アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
雪山に適した「ハードシェル」ってどんなもの?
出典:PIXTA
冬も登山を楽しみたい!と思ったら、装備もしっかり揃えたいところ。雨や雪、強風から身体を守ってくれる「ハードシェル」は雪山登山の必須アイテム。だけど種類がありすぎて、どれを選ぶべきか悩んでしまいますよね。
そもそもハードシェルとは?

登山用のアウターシェル(一番外側に着るもの)にはさまざまな種類があり、用途によって使い分けられています。
ハードシェル
⇒雨や雪・風から身を守るためのウェア
・防水性、防風性に優れている
・レイヤリングではアウターとして使用される
・風を通さないため、保温のために着用されることもある
・名前のとおり、ソフトシェルと比べて硬い生地のものが多い
(最近ではソフトシェルのような柔らかな生地感の製品も登場している)
ソフトシェル
⇒風から身を守ったり、保温のためのウェア
・透湿性、撥水性に優れている
・レイヤリングではアウターやミドルレイヤーとして使用される
・伸縮性があるので行動着として着用されることが多い
・名前のとおり、ハードシェルと比べて柔らかい生地のものが多い
(最近ではソフトシェルでも防水性能に優れた製品も登場している)
ハードシェルは、雪山用シェルやレインウェアなど、雨や雪・風から身を守るためのウェアの総称ですが、近年では主に雪山用シェルを指す言葉として使われることが多くなりました。
雪山用ハードシェルとレインウェアの違いは?
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撮影:YAMA HACK編集部(同メーカーの雪山対応のハードシェル[左]とレインウェア[右])

※一般的な雪山用ハードシェルとレインウェアの比較
レインウェアは雨に備えてザックの中に入れておくことが多いため、収納性や軽量性が高いのが特徴。雨を防げれば良いので、雪山用ハードシェルと比べると生地は薄くツルツルです。
一方、冬の厳しい環境下で着用する雪山用ハードシェルは、防水性、透湿性を備えつつ防雪・防風性を重視。生地が比較的硬く、厚みがあり丈夫。ザラザラとした質感が特徴です。
さらに、スノースカートやゴーグルを収納可能なポケットが付いていたり、雪や冷たい空気が衣服内に入りにくい構造だったりと、雪山での行動を助ける工夫が施されています。
防水性や透湿性は、使用している防水生地が同じであれば、雪山用シェルでもレインウェアでも基本的には同等です。
雪山用ハードシェルの特徴
◆耐久性
雪や岩と擦れたり、金属ギアをひっかけたりしても、裂けたり穴が開きにくい丈夫さがある
◆防雪性
雪面で滑りにくく、雪がつきにくい素材を採用したウェアが多い
◆防風性
雪山の稜線上や山頂は強い風が吹いていることが多く、冷たい風は体温と体力を一気に奪うため、風を防ぐ機能も備えている
冬山では雪山用ハードシェルが絶対に必要?

出典:PIXTA
冬山と言っても、標高や積雪の有無、積雪量、天気、登山道の状況によって条件はさまざま。そのため一概には言えませんが、雪山入門とされる北八ヶ岳・北横岳など、標高2,000m以上となる場合を目安に、積雪のある山へ行くなら準備しておきましょう。特に、12月~2月あたりの厳冬期には必須です。
ハードシェル選び&着用時のレイヤリングのポイント

撮影:YAMA HACK編集部
ハードシェルは手に取りやすい価格のものから10万円以上の高価格帯のものまで多岐に渡ります。選ぶ際のチェック事項と着用時のポイントを確認しておきましょう。
選ぶときはここをチェック!用途に合ったモデルを
機能性
防水・防風・透湿・撥水機能により、雨風を防ぎ蒸れにくくする機能は必須。雪山向けモデル選びではスノースカートやベンチレーションの有無もチェック。雪山の風は雪を吹き上げるので、スノースカートで雪の侵入を防ぎます。
ヘルメット着用の有無により、フードサイズも考慮するポイント。ヘルメットを着用した状態でフードをかぶった際に、額の部分までしっかり覆えるタイプがいいでしょう。
さらに、雪山用のグローブを着用してファスナーを締めたりボタンを留めるなどの動作がしやすいかどうかも確かめておきたいところです。
伸縮性
ストレッチが効いていて伸縮性が高い方が、長時間着ていてもストレスにならず、疲れにくくなります。
サイズ感
レイヤリングを考えたサイズ選びが重要。中にフリースやインサレーションジャケットなどの保温着を着ても動きやすいかどうかを踏まえ、場合によってはサイズアップも必要です。
実際に重ね着したうえで腕を上げ下げしてみて、サイズ感をチェックしましょう。
雪山ではレイヤリングが大切!身体を冷やさない工夫を
雪山ではいかに汗をかかず、身体は冷やさずに行動するかがポイント。ハードシェルは風や雪を通さないという意味での暖かさはありますが、保温機能は持っていません。
そのため、内側のレイヤリングが重要。小まめに体温調節できるような工夫が必要です。

