ちょっとした傷が後に大変になることも・・・
登山中は転んだりとっさに手をついたりと、ちょっとした不注意で手を切るなど出血することも多いですよね。かすり傷ならまだしも、岩場でこけてしまうと、ちょっとマズイというくらい血が出てしまうこともあるかもしれません。
ちょっとした傷をなめてはいけない!
たとえちょっとした傷でも、そのままにしておくとバイ菌などで傷が悪化することも。とくに、傷が表皮や真皮を通り越して皮下組織まで達していると感染して化膿しやすくなります。
転んだり、ふと手をついた時に切り傷や擦り傷を負う可能性もあるので、正しく対処できるように処置方法を知っておきましょう。
やることは、①洗浄②止血③保護の3ステップです。
STEP①:まずは洗浄できれいにしよう
必ず手袋を使いましょう!
感染症などの危険があるため、直接傷口を触らないように必ずビニール手袋などをします。手袋がない場合は、ビニール袋でも代用可能。
直接血液に触れた場合や、目や口に付着した場合は、しっかり水洗いしてすぐに医療機関に相談しましょう。
清潔な水で傷口を洗おう
傷の見た目がきれいでも、必ず流水で洗浄を行います。この時に使用する水は、蓋を開けていない飲料水がベストですが、水道の水でも大丈夫。沢の水しかない場合悩むかもしれませんが、「飲めるものなら洗浄にも使える」と思ってOK。砂糖や塩が含まれている飲み物は傷に染みることもあるので避けましょう。
清潔な水で土や泥、草などの異物を手早くきれいに洗い流します。傷の中もしっかり確認し、水で流すだけで落ちない場合は、指で擦るようにして落としましょう。
登山中は、十分な水の量を確保できない場合も。そんな場合は、ペットボトルの蓋に小さな穴を開けたり、水を入れたジップロックの角を切ることで少量の水でも勢いよく噴出することができます。
キリで穴を開けて水圧をかけて出してみて、うまく水が出るか確認しておきましょう。傷口に集中して当たりそうならOKです。
ぺットボトルの蓋はメーカーにより合わないこともあるので、事前に準備する場合は注意が必要です。
消毒はいらない!
驚かれるかもしれませんが、現代の標準的な治療として、傷に消毒液を塗ったりふきかけたりすることはしません。消毒液はバイ菌をやっつける作用が強いため、傷にもダメージを与えてしまい治りを悪くすることがあるからです。
そのため十分に流水で洗ったら、基本的には消毒はいりません。もし消毒液を持っていたら、傷の中に入らないように注意しながら、傷の周りの皮膚の消毒に使ってあげましょう。
STEP②:止血の基本は直接圧迫止血法
傷口が清潔になったら、次は血を止めます。間違った止血方法を行うと、止血できていなかったり悪化させてしまうことも。
きちんと止血できるように止血の仕方を学んでおきましょう。
傷口にガーゼを当てて上から圧迫
止血するには、傷口に滅菌ガーゼなどを置いて上から強く抑え、心臓よりも高い位置に持ち上げます。滅菌ガーゼがない場合は、できるだけ清潔なタオルやバンダナで代用。
間接圧迫止血法という方法もありますが、専門知識がない一般登山者の場合は直接圧迫法で処置しましょう。
STEP③:最後に傷口の保護を忘れずに
止血ができたら、あとは傷口を保護します。必ず止血がきちんとできていることを確認してから、保護しましょう。
ガーゼの上から包帯を巻いていきましょう
登山の場合、処置の後も歩いたり運動しなくてはいけませんので、その時にじわじわと出血してくることも稀にあります。
もし持っているのであれば、キネシオテープなどの伸縮性のテープを使って、厚めのガーゼを当てた上から少し圧迫気味に固定。さらにそれが剥がされないように、上から包帯や三角巾を巻いてあげましょう。
ただし腕や足の場合、1周ぐるりとキネシオテープを巻かずに、2/3周程度巻いて残りはあけておきましょう。傷は少し経つと腫れてくるので、血流を止めてしまうためよくありません。包帯はきつく巻きすぎず、腫れてきつく感じたら緩める、などが必要です。
血液の付いた手袋などは、ビニール袋などに入れて捨てましょう。
正しい処置のためには、事前準備が大切。
登山中のケガは誰にでも起こりうるもの。少しでも出血の量が多いと慌ててしまいますが、止血の方法を知っていれば落ち着いて対処することができます。
実際に練習するのが一番ですが、何度か手順を読んでイメージしておくだけでも違いますよ。
持っていない人は揃えておこう
■包帯
■キネシオロジーテープ