雪山入門|冬山用登山靴の定番5選!ブランド担当者に聞いたおすすめポイントも一挙紹介
雪山登山に挑戦するには冷えから足を守る冬用登山靴が必要不可欠。そこで、各ブランドがどんなモデルを展開しているのか、今回は雪山初心者におすすめの定番シューズ(メンズ・レディース)を5足紹介します。担当者に聞いたおすすめポイントを参考に、自分にぴったりのモデルを見つけましょう。
2022/12/16 更新
制作者
山岳ライター
吉澤英晃
群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。
吉澤英晃のプロフィール
アイキャッチ画像撮影:筆者
冬山用登山靴ってどんな靴? まずは特長をおさらいしよう!

出典:PIXTA
今回は、雪山初心者におすすめできる定番の冬山用登山靴を一挙紹介。どれも十分な性能と機能を備え、各ブランドのフラッグシップといえる注目モデルばかりです。
と、その前に、まずは冬山用登山靴の特長をおさらいしておきましょう。
主なポイントは以下の3つ。これらの特長さえ押さえれば、冬山用登山靴と無積雪期に履く3シーズン用登山靴が見分けられるようになります。
1)保温材が入っている
足元を寒さから守るために、内側にプリマロフトといった断熱保温材が封入されています。
2)ソールと足首回りの剛性が高い
雪面に対して蹴り込みやすく、かつ蹴り込んだシューズに立ち込みやすくするため、ソールや足首回りがやや硬く作られています。
3)アイゼンを装着するのにふさわしい形状
アイゼン装着用の「コバ」と呼ばれる凹みがあるほか、ソールがフラットに近い形状であるなど、アイゼンを装着でき、かつ装着したアイゼンが外れにくい形をしています。
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最初の一足は足との相性で選ぶべし
それでは、説明した3つのポイントを満たす靴であれば、どのモデルを雪山用に選んでもOKでしょうか?

出典:PIXTA
答えは否。冬山用登山靴を選ぶうえでは、足との相性がもっとも重要です。
とくに冬山用登山靴はシューズ全体の剛性が高いため、内側の形状やフィット感との相性が良くないと、靴ずれといったトラブルが発生しやすいので注意が必要。
今回、各ブランドからピックアップした定番の冬山用登山靴を5足紹介しますが、見た目だけで購入するのはおすすめしません。

撮影:YAMA HACK編集部
では、一体どこに注目すればいいのでしょう?
ポイントは、その靴ならでは特長です。たとえば店頭で試し履きをしたとき、相性のいい靴が何足も見つかるかもしれません。
フィット感などをチェックしたうえで、どの靴を買おうか悩んだとき、今回紹介する各モデルの特長を最終候補の選定に役立てましょう。
主要ブランド5社の一押しを一挙紹介!

撮影:筆者
それでは、初心者におすすめの冬山用登山靴を紹介します。今回ピックアップしたのは、以下の5ブランドがランナップする冬山用登山靴の定番モデル。ブランド担当者に聞いたおすすめポイントも要チェックです!
1|<アク>ハヤツキGTX (メンズ・レディース)

撮影:筆者
ハヤツキGTX ¥64,900
重量:900g(UK8片足)
サイズ:25.0〜30.0cm
撮影:筆者
ハヤツキGTX W’s ¥64,900
重量:770g(UK5片足)
サイズ:23.5〜26.5cm
イタリアにあるアクの本社と石井スポーツとの協同開発で誕生した注目作。保温性とフィット感を高めつつ、重量を削り、さらに低価格も実現。群を抜くコストパフォーマンスの高さが魅力です。
ブランド担当が語る注目ポイント!
オススメは何と言っても「軽さ」と「暖かさ」の両立です。冷えやすい指先から甲にかけて、化繊綿のプリマロフトをインサートすることで保温性を高めています。

撮影:筆者
また、摩耗する場所としない場所でランドラバーの素材を使い分けることで軽量化につなげています。

撮影:筆者
シューレースフックの内側がプーリー構造(滑車)になっているので、少ない力で、かつスピーディーにひもを締め上げることが可能。女性でも力を使わずにフィット感を高められます。

撮影:筆者
足首回りに柔軟性があるため歩きやすく、硬そうな冬季用登山靴のイメージが変わるはずです。
また、タンにつけられたストラップを引くと、分厚いグローブをしたままでも簡単にロックを解除できます。
ヨドバシ.com|アク ハヤツキGTXヨドバシ.com|アク ハヤツキGTX W’s
2|<ザンバラン>マウンテンプロ EVO GT RR(メンズ・レディース)

撮影:筆者(2021年モデル)
マウンテンプロ EVO GT RR M’s ¥69,300(2022年モデル価格¥65,000)
重量:約945g(EU42片足)
サイズ:約25.0〜29.0cm

撮影:筆者(2021年モデル)
マウンテンプロ EVO GT RR W’s ¥69,300(2022モデル価格¥65,000)
重量:約827g(EU39片足)
サイズ:約23.5〜26.5cm
堅牢なペルワンガーレザー製のアッパーに、防水透湿+断熱保温素材の「ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート」を使い、保温性を確保。5.0mm厚の5層カーボンボードをソールに内蔵し、捻じれや曲がりを抑制しています。
ブランド担当が語る注目ポイント!

