登山中に怪我をした!初期対応や救助依頼などを救助隊員に聞いてみた

登山には残念ながら転倒などの怪我のリスクが潜んでいます。でも、怪我をして動けなくなった時に正しく対応できますか?今回はいざ動けなくなり遭難してしまった時の初期対応から救助依頼方法まで、万が一の時の対応を東京都山岳連盟救助隊 隊長の金子さんに教えてもらいました。登山の前に必ず覚えておきましょう。


アイキャッチ画像出典:Facebook/くじゅう高原Japan

遭難の原因1位は道迷い!でも、2位も注意が必要です。

登山 転倒
出典:PIXTA
美しい景色、おいしいごはんなど登山の楽しみはたくさん。でもその反面、道迷いや怪我などの危険性もあるんです。遭難の原因1位の道迷いも気をつけなければいけませんが、実はそれ以外も注意が必要なんです。


遭難の原因2位の”転倒”も要注意!

平成30年山岳遭難件数 2018年9月に警察庁から発表されたデータによると、『転倒』が遭難の理由で2位となっています。これは転んだことで足をくじいたり、出血したりして行動できなくなった人などが該当します。街でも転ぶということは起きるので、舗装されていない山道であれば、あなたも友達にも転倒して怪我をする危険性があるんです。

もし友達が登山中に怪我で動けなくなった場合、正しく行動できると自信を持って言えますか?少しでも不安があれば、復習の意味も込めて確認してみましょう。

【1】友達が怪我をしてしまったらまずはどうする?

怪我をして応急処置を受ける登山者 今回、友達が遭難してしまった時の対応を、東京都山岳連盟救助隊 隊長の金子さんに教えてもらいました。
怪我で動けなくなってから、救助隊と合流するまでを流れで見ていきます。


編集部員S
金子さん、本日はよろしくおねがいします。


金子さん
お願いします。


編集部員S
早速ですが、一緒に登山をしている友達が怪我をして動けなくなったらどうしたらいいんですか?


金子さん
そうですね。まずは、深呼吸でもして落ち着きましょう。


編集部員S
すぅーはー(深呼吸)


金子さん
落ち着いたら、救急処置をするために安静にできる場所に移動させます。


編集部員S
えっ!背負って降りなくてもいいんですか?


金子さん
だめとは言い切れませんが、怪我をした人はザックよりも重いので、背負って降りるのは大変ですよ?

救急処置ってなにすればいいの?

考える男性
出典:PIXTA

編集部員S
(確かに無理だ・・・。)でも、救急処置って言っても何をしたらよいかわからない人も多いと思うのですが?


金子さん
あ~。わからない場合は、悪化させる恐れがあるので着手厳禁です!体温が下がらないように、保温や止血をしてください。


編集部員S
確実にできることをするということですね。体温の確保なら、ウェアを着たりすればできますね。

★POINT★
まずは落ち着いて安静にできる場所に移動。
可能であれば救急処置をして、不安があれば体温だけでも確保する。

▼救急処置がわからない人は必ず、講習会などで学ぼう
jRO 救急法に関して

【2】安全の確保ができたら、救助要請を

スマホ 救助要請
出典:PIXTA
安静にできる場所に移動したら、次は救助要請をします。
その場で電波が通じれば良いですが、山は場所によっては通じないこともあるので、その時は電波が通じるところまで移動し救助要請をします。

金子さん
暗闇での行動は周りが見えなくなり、自分の位置を見失いやすくなります。不安があれば、明るくなるまで待ちましょう。

★POINT★
①まだ行動ができる明るさなら、スマホの電波が通じるところまで行く
②日が暮れてしまった場合は無理をせず、明るくなるまで体力を温存しておこう

助けを呼びに行く時の注意点は?

道迷い 下山
出典:PIXTA

編集部員S
友達を置いて行くことになるんと思うんですけど、気をつけておくことってありますか?


金子さん
友達の貴重品や行動食糧、水、防寒具、ヘッドランプなどは置いていってあげましょう。


編集部員S
荷物を置いていくと。では、僕は何を持っていたら良いですか?


金子さん
身軽にすばやく行動するために、可能な限り共同装備は置いて行きます。自分の食糧、水、防寒具や雨具、ヘッドランプなどだけ持っていきましょう。


編集部員S
わかりました!じゃあ急いで救助を呼びに行きます!!!


金子さん
Sさん!落ち着いてください。すばやく身軽といっても、急いで怪我をしてしまっては本末転倒です。落ち着いて、冷静に行動しましょう。

★POINT★
身軽に行動できるように、必要な装備以外は預けよう

助けを呼びに行く時は、絶対に下っちゃいけないの?

