放置された山道具たちが泣いている……
1泊2日の登山を楽しんできたA子さん。どうやら疲れすぎて、お風呂に入ってそのまま寝てしまったようです。
使われた登山道具は、リュックに詰めたまま床に放置されています。すると……
「自分だけお風呂に入って、ズルいよ~」「僕たちだって、キレイにしてよ」「ザックの中に押し込められたままなんて、息もできないよ」「もう耐えられない。劣化してやるんだから~」
道具たちの嘆きの声が、夢の中にまで届いて、A子さんはうなされているみたいです。
放置された道具、
・リュック
・登山靴
・レインウェア
・テント
・寝袋
5アイテムの状態をそれぞれに聞いてみましょう。
A子さんが眠い目をこすってでも、帰ってきたその日中にしておくべきだったメンテナンスとは一体どんな行為だったのでしょうか?
共通していたのは、《汚れや濡れ》の対策
道具たちの嘆きには共通しているものがありました。それは「汚れや濡れをそのままにしないで!」ということ。
実は、どんな道具であっても、共通して気を付けないといけないポイントがあります。それがこちらの3つ。
①汚れたままにしない
②しっかり乾燥させて、袋などに密閉しない
③紫外線は避ける
汚れや濡れを放置してしまうと、生地や素材の劣化につながり、すぐに買い替えが必要になってしまうことがあるんです。A子さんによって放置されてしまった山道具たちが具体的にどんな状態になってしまったのか、彼らの嘆きに耳を傾けてみましょう。
それぞれの道具ごとに、《その日中にするべき》&《次の山行までにしておくべき》お手入れや保管方法を紹介していきます。道具たちが涙を流すことがないようにしっかりとメンテナンスしてあげましょう。
リュックさんの訴え
荷物がパンパンにパッキングされたままのリュックさんが床に転がって泣いています。
何か悲しいことがあったのでしょうか?
汗の塩分や砂粒で、チャックの動きもなんだかぎこちないし。

中には荷物が詰まっていて、吸い込んだ汗もなかなか乾かずに困っているようですね。どうすればいいのでしょう?
帰宅して、その日中にしておきたいこと
【これだけはマストでしておきたい!】
中の物をすべて出して、雨蓋やチャックなど、開けられるところはすべて開けます。内部に湿気や匂いがこもったままにならないようにしておきましょう。
【余裕がある時にしておくといいこと】
目立つ汚れがあったら、拭き取っておくのがオススメ。あとで洗濯するときに汚れが落ちやすくなります。
次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法
かたく絞った濡れタオルで汚れをふき取り、しっかり陰干ししましょう。古い歯ブラシなどを使って、チャックなどに詰まった細かい砂汚れを落としておくと、滑りが悪くなりませんよ。
保存は直射日光を避け、風通しのいい場所で保管してください。湿度が高いと防水コーティングが白化して、見ためだけではなく、機能も低下してしまいます。
全体の汚れや匂いが気になる場合は、丸洗いもオススメです。(※洗えないものもあるため、事前に確認してください)
▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック
登山靴さんの訴え
泥がついたままや湿気がこもった状態のままだと、カビが生えたり、防水機能が低下したりとよくないことばっかり。ソールも剥がれやすくなっちゃうし。
袋に入れられたまま長く放置されると、靴全体の劣化が進んじゃうんだ。

外は泥汚れ、中は汗でムンムン湿気がたまっているのに、袋に入れられたままなんですね。湿気と菌で、大変なことになりそうです。どうしてあげたらいいのでしょう?
帰宅して、その日中にしておきたいこと
【これだけはマストでしておきたい!】
袋などに入れている場合は、湿気がこもらないように、袋から出しておきます。また内部の湿気が早く抜けるように、インソールを中から出しておくことがポイント。ソールに石が詰まっている場合は、取り除いておきましょう。
【余裕がある時にしておくといいこと】
泥汚れなどは時間が経つと落としにくくなります。アッパー(靴の甲の部分)は豚毛のブラシなどやわらかい素材のものでブラッシング。大まかに泥を落としておくことがオススメです。
次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法
素材によってお手入れ方法は少し変わります。ただ共通しているのは、とにかく表面の汚れはキレイに落とすこと。
この時、靴の素材を傷つけないように、優しく落とすのがポイントです。また、次の山行で使う前に撥水スプレーをかけておきましょう。濡れだけでなく汚れがつきにくくなる効果もあります。
保管する場所は、風通しのいい、直射日光の当たらないところにしましょう。
▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック
レインウェアさんの訴え
汚れや湿気が残っていると、カビが生えることもあるんですよ。
濡れたままギュッと押し込まれていると、生地がベタベタになったり、ボロボロと崩れたり、使い物にならなくなってしまう。きっとこのまま私は捨てられてしまうのでしょう……

見るからに可哀そうな状態ですね。どうしてあげたらいいのでしょう?
帰宅して、その日中にしておきたいこと
使用後は、濡れたままリュックに詰め込む時間をなるべく短くするのがポイント。山小屋の乾燥室を利用したり、晴れてきたらリュックにレインウェアを巻いたりとできるだけ乾かしてあげるといいでしょう。
【これだけはマストでしておきたい!】
濡れている場合はもちろん、乾かして持ち帰った場合も、帰宅したらすぐにハンガーにかけて干してください。
【余裕がある時にしておくといいこと】
時間があれば、洗ってから干しておきましょう。
次の山行までにしておきたいお手入れ&保管方法
使用した場合は必ず洗濯し、しっかり乾燥させてから保管してください。ピッタリ畳んで重ねて収納したり、付属のバッグにギュッと押し込んでしまうと、空気がこもることで全体の劣化が進んでしまいます。
なるべくハンガーにかけて、風通しのいい、直射日光の当たらないところで保管しましょう。
▼より詳しいお手入れの仕方はこちらをチェック