撮影:筆者
第一のポイントは、ダブルタン構造により、甲から脛(すね)にかけて足の形状に合わせてタンの位置を調整できる点です。
これによって細かいフィッティングが可能となっています。

撮影:筆者
第二のポイントは、アイスクライミングといったテクニカルな動きが求められるアクティビティで、足首に角度がつけやすいように、アッパーのレザーに深いスリットを入れて動きの自由度を高めている点です。
剛性の高いアルパインブーツでありながら、足首の動きを活かした動作を可能にします。

撮影:筆者
さらに、ザンバランでは起毛加工が施された「THERMO COMFORT」フットベット・インソールをすべてのアルパインブーツに使用。足裏の保温性を高めて底冷えを防ぎます。
ザンバラン
マウンテンプロ EVO GT RR M's
キャラバン|マウンテンプロ EVO GT RR M’s
ザンバラン
マウンテンプロ EVO GT RR W's
キャラバン|マウンテンプロ EVO GT RR W’s3|<スカルパ>モンブランプロGTX(メンズ・レディース)

撮影:筆者
モンブランプロGTX ¥75,900
重量:約900g(EU42片足)
サイズ:約24.5〜32cm
撮影:筆者
モンブランプロGTX WMN ¥75,900
重量:約765g(EU38片足)
サイズ:約23〜27cm
足首回りの剛性を最小限に抑えることで可動域を広げ、一般縦走からテクニカルなクライミングシーンまで対応する汎用性の高い一足。
撮影:筆者
中綿には「ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート」を使用。従来モデルからのアップデートで、一段と軽く進化しています。
ブランド担当が語る注目ポイント!

撮影:筆者
タンとアッパーが一体になった「ソックスフィットシステム」により、快適な履き心地を実現しています。

撮影:筆者
カフの上部に装備したゲイターによって、雪の浸入を防ぐのと同時にヒートロスを防ぎます。
LOST ARROW ONLINE STORE|スカルパ モンブランプロGTX
LOST ARROW ONLINE STORE|スカルパ モンブランプロGTX WMN4|<スポルティバ>ネパールEVO GTX(ユニセックス)

撮影:筆者
ネパールEVO GTX ¥75,350
重量:約1,040g(EU42片足)
サイズ:約23.1〜30.3cm
かかと回りのややくびれたシェイプによって、フィット感の高さに定評がある一足です。
撮影:筆者
中綿の素材は「ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート」。雪の侵入を防ぐミニゲーターも装備しています。
ブランド担当者が語る注目ポイント!
ずっと使える雪山用登山靴の定番モデル。ベルクロで簡単に調整できるリムーバブルタンによって、抜群のフィット感を実現します。

撮影:筆者
足首回りには、足首をサポートしながら動きを制限しないスポルティバオリジナルの「3Dフレックスシステム」を搭載。急傾斜でも無理のないフラットフィッティングを可能にし、より安全に歩くことができます。

撮影:筆者
ちなみに、軽さを重視する方には「ネパールキューブGTX」もおすすめです。ネパールEVO GTXをベースに細部を変更することで、機能を維持しながら軽い仕上がりになっています。
LA SPORTIVA ONLINE SHOP|ネパールEVO GTX
5|<ローバー>アルパインエクスパート Ⅱ GT(メンズ・レディース)

撮影:筆者
アルパインエクスパート Ⅱ GT ¥64,900
重量:900g(UK8片足)
サイズ:約24.7〜29.0cm(ハーフサイズあり)
撮影:筆者
アルパインエクスパート Ⅱ GT ウィメンズ ¥64,900
重量:750g(UK5片足)
サイズ:約23〜25.6cm(ハーフサイズあり)
快適なフィット感を追求して生まれたオリジナル機能を多数搭載する上位モデル。従来モデルからかかと回りのディテールを見直すことで、よりフィット感が向上しています。
ブランド担当が語る注目ポイント!

撮影:筆者
最大の特長は、ローバーのアルパインブーツで最高の保温力を誇る点です。
つま先からかかとまで足全体を保温材プリマロフト400がカバーし、低温にさらされる冬山でもしっかりと保温します。

撮影:筆者
足の動きを考慮してタンの厚みを部分的に変えている「C4タング」や、タンのズレをシューレースで防ぐ「Xレーシング」など、ローバーならではの機能をもれなく搭載。快適なフィット感が長時間持続します。

撮影:筆者
前回からの改良点として、硬めのアンクルパッチを採用しました。これにより足首回りが屈曲するときもフィット感が維持されます。
イワタニ i-COLLECT|ローバー アルパインエクスパート Ⅱ GT
ローバー
アルパインエクスパート Ⅱ GT ウィメンズ
イワタニ i-COLLECT|ローバー アルパインエクスパート Ⅱ GT ウィメンズベストな一足を手に入れて雪山登山に挑戦しよう!

出典:PIXTA
同じ登山靴でも、種類の多さに圧倒されてしまう3シーズン用登山靴とは大きく異なり、冬用登山靴は意外と選択肢が少ないアイテム。
そんな数少ない選択肢の中でも、今回紹介した5足は最初に検討されるべきモデルであることは間違いなし! 足との相性をチェックして、ぜひベストな一足を見つけてください。