ふと思った。30Lで日帰りって、ザックの中がスカスカじゃない……?
みなさんが普段登山用で使っているメインザックの容量って、何Lですか?
登山を始めたばかりだと「30L」というひとも多いのではないでしょうか? でも、日帰り登山をしていてふと気づいたんです。
「あれ、30Lだとザックの中、スカスカじゃない?」と。ザックの中でクッカーがあちこちぶつかりまくっている……。
YAMA HACK編集部員の日帰りザックは平均◯Lだった!
そこでYAMA HACK編集部で「普段、何Lのザックを日帰り登山に使ってる?」と聞いてみたところ……。
編集 荻原
アークテリクス「シエルゾ18」(現行商品なし)
編集 川尻
パーゴワークス「バディ22L」
編集サポート 浅野
アークテリクス「マンティス26」
編集 村岡
ゴッサマーギア「バガボンド(26L)」
あれ? みんな、日帰り登山は「30L以下」のザックで登っているんだ……。
山道具屋で「30Lザック」を最初に勧められる謎
ここで疑問が。
おそらく読者のみなさんの中にも、山道具屋やアウトドアショップに行き「初めての登山用に」と伝えると、30Lのザックを勧められて購入した、というひとも多くいるのではないでしょうか?
確かに大は小を兼ねるし、荷物が収まりきらないよりはいい。話を聞くと、やはり最初は30Lを勧められて買ったという編集部員もちらほら。でも、実際に山に登っているうちに、日帰り登山では30L以下のザックを使うケースも多いようです。
どうして30Lを勧められるかについて、考えてみた
登山用品店に行くと「なるほど」と思うのですが、壁に展示されたザックの主流は30L以上。よく見ると、背面調節機能やショルダーハーネスにヒップベルト、天蓋、ギアループなど、登山ザックでおなじみの機能がついているものは、大体30L以上のものが多いのです。小容量はトレラン用など品揃え自体があまりないということもあります。
ここまで検証してみてわかったのは、最初の登山ザックは以下のようなことを想定してに勧められている気がします。
山行スタイルと荷物量からザックを見直してみよう!
ところで、ではなぜ「30Lが日帰りでは大きいのでは?」と感じてしまうのでしょうか?
図で整理してみると、30〜40Lあたりの容量のザックは、日帰りには大きめだけど、テント泊には小さめと、意外と微妙なポジション。テントとシュラフのいらない「小屋泊」までが、最適なようです。
実は編集部のテント泊派は、30Lを買ったものの、40〜60L程度の中大型ザックをステップアップに伴い追加購入し、その後に20L程度の小型ザックを日帰りとタウンユースを兼ねて買っているようなのです。
ステップアップの軸を変えれば、20Lから初めてもOK?!
「30L(日帰り/小屋泊)→40〜60L(テント泊)→20L(日帰り)」というのがステップアップの定石ですが、
「日帰り登山をやってみてから、登山にハマるか様子を見たい」
「街でも使えるサイズのザックだと普段から使えていい」
というひとにとっては、これまでは選択肢としてあげられなかった「20Lザック」というのも、最初のザックの選択肢として「あり」なのではないでしょうか? というのが、今回の記事の提案なのです。
山でも街でも使いやすい「20Lクラス」のおすすめ日帰りザックを選んでみました!
もちろん、容量だけなら通学などに使うデイパックでもいいのですが、ディテールに登山っぽさもほしい。でも、街でも使えるくらいの主張でいい。そんなニーズに応えるザックを今回探してみました。
パーゴワークス|バディ 22
「フィット感抜群!!22Lとコンパクトなのに、登山に必要な機能はしっかり揃っている、神ザックです♪ 程よいサイズ感で形もシュっとスマートなので、日帰り登山はもちろんのこと、普段もガシガシ使えます」(編集 川尻)
パーゴワークス BUDDY 22
サイズ | 500×250×200mm |
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容量 | 22L |
重量 | 640g |
主素材 | 330D ナイロン テフロンコーティング |
アークテリクス|マンティス26
「山でも街でも使用しています。ショルダーパットは厚みがあり、背面もフレームシートが入っているので日帰り登山でも疲れにくいです。なによりたくさんのポケットがあり、26Lとは思えないくらい収納力があります!」(編集サポート 浅野)
ゴッサマーギア|バガボンド デイバッグ
「背面内側にPC用ポケットがあり、Macbookを持ち歩けるのがポイント。トートバッグとして使えるトップハンドルは電車などでも活躍。地味にショルダーハーネスのポケットがSuicaやミニウォレットを入れるのに便利。一方でサイドとフロントのストレッチメッシュポケットなど、山ザックの要素もあり。UL系のメーカーなのに機能てんこ盛り」(編集 村岡)
日本では「ハイカーズデポ」で取り扱いがあります。
容量:23L重量:525g
カリマー |タトラ 20
ポケット付きのヒップベルトやポールストラップ、内ポケット付きの雨蓋など、小ぶりのサイズ感ながら機能が充実しています。
カリマー tatra 20
容量 | 20L |
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重量 | 600g |
背面長 | 40cm |
ザ・ノース・フェイス|テルス25
いわゆる「登山ザック」をそのままにサイズを小さくしたタイプなので、機能性もしっかり登山仕様。レインカバーも付属しているので、初めてのザックとしても過不足なし。フレームレスながらフィット感を高めるPEシートの使用で、背負心地にも配慮されています。
