これだけはやっておきたい!山から帰ってきたその日中に行うべき登山道具たちのメンテナンス法

2021/12/24 更新

山で疲れて帰ってきて、翌日は仕事……となると一刻も早くベッドに入って休みたいですよね。ただ使った登山道具たちを放置してしまうと劣化が進み、高かったアイテムをすぐに買い換えなければならなくなってしまうかも。そこで今回は、眠い目をこすってでも《その日中にするべき》お手入れ方法や《次の山行までにしておくべき》保管方法を紹介していきます。次の山行も気持ちよく使えるように、大切な道具をケアしてあげましょう。

制作者

登山ガイド

山下 晶子

兵庫県在住。登山ガイド。 あと一歩を踏み出せない初心者の方、もう今までみたいに歩けないと山歩きを諦めようとしているシニアの方などのサポートに力を入れております。 その人、その人にあった、それぞれの楽しみ方をご提案しています。

山下 晶子のプロフィール

...続きを読む


アイキャッチ画像 出典:いらすとや、illpop.com(作成:akko_y)

放置された山道具たちが泣いている……

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや、illpop.com(作成:akko_y)
1泊2日の登山を楽しんできたA子さん。どうやら疲れすぎて、お風呂に入ってそのまま寝てしまったようです。

使われた登山道具は、リュックに詰めたまま床に放置されています。すると……

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや、illpop.com(作成:akko_y)
「自分だけお風呂に入って、ズルいよ~」「僕たちだって、キレイにしてよ」「ザックの中に押し込められたままなんて、息もできないよ」「もう耐えられない。劣化してやるんだから~」

道具たちの嘆きの声が、夢の中にまで届いて、A子さんはうなされているみたいです。

放置された道具、
・リュック
・登山靴
・レインウェア
・テント
・寝袋
5アイテムの状態をそれぞれに聞いてみましょう。

A子さんが眠い目をこすってでも、帰ってきたその日中にしておくべきだったメンテナンスとは一体どんな行為だったのでしょうか?

共通していたのは、《汚れや濡れ》の対策

山道具たちが泣いている
出典:PIXTA
道具たちの嘆きには共通しているものがありました。それは「汚れや濡れをそのままにしないで!」ということ。
実は、どんな道具であっても、共通して気を付けないといけないポイントがあります。それがこちらの3つ。

①汚れたままにしない
②しっかり乾燥させて、袋などに密閉しない
③紫外線は避ける

汚れや濡れを放置してしまうと、生地や素材の劣化につながり、すぐに買い替えが必要になってしまうことがあるんです。A子さんによって放置されてしまった山道具たちが具体的にどんな状態になってしまったのか、彼らの嘆きに耳を傾けてみましょう。

それぞれの道具ごとに、《その日中にするべき》&《次の山行までにしておくべき》お手入れや保管方法を紹介していきます。道具たちが涙を流すことがないようにしっかりとメンテナンスしてあげましょう。

リュックさんの訴え

山道具たちが泣いている
出典:illpop.com(作成:akko_y)
荷物がパンパンにパッキングされたままのリュックさんが床に転がって泣いています。
何か悲しいことがあったのでしょうか?
みんなを守って、砂や泥にまみれて疲れちゃったよ。しかも、肩の部分や背面パネルは汗を吸ってじっとり。僕、このままじゃ臭くなっちゃうよ……

汗の塩分や砂粒で、チャックの動きもなんだかぎこちないし。


中には荷物が詰まっていて、吸い込んだ汗もなかなか乾かずに困っているようですね。どうすればいいのでしょう?

帰宅して、その日中にしておきたいこと

ザックのお手入れ
撮影:YAMA HACK編集部
【これだけはマストでしておきたい!】
中の物をすべて出して、雨蓋やチャックなど、開けられるところはすべて開けます。内部に湿気や匂いがこもったままにならないようにしておきましょう。

【余裕がある時にしておくといいこと】
目立つ汚れがあったら、拭き取っておくのがオススメ。あとで洗濯するときに汚れが落ちやすくなります。

次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法

ザックのお手入れ
撮影:YAMA HACK編集部
かたく絞った濡れタオルで汚れをふき取り、しっかり陰干ししましょう。古い歯ブラシなどを使って、チャックなどに詰まった細かい砂汚れを落としておくと、滑りが悪くなりませんよ。

