テント泊登山はじめの一歩【メンテナンス・レビュー編】~片付け&山行の振り返り~

2021/04/09 更新

テント泊登山を楽しみ無事に帰宅したら、早いうちにやっておきたいのが、「道具の片付け」と「山行の振り返り」です。メンテナンス・レビュー編では、多くのテント泊講習会などで講師を務める登山ガイドの平川陽一郎さんに、“これだけは当日中にやっておくべき!”というポイントを教えてもらいました。

テント泊登山はじめの一歩|メンテナンス・レビュー編

テント泊装備
出典:PIXTA
無事に自宅に戻っても、そこでテント泊は終わりではありません。帰宅後、早いうちにやっておきたいのが、「道具の片付け・メンテナンス」と「山行のレビュー・振り返り」です。

【片付け・メンテナンス】 3つのポイント

使った装備のメンテナンスを怠ると、大切なギアの破損や、寿命を縮めることになり、それが次の登山でのトラブルの原因にもなりかねません。

1.使ったら汚れを落とし、完全に乾かす

登山用品
出典:PIXTA
テントやシュラフ、衣類、靴、バックパックなど、すべての装備にメンテナンスが必要です。汗や泥で汚れた衣類は毎回洗濯するのに対し、ギア類のお手入れは怠りがちですが、正しい方法で行なえば、確実に道具を長持ちさせることができ、機能を充分に発揮するために必要なことです。

アイテムごとのメンテナンス方法をしっかりと確認し、製品にあったケアを行ないましょう。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
山帰りの荷物をその日にすべてメンテナンスするのが難しくても、必ずその日のうちにやっておくべき優先順位の1位は、ずばり登山靴。

理由としては以下の3つが上げられます。

①時間が経つと泥が落としにくくなる
②泥が付いたままだとカビが発生したり革を傷めたりする可能性がある。 
③土が付いたまま次に行くと、違う山の土を持ち込むことになり、生態系に影響を及ぼす可能性がある

登山靴のメンテナンス
撮影:YAMA HACK編集部
どんなに疲れていても、下山後の一杯で酔っぱらっていても、その日のうちにブラシなどでソールの土を落とし、柔らかいスポンジでアッパーの汚れを落とし、きちんと乾かすところまでを習慣づけましょう。

テント・シュラフを干したベランダ
出典:PIXTA
テントも、乾燥だけはできるだけ早く行なうに越したことはありません。

可能であれば張って乾かすのがベター。畳んだ状態で干すと、生地やテープが集まる四隅が、なかなか完全には乾きません。晴れた日の駐車場などアスファルトの上なら、30分もあれば充分。土の上なら、四隅の下に台を置けば、底まできれいに乾かせます。

2.破損や故障がないかを必ずチェックする

装備の破損や故障
[左]出典:PIXTA [右]撮影:YAMA HACK編集部
クリーニングと同時に必ずやっておくべきことが、装備のチェック。次の登山で困らないよう、使える状態にしてから保管することが大切です。

汚れ落としや乾燥のついでに、傷んだり壊れたりしていないかをしっかりとチェックしましょう。山では気づかなかった細かいところに、不具合が生じている可能性もあります。

もし不具合があれば、すぐに修理や買い替えなどの対応をします。次に使う時にやればいいやなどと思っていると、うっかり忘れてそのまま出かけて、山で気づいても後の祭り。多少不便な想いをする程度で収まればいいですが、命に係わることにならないとは限りません。

3.正しく保管する

寝袋と収納袋
撮影:YAMA HACK編集部
登山用品すべてに共通する保管方法は、「暗・乾・冷」。直射日光を避け(暗)、なるべく湿気が少なく(乾)涼しい所(冷)がベストです。シュラフやテントなどは、行動中に使うコンプレッションパックなどに入れず、ゆったりと畳んだ状態で保管しましょう。

とくに条件が整う保管場所がない場合などは、定期的に使うことも保管テクニックのひとつ。ときどき取り出して広げたり干したりするだけでも、ニオイやカビを防ぐには絶大な効果があります。

家でも車でも、使わないと物はどんどん劣化します。小まめに使い、小まめにメンテナンスするよう心がけましょう。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
たっぷりとテント泊を楽しんで、心地よい疲労感と共に無事に家に帰り着いたら、山の余韻を楽しみながらのんびりしたいところですが、この先もテント泊を続けていくのなら、このひとがんばりが大切。

山から戻ったときが、次の山の準備のスタートだということを意識することが、長く、楽しく、安全にテント泊を続けていくための大切な秘訣です。


▼片付け・メンテナンスに関する記事はこちら

【山行のレビュー・振り返り】 5つのポイント

片付けが済んだら、今回の山行を振り返ってみましょう。反省や見直しをする時間こそが、テント泊に限らず、山でステップアップするために、もっとも大切な時間なのです。


1.持ち物の過不足をチェックする

登山装備
出典:PIXTA
記憶が新鮮なうちにまずやっておくべきことが、足りなかったものや、使うつもりだったのに、一度も使わなかったものがないかを振り返ることです。

