表示を無視して洗ったら、大変なことに……
直接肌が当たるし、寝汗をかくし、寝袋をまったく洗わないのは抵抗がありますよね。ただ正しい洗い方をしないと、せっかくの機能をダメにしてしまったり、中わたがなくなってしまったりとすぐに買い替えが必要になってしまいます。
実際以前表示を無視してダウンの寝袋を洗ったら、中わたがたくさん飛び出るようになってしまいました……
登山用の寝袋となると、値段も馬鹿になりません。できるだけ永く快適に使うためにも正しい洗濯方法を知りたいですよね!
どのくらいの頻度で洗うのがベスト?
日頃のお手入れは陰干し程度で十分。毎回洗濯する必要はありません。しかし使い続けると汚れがついて、保温力も低下してしまいます。
使用回数30泊~50泊ほどで洗うのが目安。ただ回数にかかわらず、「汚れや匂いが気になる」「なんだかフンワリ感が無い」そう感じたら洗濯サインです。
何で洗えばいいの?洗濯表示タグを必ずチェック
寝袋の種類や中わたの素材によって、注意ポイントが異なります。最近では、洗濯機で丸洗いができる種類も販売されているので、必ずタグを見て方法を確認しましょう。
▼洗濯表示の一例
洗濯表示タグが見当たらないなど不明な場合は、メーカー公式サイトをチェック。情報が無い場合は、サポートに問い合わせてみましょう。
今回は、基本的な寝袋の洗濯方法や保管方法を紹介していきます。使用する素材はダウンですが、先述の通り素材によって注意点はあるものの基本的な洗い方は一緒。化繊の寝袋をお持ちの人もぜひ参考にしてみてくださいね。
【準備編】実際に寝袋を洗ってみました
では、ダウンの寝袋を実際に洗ってみましょう。今回洗うのは、私物のモンベル「ダウンハガー650 #3」。
直近で洗ったのは2年前。前回の洗濯から40泊ほどしたものです。まずは事前に3つのポイントをチェックします。
《1》洗濯表示タグとメーカーに確認
先述の通り、まずは洗濯表示タグを確認。画像の赤丸の通り、洗濯機は使用せずに手洗いで対応します。
また、タグには乾燥機の表示はありませんでしたが、メーカーに問合せしたところ使用OK。素材がダウンであることも確認し、用意するアイテムを選定します。
《2》洗濯に必要なものを用意
今回はこちらの4つ。ダウン専用の洗剤は、アウトドア用品店などに販売されているので探してみてくださいね。
種類によっては、乾燥機が使えない場合も。必ずタグやメーカーの表示を確認しましょう。
▼今回使用したダウン用洗剤はこちら
《3》寝袋全体の状態確認!破れやほつれが合ったら先に修理
寝袋をよく確認し、破れやほつれが無いか確認。もしあれば、高温に強く、耐久性や防水性にも優れたリペアシートなどで補修しましょう。
角を取り、丸くすることで剥がれにくくなります。また、透明のシートを使うと目立たないのでオススメです。
▼今回使用したリペアシートはこちら
▼リペアシートの修理方法についてはこちらをチェック
【洗濯編】手洗いで優しく洗うのがコツ
前準備が終わったら、実際に洗濯します。
各項目ごとに細かくポイントを見ていきましょう。
手順1.気になるところを部分洗い
汚れがひどい場合は、専用の洗剤を水で薄めた液をつけたスポンジやタオルで拭き取ります。
手順2.ぬるま湯に洗剤を入れ浸す
浴槽に30~40度以下のぬるま湯を張ります。ぬるま湯の量は寝袋全体がひたるくらい。規定量の洗剤を投入して軽くかき混ぜておきます。
生地を傷めることがあるので、寝袋のファスナーやベルクロをすべて閉じます。軽くたたんだ状態で空気を抜きながら浴槽につけていきましょう。
手順3.やさしく踏み洗い
かなり空気を含んでいるので、全体的に空気が抜けるように押し洗いしていきます。足でふみ洗いすると楽ちんです。ぬるま湯が汚れで濁ってきたら、すすぎをしましょう。