撮影:YAMA HACK編集部(左からベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤー)
①ベースレイヤー
汗をかきその水分で体を冷やすことのないように、速乾性や吸湿性のあるベースレイヤーを着用。ベースレイヤーの下のアンダーウェアに、かいた汗を肌から遠ざける機能を持つドライインナーを着るのもよい。
②ミドルレイヤー
雪山では行動中でも気温が低く寒いことが多いため、保温性と通気性のバランスが取れたミドルレイヤーを選ぶ。汗などの水濡れに強い化繊中綿や化繊とダウンのハイブリッドタイプのインサレーション、もしくはフリースを選ぶのがベター。
さらにミドルレイヤーとハードシェルの間にソフトシェルを着るのも◎。内部の熱を逃がしにくくなり、保温効果が高まる。
③アウターレイヤー
最後に、ハードシェルを着用すれば雪山レイヤリングの完成!
ここからは、定番人気のブランドより、雪山デビューにおすすめのハードシェルを紹介します。
アークテリクス|ベータARジャケット
最先端の技術でつくられた製品で常に業界をリードする<アークテリクス>。厳しい環境で活動するプロなど世界中から支持されています。
総合的な山岳用ウェアである“ベータ”シリーズの中でオールラウンド(AR)向けモデルが「ベータARジャケット」。最高水準のゴアテックスプロを使用し、多用途に活用できる耐候性能に優れた製品です。
解剖学に基づいたパターンで、素材自体にストレッチ性が無くても快適に動けるデザインも秀逸。見た目にも美しく高価ながら街着としても人気があります。
アークテリクス
ベータ AR ジャケット(メンズ)
素材:(メインボディ)N40d Most Rugged 3L ゴアテックス プロ、(補強)N80d Most Rugged 3L ゴアテックス プロ
重量:455g
サイズ:XS〜XLL
価格:79,200円
ザ・ノース・フェイス|マウンテンジャケット
高いデザイン性で人気のある、アメリカのアウトドアブランド<ザ・ノース・フェイス>。
防水性や透湿性に加え、しなやかさも併せ持つ“GORE-TEX products2層構造の「マウンテンジャケット」。裏地には30Dのナイロンを使用し、高い耐久性も備えています。
夏の高所登山から冬の雪山やスノースポーツ、日常の通勤やお出かけまで、幅広いシーンで着用可能。ファッション性の高さからどんなスタイルにも合わせやすく、おしゃれアイテムとしてコーデのポイントにも。機能性だけでなくデザインにもこだわりたい人におすすめです。
ザ・ノース・フェイス
マウンテンジャケット(メンズ)
素材:[表地]150D GORE-TEX Plain Woven(2層)(表側:ナイロン100%、裏側:ePTFE)、[裏地]30D Ripstop Nylon(ナイロン100%)
重量:約810g(Lサイズ)
サイズ:XS〜XXL
価格:55,000円
ザ・ノース・フェイス
マウンテンジャケット (ウィメンズ)
素材:[表地]150D GORE-TEX Plain Woven(2層)(表側:ナイロン100%、裏側:ePTFE)、[裏地]30D Ripstop Nylon(ナイロン100%)
重量:約735g(Lサイズ)
サイズ:S〜XL
価格:55,000円
パタゴニア|トリオレット・ジャケット
<パタゴニア>は環境に配慮した製品づくりに取り組むアメリカのアウトドアメーカー。デザイン性と機能性の高さから、多くの人に支持されています。
「トリオレット・ジャケット」は防水性・透湿性が持続する3層構造のGore-Tex®ファブリクスを採用し、雪や強風などの悪天候下でも身体を守ってくれます。
ヘルメット着用にも対応するフードやRECCO雪崩救助反射板(リフレクター)を内蔵するなど、細部にまでこだわったつくりが特徴。
素材:3層構造の平織りの5オンス・75デニール・リサイクル・ポリエステル100%・ゴアテックス・シェル
重量:550g
サイズ:XS~XL
価格:52,800円
素材:3層構造の平織りの5オンス・75デニール・リサイクル・ポリエステル100%・ゴアテックス・シェル
重量:488g
サイズ:XXS~L
価格:52,800円
ファイントラック|エバーブレスアクロジャケット
<ファイントラック>は、遊び手としての思いを、創り手としてカタチにしている国産アウトドアメーカー。
強度と耐久性に優れつつ、ウェア内の蒸れも瞬時に逃すオリジナル防水透湿素材“エバーブレス®”を使用した「エバーブレス®アクロ」。強靭でありながら高いストレッチ性を持つなど、雪山の活動で必要なあらゆる機能を装備したモデルです。
いずれ、より過酷な冬期登山やアイスクライミングなど雪山ステップアップを考えている方におすすめです。
ファイントラック
エバーブレスアクロジャケット(メンズ)
素材:[表]50デニール4WAYストレッチナイロンタフタ、[裏]20デニールポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®メンブレン
