あの強烈な痛みを経験したことがありますか?
登山中にふくらはぎがつってしまったり、つりそうになったりしたことはありませんか?
多くの登山者が『きつい登り』や『長時間歩いた後の下山時』などに、ふくらはぎがつってしまった経験があるようです。
そもそもふくらはぎが”つる”ってどういうこと?
ふくらはぎを突如襲う、あの激しい痛み…。経験したことはあっても、詳しいことは知らない人が多いのではないでしょうか。
“ふくらはぎがつる”というのは、筋肉が必要以上に収縮している状態のことなんです。
登山中の『つり』は危険につながる
少し痛むだけならまだ良いですが、最悪の場合、激しい痛みに襲われて行動不能になってしまうことも。
また、運悪く岩場などの危険個所でふくらはぎがつって動けなくなった、など考えただけでも恐ろしいですよね?
登山中にふくらはぎがつる原因って?
登山中にふくらはぎがつってしまう原因は、何なのでしょうか?さまざまな要因が重なって起きるため、特定が難しいものの、原因は大きく分けて3つあるようです。
①水分不足
汗をかいて体内の水分が減ると、血液の巡りが悪化。そして、血のめぐりが悪くなると、筋肉が固くなり足がつりやすくなります。
②ミネラルバランスの乱れ
筋肉の収縮には、カルシウムやカリウムなどのミネラル類が大きく関わっています。そのため、汗と一緒にミネラルが体外にでてミネラルバランスが崩れると、筋肉の収縮がうまくいかなくなり、結果として足がつりやすくなるのです。
③筋力不足(運動不足)
登山は上り下りが発生する激しいスポーツなので、下半身を中心に多くの筋肉を使います。すると、血管内に乳酸が増加し、筋肉疲労が発生。筋肉が疲労している状態は、脳から神経に送られる電気信号に誤りが増え、筋肉が正常に収縮できなくなり、つってしまうのです。
テーピングで足のつりを予防しよう!
登山者を悩ませる『ふくらはぎのつり』の予防で、おすすめなのがテーピング。
そもそもテーピングって?
テーピングとは、ケガの防止や再発予防のために行われるもので、筋肉の動きに制限を与えたり、関節や靭帯などを補強したりする役割があります。また、ケガをしてしまった際の応急処置として行われることも。
今回使用するテーピング
■ニチバン バトルウィン セラポアテープFX(キネシオロジーテープ) 50㎜
手で切れて、はくり紙がないので一人でも簡単に貼りやすい。肌に負担をかけにくく、関節や筋肉をサポートします。
■ニチバン バトルウィン Wグリップ HYBRID 自着バンデージ 75㎜
皮膚につかず重ねて巻くだけでくっつくので、体毛が濃い人や肌が弱い人でも使いやすく、巻き直しも簡単です。軽い巻き心地なのに固定力や圧迫力は、しっかりと発揮。
今回は、『セラボアテープFX』を使用するが、代わりに『セラポアテープ撥水(キネシオロジーテープ)』でもOK。
一人でも簡単!ふくらはぎのテーピング方法
今回のテーピングは、少し練習をすれば自分一人でもできるようになります。ぜひ、この機会に習得しておきましょう。
3本のテーピングでふくらはぎの筋肉を引き上げ、最後にWグリップテープでサポートしていきます。
また、足を椅子にあげて行うと、かかとの下にテーピングがしやすくなりました。椅子がない場合などは、地面や床に足を置いてOKです。
1本目はふくらはぎの真ん中に
初めに足首が90度になるよう意識して立ち、かかとの下からテーピングを開始。
かかとのテープが剥がれないように、ゆっくりと膝の裏に向かって、テープをまっすぐ1本貼ります。後で、貼り直すため軽く貼ってください。
膝の裏までの長さがわかったら必要な長さ分テープを切って、ふくらはぎの筋肉を引き上げるように、テープを下から貼っていきます。
これで、1本目は完了です。
2本目は足の内側に貼ります。
スタートは1本目と同じくかかとの下から。1本目と重ねるようにします。
膝の内側に少しずらしながら、2本目を貼っていきます。
1本目と同様長さが決まったら手で切り、筋肉を引き上げるように貼ります。これで2本目はOK。
3本目は足の外側に。
スタートは、かかとの下で1、2本目と重ねるように。
膝の外側に向かって3本目を貼ります。
3本目も、筋肉を引き上げるように貼ったら完了。
最後にWグリップでサポート力UP
足首の内側から、Wグリップをグルグルと巻いていきます。
テーピングが隠れるところまで巻けたら、終わりも内側になるように、はさみでテープを切ります。
■動画でテーピング方法を確認しよう
気になるQ&A
テーピングを貼る際に、足を90度にするのはどうしてですか?
人は立っている時に足首の角度が90度になるからです。この角度でテーピングしないと効果が半減します。また、歩いたり、走ったりする時にシワが入ったり、違和感につながります。
Wグリップでさらにサポートするのはどうしてですか?
圧力を加えると、筋肉の無駄な動きを抑えることができ、有効だからです。
Wグリップを巻いていく時に、内側からはじめて、内側で終わるのは意味がありますか?
あります。比較的足の外側は摩擦が起きやすいので、テープの剥がれにつながります。そのため、剥がれにくい内側から巻き、内側で終わることをおすすめしています。
他のテーピング動画では1本のテープを2股にして使用していますが、それと今回の動画のテーピングは何か違いますか?
二股にテープを貼ると、力が加わった時にその切れ目から裂けてしまい、効果が半減します。そういったことを避けるために、二股にしない方法をおすすめしています。
他にもある!ふくらはぎのつり対策
テーピング以外にも大切な“ふくらはぎのつり予防法”を3つ紹介します。
【1】登山前の準備体操は忘れずに
つりを予防するのには『冷え』が厳禁!体が冷えた状態で登山を開始すると、筋肉がうまく収縮できず、すぐに疲労がたまりやすくなります。
準備体操でしっかりと体を温めてから、登山を開始しましょう。
【2】水分とミネラルの補給を行う
登山中は、大量の発汗で水分やミネラルが体外に出てしまいます。必ずスポーツドリンクなどで、水分とミネラルをこまめに補給しましょう。足のつり以外の脱水症状の予防にもつながるので重要です。
■登山中は意識して水分を補給しよう
【3】休憩中のこまめなストレッチを忘れずに
筋肉が疲れて固くならないように、休憩中などもこまめにストレッチをしましょう。ふくらはぎを伸ばしたり揉んだりして、少しでも血流を良くすることが、“ふくらはぎのつり”予防に役立ちます。
“足のつり”を予防して、安全で快適な登山を!
テーピングのコツを教えてくれた人
ニチバン株式会社 花村さん(BWテーピングアドバイザー、日本スポーツ協会スポーツリーダー)