道迷い
出典:PIXTA
登山で道に迷ったり、遭難したりした場合の基本は【上に登る】です。
これは、以下の理由などがあります。登山道は山頂に集まります。なので、
・人に出会いやすい登山道にでることが大切
・谷や沢よりも、尾根上のほうが電波が通じやすい 

逆に沢を下ることは、下のような理由でNGとされています。
・沢は突如滝に変わり進めなくなることがある
・転落してしまうと、体が冷えて死にいたることも
でも、本当に下るのはだめなんでしょうか?

編集部員S
金子さん、山を下るのって絶対にだめなんですか?


金子さん
絶対にダメ!とは、言い切れません。


編集部員S
ということは、例外があるんですね。


金子さん
例えば、よく知っている山で沢が下れるということや、稜線にあがるよりも早く救助要請ができる確証があれば、下ることも間違いとは言いきれません。


編集部員S
山に詳しくないと、確証を持つのは難しそうですね。


金子さん
そうですね。基本的には『登る』ということを、覚えておきましょう。

★POINT★
基本的には『登る』を抑えた上で、臨機応変に行動しよう


【3】救助依頼をしよう!

登山 電話
出典:PIXTA
電波が通じる場所まで移動したら、次は電話で警察に救助依頼をします。
もし山小屋があったり、人に出会ったりした場合は遠慮せずにその人に依頼します。その時は、お礼のために連絡先を聞いておくとよいでしょう。

救助依頼で伝える、主な情報は以下の通りです。
・自分たちのいる位置情報(経度、緯度、標高)
・あなたの情報(名前、電話番号、年齢)
・友人の情報(名前、電話番号、性別、年齢、症状や容態、手当の状況など)

編集部員S
金子さん。自分の位置情報なんて、わからないんですけど。


金子さん
登山用のGPSアプリがあれば、簡単に自分の位置情報を確認できるのでおすすめですよ。

現在位置 GPSアプリ
撮影:YAMA HACK編集部

編集部員S
(確かに簡単だ)でも、アプリを入れてなかったら無理ですよね?


金子さん
アプリがないとなると、地図とコンパスで自分の位置を特定して、説明するしかないですね。


編集部員S
ん~。これは、アプリを入れておいたほうが良いですね。

★POINT★
登山用GPSアプリは便利!普段から活用しておこう!

▼登山用GPSアプリはもはや常識です


【4】救助依頼ができたらそれでOK?

登山 救助依頼
出典:PIXTA
必要な場所を伝えて、救助の依頼が完了しました。でも、これでまだ終わりじゃないんです。

編集部員S
よし!救助の依頼完了!友だちが待っているので戻ります!


金子さん
Sさん!ちょっと待ってください!救助隊がそう言ってましたか?


編集部員S
えっ!いや、あの~。。。言ってないです。


金子さん
そうですか。必ず救助隊に、この後どうすれば良いか指示を仰ぐようにしてください。


編集部員S
はい、すみません。でも、どうしてでしょうか?


金子さん
Sさんは、友達の場所がわかっていますよね?なので、救助隊と合流して一緒に戻るという場合もあります。なので、やはり指示をもらうのが良いでしょう。


編集部員S
確かに。それに、戻ってしまうと電波が通じなくなり、救助隊の方と連絡もできなくなってしまいますね。

★POINT★
救助依頼後は、必ず救助隊の指示を仰ぎ、それに従いましょう。

▼モバイルバッテリーも忘れずに


基本をしっかりと理解して、臨機応変に対応しよう

登山 友だち
出典:PIXTA
編集部員S
まとめると、
【1】落ち着いて、安静にできる場所に移動
【2】救急処置、できなければ体温の確保を行う
【3】日が明るければ電波が通じるところを探しに行き、 暗ければ無理をせずに明るくなるまで待つ
【4】食糧、水、防寒具や雨具、ヘッドランプなどの装備を持ち行動
【5】行動時は基本的には『登る』
【6】登山用GPSアプリは必ずスマホに入れておく
【7】依頼後は救助隊の指示に必ず従う


金子さん
そうですね。これらのことを基本として、落ち着いて対応しましょう。
編集部員S
金子さん、ありがとうございました。
いざ自分の友だちが怪我をしてしまうと、慌ててしまうと思います。そんな時も、まずは落ち着いて深呼吸。しっかりと状況を考えながら対応していけば、大丈夫です。
しかし救急処置などは、本などを見るだけでの習得はむずかしいかもしれません。登山者としてのレベルアップのために、講習会を受けるなどしてみてはいかがでしょうか?

教えてくれた人

公益社団法人 東京都山岳連盟救助隊 隊長  金子 秀一氏

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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