保存は直射日光を避け、風通しのいい場所で保管してください。湿度が高いと防水コーティングが白化して、見ためだけではなく、機能も低下してしまいます。

全体の汚れや匂いが気になる場合は、丸洗いもオススメです。(※洗えないものもあるため、事前に確認してください)

▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック

登山靴さんの訴え

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや(作成:akko_y)
袋に入れられたまま、玄関に放置されているシューズさん。なんだか元気がありません。どうしましたか?
ソールに石が引っかかって、ヒビが入りそうだよ。
泥がついたままや湿気がこもった状態のままだと、カビが生えたり、防水機能が低下したりとよくないことばっかり。ソールも剥がれやすくなっちゃうし。

袋に入れられたまま長く放置されると、靴全体の劣化が進んじゃうんだ。
登山靴さん
登山靴さん


外は泥汚れ、中は汗でムンムン湿気がたまっているのに、袋に入れられたままなんですね。湿気と菌で、大変なことになりそうです。どうしてあげたらいいのでしょう?

帰宅して、その日中にしておきたいこと

靴のお手入れ
撮影:akko_y
【これだけはマストでしておきたい!】
袋などに入れている場合は、湿気がこもらないように、袋から出しておきます。また内部の湿気が早く抜けるように、インソールを中から出しておくことがポイント。ソールに石が詰まっている場合は、取り除いておきましょう。

【余裕がある時にしておくといいこと】
泥汚れなどは時間が経つと落としにくくなります。アッパー(靴の甲の部分)は豚毛のブラシなどやわらかい素材のものでブラッシング。大まかに泥を落としておくことがオススメです。

次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法

登山靴の保管方法
撮影:akko_y
素材によってお手入れ方法は少し変わります。ただ共通しているのは、とにかく表面の汚れはキレイに落とすこと。

この時、靴の素材を傷つけないように、優しく落とすのがポイントです。また、次の山行で使う前に撥水スプレーをかけておきましょう。濡れだけでなく汚れがつきにくくなる効果もあります。

保管する場所は、風通しのいい、直射日光の当たらないところにしましょう。

▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック

レインウェアさんの訴え

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや(作成:akko_y)
あらあら、レインウェアさんはびしょ濡れですね。しかも、スタッフバッグにギュッと入れられて、リュックに押し込められているようです。
表面には雨や泥汚れ、内側は汗、もう疲れ果てました。これ以上、水を弾いたりできません。
汚れや湿気が残っていると、カビが生えることもあるんですよ。

濡れたままギュッと押し込まれていると、生地がベタベタになったり、ボロボロと崩れたり、使い物にならなくなってしまう。きっとこのまま私は捨てられてしまうのでしょう……
レインウェアさん
レインウェアさん


見るからに可哀そうな状態ですね。どうしてあげたらいいのでしょう?

帰宅して、その日中にしておきたいこと

レインウェアのお手入れ
出典:PIXTA
使用後は、濡れたままリュックに詰め込む時間をなるべく短くするのがポイント。山小屋の乾燥室を利用したり、晴れてきたらリュックにレインウェアを巻いたりとできるだけ乾かしてあげるといいでしょう。

【これだけはマストでしておきたい!】
濡れている場合はもちろん、乾かして持ち帰った場合も、帰宅したらすぐにハンガーにかけて干してください。

【余裕がある時にしておくといいこと】
時間があれば、洗ってから干しておきましょう。

次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法

レインウェアのお手入れ
撮影:akko_y
使用した場合は必ず洗濯し、しっかり乾燥させてから保管してください。ピッタリ畳んで重ねて収納したり、付属のバッグにギュッと押し込んでしまうと、空気がこもることで全体の劣化が進んでしまいます。

なるべくハンガーにかけて、風通しのいい、直射日光の当たらないところで保管しましょう。

▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック


テントさんの訴え

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや(作成:akko_y)
テントさんもスタッフバッグに入ったまま、リュックさんの中にいますね。なんだか汚れているみたい。大丈夫ですか?
泥汚れや木くず、葉っぱ、それに、内側にも食べこぼしや髪の毛、ゴミなどの汚れが残っているの。このままだとカビが生えてしまうわ。
雨や朝露の水分も、生地の劣化の原因になって、防水機能が低下しちゃうのよ。

一見濡れていないように見えても、睡眠中の呼気に含まれる水蒸気で、テント内の湿度は高くなっているの。
それに、ギュッと圧縮して詰め込まれている状態が長く続くと、生地の折り目はもちろん、全体に劣化が早くすすんでしまうので、やめてほしいわ。
テントさん
テントさん

いろいろな汚れがついたまま、湿気もこもっていて苦しそう。
大きなものだし、帰宅時間が遅いとベランダに干すこともできませんね。どうしておけばいいのでしょう?

