刺しながら捜索、埋没者に先端がヒットしたら埋没箇所が特定される
▼ビーコンの詳しい使用方法はこちらの記事に掲載
▼プローブ(ゾンデ)の詳しい使用方法はこちらの記事に掲載
救助要請と並行しながらここまでを完了して、ようやくスノーショベルの出番です。
手足など身体の一部が見えたら、そこから頭部の位置を特定して真っ先に掘り起こし一刻も早く呼吸できる状態に。
埋没者を救出できたら、すかさず身体をエマージェンシーシート・シュラフ・防寒着などで保温しながら人工呼吸などの応急処置を。その上で安全な場所へ搬送するか、難しければその場で救助隊の到着を待ちましょう。
【雪崩対策】その②|積雪の観察・コンプレッションテスト

弱層となりうる雪の上にスラブという面の性質を持つ雪が載っている場合や、柔らかい雪の上にやや硬めの積雪が載っている場合(逆構造)などは、雪崩の可能性が高まります。
まずはスノーショベルで雪面をコの字に削って断面を観察し、断面の固さや雪質・雪の温度をチェックしましょう。

状態が不安定な時はいつも以上に行動する地形を保守的に選択するか、複数人が同時に埋没しないようにグループメンバーを分散させて行動することが大切です。
とはいえこの弱層の見極めは、初心者や経験の浅い人には難しいもの。まずは雪山経験豊富な人に同行したり、雪崩遭難対策の講習会などに参加するのがオススメです。
▼積雪の観察・コンプレッションテストの詳しい方法はこちらの記事に掲載
【雪上生活準備】その①|ビバーク用の雪洞づくり
深い雪でのラッセルで行動が思うように進まず、宿泊地への到着や下山が予定より大幅に遅れてしまうこともある雪山。またホワイトアウトや暴風雪、ケガなどで行動不能になってしまうことも。
そんな際にはスノーシャベルで雪洞を掘ってビバーク(野営)しましょう。かまくらと同じで外気や風の影響を受けないためテントよりも暖かく、入り口にツエルトを被せればさらに完全な防寒が可能です。
*他の登山者が誤って踏み抜かないように上部に目印を立てておく
*内部で酸欠にならないように通気穴を空けておく
*万が一の崩落に備えてスコップは必ず雪洞内に立てておく
最初から雪洞で泊まることを前提に、テントを持たずに入山することも可能。雪洞を作れるだけの積雪があることが予めわかっていて素早く安全な雪洞を作れる技術があれば、装備そのものの軽量化にもつながります。
【雪上生活準備】その②|テント泊する場所の整地
フカフカの新雪の上にそのままテントを設営してしまうと、体温や炊事の熱で床下の雪が溶けてテントが沈み込んだり傾いたりと快適に過ごすことができません。
1.テントの大きさに合わせて足で雪を踏み固める
2.スノーショベルでさらに雪を掘り、雪面を平坦にならしながら叩いて固める
3.テントを設営する
次にご紹介するスノーブロックを使って張り綱を固定したり、テントの周囲に積み重ねて風防にするのも効果的ですよ。
【雪上生活準備】その③|スノーブロックづくり

またスノーブロックをドーム状に積み重ねて「イグルー」を作ることも可能。コツは必要ですが、雪山で時間に余裕があればチャレンジしてみても楽しいですよ。
目的にあったスノーショベルを選ぼう!

▼ブレード先端の形状
・フラットタイプ:スノーブロックや弱層テストの四角柱を切り出しやすい
・ラウンドタイプ:雪を掘るときに力を入れやすい
▼シャフトの長さ
・長い:梃子の原理で掘り出しなどが容易にできる
・短い:狭い雪洞づくりには便利で収納もしやすい
▼グリップの形状
・写真のようなT字型:コンパクトに収納しやすい
・通常のシャベルと同じD字型:握りやすく操作性も良い
オススメのスノーシャベル5選

G3 アブィショベル
操作性の高いD型グリップとコンパクトでフラットなブレードが特徴のモデルグリップ:D型
シャフトの長さ:調整可能
ブレードの取り外し:可能
Black Diamond・トランスファーショベル
コンパクトなT型グリップでザックのサイドポケットにも収納しやすいモデルグリップ:T型
シャフトの長さ:調整可能
ブレードの取り外し:可能
MAMMUT Alugator Ride 3.0 Hoe
取り外したブレードをつるはし型に取り付け直すことで雪を深く掘ることも可能なモデルグリップ:D型
シャフトの長さ:調整可能
ブレードの取り外し:可能
MAMMUT Alugator Ride 3.0 Hoe
重量:820g
長さ:68cm(縮小時)・90cm(伸張時)
ブレード:長さ 27.5cm・幅 21.5cm
スティック:長さ 50cm
長さ:68cm(縮小時)・90cm(伸張時)
ブレード:長さ 27.5cm・幅 21.5cm
スティック:長さ 50cm
MSR アバランチショベル RESPONDER
固い氷雪にも対応したギザギザのブレード先端部が特徴のモデルグリップ:T型
シャフトの長さ:調整可能
ブレードの取り外し:可能
ARVA・AXE V2 SHOVEL
特徴的な形状のグリップ側にブレードを付ければつるはし型に変形するモデルグリップ:変形D型
シャフトの長さ:調整可能
ブレードの取り外し:可能
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