ある程度経験を重ねるまでは、不安からどうしても、余計なものを持って行きがち。本来ならば一つで済む、同じような用途のものを複数持っていないかも振り返りましょう。

多すぎるならまだしも、忘れ物は絶対に避けたいところ。もし一つでも忘れ物をしていたら、チェックリストを作る、絶対に忘れてはいけないものは、最初からバックパックの中に入れておくなど、自分が忘れ物をしなくてよい方法を見つけることも必要です。

これらはテント泊に限ったことではありませんが、テント泊のほうがシリアスな状況を引き起こす確率は確実に高くなります。この見直し繰り返すことで、次第に、持って行ったものはすべて使い、なにひとつ足りないものはない、「過不足なく持つ」ことができるようになっていきます。

2.スケジュールと体力、荷物の量のバランスを振り返る

夕暮れのテント場
出典:PIXTA
事前に立て予定通りに行動できず、テント場に着く時間が遅くなってしまった、予定の時間に着いたのに、睡眠時間が短くなったり、次の日の出発時間が遅くなってしまったり、ということはありませんでしたか? もし少しでもあったなら、次はそうならないために、どのようなところを改善すればいいかを考えましょう。

荷物が重くて思ったよりも歩くペースが上がらなかったなら、荷物を減らすかもっと簡単なルートにする、あるいは、必要な荷物を背負えるだけの体力をつけるしかありません。テント場に着いてからの時間がうまく使えていないなら、テントの設営を何度も練習する、食事を簡単なものにするなどの工夫が必要でしょう。

3.道具や装備を再確認する

テントの設営
出典:PIXTA
事前に使い方がしっかりと練習できているのが前提ですが、実際に長い距離を歩いた後のテント場では、勝手が違うこともあるでしょう。道具の扱いなどで迷ったことがあれば、必ず復習しておきましょう。

また、同じことをするのに、周りの人と比べて明らかに手間がかる、実際に山中で使ってみたら、事前の練習とはまったく勝手が違うなどということがあれば、装備の選び方を間違っている可能性も考えられます。周囲の人がどんなものを使っているかを観察できる機会でもあるので、ぜひ人の道具や行動にも注目してみましょう。

「それ、何ですか?」と聞いてみれば、ほとんどの人が快く教えてくれるはずです。もちろんそれを鵜呑みにするのではなく、導入する場合は山道具店などで相談をし、自分に合ったものかを確認しなくてはなりません。

4.記録する

山ノート
出典:PIXTA(編集:YAMA HACK)
ここで振り返ったことを次のテント泊に生かすため、何をどれだけ持って行き、どのくらいの時間で歩いたか、テントの設営や食事の準備にどれくらいかかったかなど、行動をできるだけ詳しく記録しておきましょう。そうすることで、自分の行動をしっかりと確認することができ、次の山行への課題や目標が明確になってくるはずです。

5.次の山行に生かす

テント泊登山
出典:PIXTA
このレビューで感じたことを、次の山行に有効に活かしましょう。大きく何かを変えなくても、微調整を加えることで、より安全で楽しいテント泊をすることができるはずです。反省も振り返りもせず、漫然とテント泊を繰り返しているだけでは、いつまでたっても初心者のまま。自分のテント泊の行動範囲を広げるために、レビューは欠かせないものなのです。

この先どれだけ難易度やレベルが上がっても、その都度自分の行動を客観的に振り返ることは、さらなるステップアップに、もっとも大切なこと。楽しかったことばかりでなく、失敗したことやつらかったことなども、しっかりと振り返ることが、あなたにとって大切な経験の蓄積になるのです。

自由で何物にも代えがたい魅力的な世界へ

テント泊登山
出典:PIXTA
『ステップ バイ ステップ』で少しずつ難易度を上げてきたテント泊。ここはまだ、この先に無限に広がる、テント泊の世界への入り口をくぐったばかり。さあ、大空の下で大地を寝床に、自然の中に暮らすような山の旅へ、自分の足で飛び込んでいきましょう!

教えてくれた人|登山ガイド・平川陽一郎さん

平川ガイド
平川 陽一郎(ひらかわ よういちろう)
高校・大学の山学部で本格的な登山を学び、北アルプスや谷川岳を中心に国内外の山々でクライミングを行なう。卒業後は登山業界に入り、複数社の登山用品店で店長を務める。その後、ガイドとして独立。現在は、(株)finetrack直営店 TOKYO BASEとHIBIYA HUTを拠点に登山技術講座も数多く開催している。並行して、(公)日本山岳ガイド協会正会員のマウンテンガイド協会会長、ガイド協会の危急時対応技術指導員、(公)日本山岳会 埼玉支部国内山行委員や登山クラブ「やま塾」の代表として安全登山の啓発活動を行っている。

テント泊登山はじめの一歩

\ この記事の感想を教えてください /
GOOD! BAD

関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

テント泊装備
この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
小川 郁代

犬と音楽とお酒大好きのインドア派が、クライミングと出会ってアウトドアの世界へ。登山、ハイキング、最近は沢登りとBCクロカンに夢中。山に行くだけじゃわからない「山のコト」を伝えたい。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

アウトドアのすべてを、ひとつのアプリで。

150以上のアウトドアメディアの記事や動画、3万枚以上のみんなの写真も見られる!
アウトドアの「知りたい!」「行きたい!」がきっと見つかる!
お気に入りの記事や写真を集めて、スキマ時間に素早くチェック!