帰宅して、その日中にしておきたいこと

テントの水滴
出典:PIXTA
撤収時、フライシートは軽く振って夜露を落としてから片付けましょう。雑巾があれば、軽く拭いておくのもオススメです。
また、本体を畳む前に入口を下に向けてパタパタすることで、内側の細かな砂やゴミを落とせます(※風の強い時は危険なので、状況をよく見ておこなってください)。

【これだけはマストでしておきたい!】
帰宅後は袋から出し、可能であれば湿気が抜けるように広げて干しておきましょう。スペース的に難しい場合は、ふわっと置いておくだけでもOKです。

【余裕がある時にしておくといいこと】
時間が経つと汚れは落ちにくくなります。全体をチェックして、気になる汚れは拭きとるか、部分洗いで落としておきましょう。

次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法

バサバサ
撮影:YAMA HACK編集部(バサバサと乾かします※強風時は注意)
テントは外側だけではなく、内側の汚れもしっかりチェックすることが大切。一度設営して、全体の汚れを確認するのがオススメです。キレイに拭きとるか、汚れがひどい場合は部分洗いで落としましょう。
風通しのいい場所に干して、湿気をしっかり取ってくださいね。

保管する時は、引き出しに詰め込んだり、付属のバッグに押し込んだりせず、ふんわり畳むか、ハンガーに干しましょう。

▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック

寝袋さんの訴え

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや(作成:akko_y)
寝袋さんもスタッフバッグに入ったまま、リュックさんの中にいますね。ご自慢のフワフワボディがペチャンコになって、嘆いていますよ。
人って寝ている間にいっぱい汗をかいているのよね。それのせいか、なんだか湿っていてカラダが重いわ。

しかも、そのままギュッと押しつぶされて、身も心もペチャンコよ。このままじゃカビも生えそうだわ。それに、お茶もこぼされちゃって、せっかくの羽毛がゴワゴワよ。ふんわりしていたいのに……
寝袋さん
寝袋さん

とりあえず、一刻も早くふんわりさせてあげたいですね。どうしたらいいのでしょうか?

帰宅して、その日中にしておきたいこと

寝袋のお手入れ
撮影:akko_y
【これだけはマストでしておきたい!】
スタッフバッグから出し、ふんわり置いておくか、ハンガーにかけて、湿気がこもらないようにしておきます。

【余裕がある時にしておくといいこと】
飲み物などで汚してしまった場合は、部分洗いするか、かたく絞った濡れタオルでしっかりふき取っておきましょう。

正しいお手入れと保管方法

寝袋のお手入れ
撮影:akko_y
陰干しして、しっかり湿気をしっかりとばしましょう。湿気が残ったまま保管していると、カビや匂いが発生するだけでなく、性能が低下して、次に使う時に寒い思いをすることも。

また、全体にふわふわ感が減ってきたり、匂いや汚れが気になってきたら、クリーニングや丸洗いをしてリフレッシュさせましょう。(※洗濯に関しては製品ごとに違うため、必ず事前に確認してください)

▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック

しっかりメンテナンスをして、次の山行に備えよう

山道具たちが泣いている
出典:いらすとや、illpop.com(作成:akko_y)
なるべくその日のうちにリュックや袋から出して、汚れを落とし、乾燥させるようにしましょう。乾燥させるときは直射日光がよくないので、陰干しで風通りのいい場所で干すのがポイントです。

しっかりお手入れをして、正しく保管していれば、いつでも快適に山へ行けますよ。そして何より、「持って行ったのに使えなかった!」なんてトラブルもなくなり、安全に登山を楽しめます。

いつもあなたを支えてくれる山道具たちをしっかりケアして、長く使えるようにしましょう。

この記事を読んだ人はこちらもチェック


関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

山道具たちが泣いている
この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」