手順4.きれいになるまですすぐ
洗い終わると、ぬるま湯がかなり濁りました。
下記①~③を、水が濁らなくなるまで繰り返します。
①浴槽の栓を抜いて自然に水が出るのを待つ
②軽く巻き上げながら、押して水を抜く
③きれいな水に入れ替える
洗剤がダウンに残らないように、確実にすすぎましょう。
今回は、5回すすぎを繰り返しました。1回目と比べてみると、湯船の栓が見えるほど水が透明になったのがわかります。
手順5.脱水(脱水機は使わない)
すすぎが終わると、次は脱水です。今回の寝袋は脱水NGのため、洗濯機の脱水は使いません。ギュッと力を入れて絞ると中わたや生地にダメージを与えるのでNG。丁寧に手で水を押し出します。
ある程度水が出たら、バスタオルでさらに水を吸い取りましょう。
手順6.乾燥機で乾燥
低温設定で乾燥機にかけます。自宅にない場合は、コインランドリーでもOK。目安としては、夏用は10~20分、冬用は30~40分です。かけすぎてしまうと、生地や中わたが傷むこともあるので注意。
また使用年数が長い寝袋はほつれやすいため、乾燥機を使わずに自然乾燥させる方が安心です。
手順7.風通しのいい日陰で干す
日陰の風通しがいい場所で干します。最初は物干しに吊るして干したのですが、中わたの偏りが気になったので、ジッパーを広げ、スノコの上に敷いて干しました。表面は乾いていても、内部が湿っている場合も。完全に乾くまで1週間程度をみておきましょう。
手順8.乾燥後、撥水剤を表生地にスプレー
もともと撥水加工がされている寝袋には、スプレーで撥水回復を。
撥水加工がされていない種類にスプレーをしても効果が薄いため、その場合は寝袋にカバー(シュラフカバー)を用意して濡れ対策をするのがオススメです。
▼シュラフカバーについてはこちらの記事をチェック
圧縮袋での保管はNG!ダウンを圧縮しない保存用の袋を
寝袋が完全に乾いた後は、付属のスタッフバッグではなく、圧縮しないように保管。保管用の大きな袋を使用することで、汚れや中わたの偏りを防いでくれるので、機能が長持ちします。
●モンベル
通気性がいいメッシュタイプ|ストリージバッグ メッシュ
・サイズ:∅34×83cm
・素材:側面:ポリエステルメッシュ、底:40デニール・ナイロン・タフタ
ホコリが入らないタイプ|ストリージバッグ タフタ
・サイズ:∅34×83cm
・素材:45デニール・ナイロン・タフタ
ストリージバッグ メッシュストリージバッグ タフタ
●イスカ(ISUKA)
●ナンガ(NANGA)
面倒な人には、クリーニングサービスもオススメ
「かなり大変そう」「面倒」「私にはムリ」、そんな人には、専用のクリーニングサービスがオススメ。専門スタッフが丁寧に仕上げますので安心です。自分で洗濯して失敗した寝袋も復活できることがあるそうなので、相談してみましょう。
テントクリーニング.com
テントクリーニング.comは、テント・タープ・シュラフ・アウトドアウェア専門の宅配クリーニングサービスです。キャンプ場から濡れたまま、汚れたまま送ることも可能。
洗匠屋 -SENTAKUYA
洗匠屋は、寝袋やテントなどのキャンプ用品に加え、ウェアやバックパックのクリーニングも行っています。
清潔な寝袋で、快適山ライフを!
アウトドアで使う寝袋は、決して清潔な場所で使用するとは限りません。とくに登山で使う場合は、汗や汚れが体に付いたまま使用することが多いですよね。
繰り返し使い続ければ、寝袋が汚れてくるのは当たり前。一晩一緒に過ごす寝袋なので、清潔だと山の上でより快適な睡眠が取れること間違いなしです。
正しい洗濯法や保管法を実践して、より快適な山ライフを送りましょう!