重量:540g
サイズ:S〜XL
価格:49,390円
ファイントラック
エバーブレスアクロジャケット(ウィメンズ)
素材:[表]50デニール4WAYストレッチナイロンタフタ、[裏]20デニールポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®メンブレン
重量:480g
サイズ:S〜L
価格:48,950円
マウンテンハードウェア|パラダイムジャケット
1993年にアメリカ・カリフォルニア州で誕生したクライマーズブランドの <マウンテンハードウェア>。
同ブランドの名作「エクスポージャージャケット」のクラシックなデザインと機能性を踏襲した「パラダイムジャケット」が雪山初心者にはおすすめです。
メッシュ裏地のあるしなやかな着心地が特徴。メンズのみの展開ですが、XSなら女性の着用も可能なサイズ感です。
マウンテンハードウェア
パラダイム ジャケット(メンズ)
素材:ドライ Q 2L 70D ナイロンウィーブ(ナイロン 100%)
重量:760g(Mサイズ)
サイズ:XS〜XL
価格:28,600円
マムート|クレーター HS フーデッド ジャケット
<マムート>はクライミングロープ製造からスタートし、クライミング用品に強いスイスの老舗メーカー。
「クレーター HS フーデット ジャケット」は、冬山登山やクライミングなどオールラウンド対応モデル。防水性のGore-Tex®メンブレンが特徴の3レイヤージャケットで、ヘルメット対応フードや通気性を確保する脇下のジッパーなど優れた機能を備えています。時代を超えたクラシカルなデザインも魅力的。
マムート
クレーター HS フーデッド ジャケット(メンズ)
素材:GORE−TEX® 3-layer
重量:536g
サイズ:S〜XL
価格:55,000円
マムート
クレーター HS フーデッド ジャケット(ウィメンズ)
素材:GORE−TEX® 3-layer
重量:479g
サイズ:XS〜M
価格:55,000円
ミレー|ティフォン50000ウォーム ストレッチジャケット
フランス発祥のアウトドアブランド<ミレー>。秋・冬用の防水透湿シェルとして「ティフォン50000ウォーム」シリーズが発売されています。
このシリーズには、独自開発したドライエッジ ティフォン50000という防水透湿性素材を使用しており、透湿性の高さと快適性から人気を博しています。
その中で雪山登山に適したモデルが「ティフォン50000ウォームストレッチジャケット」。雪山に必要な機能を備えつつ、ハードシェル特有のガサガサ感のないストレッチ性抜群な一着です。
ミレー
ティフォン50000ウォームストレッチジャケット(メンズ)
素材:DRYEDGE™ TYPHON 50000 BRUSHED BACK ナイロン100%
重量:490g
サイズ:XS〜XL
価格:31,900円
ミレー
ティフォン50000ウォームストレッチジャケット(ウィメンズ)
素材:DRYEDGE™ TYPHON 50000 BRUSHED BACK ナイロン100%
重量:430g
サイズ:XS〜L
価格:31,900円
モンベル|フレネイパーカ/プモリパーカ
<モンベル>は日本が世界に誇るアウトドア総合ブランド。安定感のある高い技術力ながらコスパが良く、世界中の登山家から人気があります。
脇下のベンチレーションのないシンプル構造の「フレイネイパーカ」は、Gore-Tex®を採用した雪山ビギナー向けモデル。日帰りの森林限界を大きく越えない雪山登山や冷え込む時期の山行で着用するのに適しています。手にしやすい価格が嬉しいポイントです。
フレネイパーカはメンズのみの展開。女性には、レディース向けモデル「プモリパーカ」がおすすめ。化粧が付きやすい口元のパーツを取り外して洗濯できるなど、女性にうれしい工夫のある雪山対応ウェアです。
素材:ゴアテックス®ファブリクス3レイヤー[表:70デニール・アンチグリース・ナイロン・タフタ]
重量:486g
サイズ:XS、S、M、L、XL、U/XS、U/S、U/M、U/L、U/XL(海外モデル)
価格:28,380円
素材:ストレッチゴアテックスファブリクス3レイヤー[表:30デニール・アンチグリース・バリスティック®ナイロン ]
重量:388g
サイズ:XS、S、M、L、XL、U/S、U/M、U/L、U/XL(海外モデル)
価格:32,230円
ハードシェルを手に入れて雪山に出かけよう!

出典:PIXTA
ハードシェルは厳しい環境下で身体を守るためのウェアだからこそ、機能性やレイヤリングのしやすさが重要。厳冬期のアルプス登山やバックカントリーなど、冬山をがっつり楽しみたい人は、雪山での本格的な活動に特化したモデルを選びましょう。
登りたい山のレベルや状況に適したハードシェルで、安全に雪山登山を楽しんでください。
雪山登山に必要な装備をチェック!