ザ・ノース・フェイス テルス 25
容量 | 26L |
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重量 | 約910g |
寸法 | H50.5×W30×D18cm |
サイズ | ONE SIZE |
素材 | 260Dリサイクルドビーナイロン、315Dリサイクルスモールドビーナイロン |
ミステリーランチ|クーリー 25
Y字型に配されたジップで大きく開閉できるため、荷物の出し入れが非常にラクです。ポールループ付き、ハイドレーション対応、ウエストベルトは取り外し可能。ウィメンズモデルも展開しています。
ミステリーランチ COULEE 25
容量 | 25L |
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重量 | 1300g |
3辺サイズ | 56×27×30cm |
ミステリーランチ COULEE 25 W's
容量 | 25L |
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重量 | 1300g |
3辺サイズ | 56×27×30cm |
グレゴリー|ナノ20
伸縮性のあるフロントポケットや通気性のいいバックパネルを備えたザック。一方で使うときには収納可能なヒップベルトや、ノートパソコンやタブレットのスリーブとしても使えるハイドレーションポケットなど、山と街で必要な要素をしっかりカバーしています。
ドイター|フューチュラ 23/フューチュラ 21 SL
通気機能と背負い心地のバランスの良さが人気のドイターの「フューチュラ」シリーズ。容量の展開が豊富で、日帰りに丁度良いサイズもラインナップ。SLは女性用モデルです。
ドイター FUTURA 21 SL
容量 | 21L |
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重量 | 1160g |
サイズ | 高さ50×高さ28×奥行18cm |
オスプレー|ストラトス24/シラス24
オスプレーのハイキングパックといえば、ストラトスとシラス(女性用)。ポケットやポールループ、ハイドレーション対応など充実の機能はもちろん、レインカバーも付属しています。
オスプレー ストラトス24
容量 | 24L |
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重量 | 1260g |
素材 | メイン=ブルーサイン®認証210Dリサイクルナイロンハニカムコントラスト、PFC/PFASフリーDWR アクセント=ブルーサイン®認証420Dリサイクルナイロン、PFC/PFASフリーDWR ボトム=ブルーサイン®認証420Dリサイクルナイロン、PFC/PFASフリーDWR |
外寸 | 59×34×24cm(縦×横×奥行) |
サイズ | ワンサイズ |
オスプレー シラス24
容量 | 24L |
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重量 | 1240g |
素材 | メイン=ブルーサイン®認証210Dリサイクルナイロンハニカムコントラスト、PFC/PFASフリーDWR アクセント=ブルーサイン®認証420Dリサイクルナイロン、PFC/PFASフリーDWR ボトム=ブルーサイン®認証420Dリサイクルナイロン、PFC/PFASフリーDWR |
サイズ | ワンサイズ |
ブラックダイヤモンド|トレイルジップ18
荷物の少ない人にぴったりのシンプルなデザイン。両サイドにブラックダイヤモンドの折りたたみ式ポールを収納できるほか、一般的なポール固定用のループも付いています。
ブラックダイヤモンド トレイルジップ18
容量 | 18L |
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重量 | 415g |
素材 | 100dナイロン 4mmリップストップ |
小型ザックを山で使う上で注意したいこと
普段の街での外出でも「今日は雨が降らず快晴」という日に、わざわざ折り畳み傘は持っていきませんよね。
ただし山では「登る山の標高や難易度」「天候の変化」などと照らしわせての判断が必要。少しでも心配要素があるならば、レインウェアや防寒具などを削るのは得策ではありません。
でも、小屋で昼ごはんを食べたり、パンやおにぎりなど持参し調理をしないのであれば、クッカーなど調理器具が不要になるのでこの分の荷物は減らせます。
小型ザックは背面パッドが入っていないタイプも多く、パッキングがうまくないと背負い心地が悪く疲れてしまいます。背面パッドがしっかりしたものを選ぶことも重要。
これからギアを揃えるひとは、最初は比較的安価なものから買うかと思いますが、すぐに目が肥えて「軽量・小型」のものがほしくなる、という「登山あるある」も頭に入れておくと、効率の良い買い物ができますよ。
大は小を兼ねる……とは限らない!?
「大きいザックを買っておけば間違いない」というのはある点では正しいですが、少し視点を変えて考えてみると、違う選択肢というのもあるかもしれません。「大は小を兼ねる」ことができても、「大は小よりいい」かどうかは、山行スタイルや普段使うバッグ次第で人それぞれ。
メソッドに忠実なだけでなく、自分のスタイルを見つけていくことも、また道具選びの楽しさかもしれません。