アライテントに聞く、登山の相棒”テント”を永く使う「メンテナンス方法」とは?

2021/03/30 更新

テントはキャンプ泊での山行で活躍するギアのひとつ。よりテントを永く大切に使うために必要なメンテナス方法を老舗アウトドア用品メーカー・アライテントさんに聞いてみました。テントを長持ちさせる方法は登山中&帰宅後の一手間にアリ? より快適なテント行をサポートする専門メーカーのアドバイスは必見です。

”テントの正しいメンテナンス方法”って知ってる?

出典:PIXTA
泊まりの山行で一時的な住み処となるテントは、過酷な環境から命を守ってくれる大事な登山用品。決して安いアイテムではないからこそ、永く大切に使いたいものです。
でも、メンテナンス方法をしっかり熟知している人ってどのくらいいるのでしょうか…?あらためて”正しいメンテ方法”を聞かれると、筆者も自信を持って答えられません。

そこで今回は、初心者から経験者まで注意したい「基本的なテントのメンテナンス方法」を、アウトドアメーカーの老舗・アライテントさんに聞いてみました。

テントの扱い方をマスターして、快適な登山キャンプの第一歩を踏み出しましょう!

メンテナンスは山で始まっている! ”4つの正”でテントを愛そう

出典:PIXTA
「メンテナンスは、”山の中からすでに始まっている”と考えるべきでしょう」
と教えてくれたのは、アライテントの福永さん。
メンテナンスと聞くと帰宅後の作業を想像してしまいますが、テントを長持ちさせる秘訣は山から始まっているのだそうです。
ここではテントを大切に扱う正しい方法を「4つの正」として確認していきます!

①正しい場所を選ぶべし

出典:PIXTA
福永さん
まずは「正しい設営場所」を選ぶことが、テントの床などの汚れを防ぐ第一歩です。

まず気をつけたいテントを設営する場所。安全な山行の観点からも下記のような場所は避けましょう。

・風の通り抜ける場所
・雪崩や土砂の崩落の恐れがある場所
・急な出水の恐れがある場所

テントを設営するのに推奨される場所としては、

・水ハケのよい場所
・平坦な場所

が挙げられます。
また設営前に周辺を確認し、テントの下に小石など硬いものがあれば取り除くようにしましょう。テント底面の生地を痛める原因になります。

②正しい設営方法を心がけよ

次に気をつけるのが設営方法です。
撮影:YAMAHACK編集部
福永さん
テントは「正しく設営」するようにしてください。
フレームの破損やグランドシートの穴あき、フライシートの破損など、間違った設営をすることで生じるトラブルはいくらでもあります。

テントのタイプによって正しい設営方法は異なります。
「購入し、初めての設営は現地でした……」ということにならないように、事前に説明書を熟読して設営を練習しておきましょうね。

③正しいテント生活を送るべし

テントでの過ごし方もテントの状態を左右する大切な要素のひとつです。
出典:PIXTA
福永さん
「正しいテント生活」を送ることで、テントのトラブルを防ぐことは可能です。

正しいテント生活の具体的として、

・テント内で火器を使用しないこと
・付近での焚き火に注意すること(火の粉による穴あきを防ぐ)
・スープなどの汁物を床の上にこぼさないようにする

などが挙げられます。

④正しい畳み方で収納せよ

正しい畳み方もテントの状態を保つ秘訣です。
撮影:YAMAHACK編集部
福永さん
「正しく撤収」することが、フレームの破損や畳み方によって生じる汚れの付着などを防ぐことにつながります。


撮影:YAMAHACK編集部(従来の畳み方例)
従来の畳み方としてグランドシートで本体を包み込むように畳む方法がありますが、地面に接して汚れたグランドシートが外側になってしまうと、スタッフバックの内側を汚してしまうという欠点があります。
スタッフバックの内側が汚れることで、その細かな泥汚れが原因でテント全体を汚してしまうことも。

そこでアライテントで推奨しているのが、この方法です。


グランドシートを内側に折り込んでいくことで、空気が抜け畳みやすく、スタッフバッグ内側の汚れを防ぐことができるそうです。
なお、上図ではフレームを畳んだあとにテントを畳んでいますが、風が強い時などはテントが飛ばされてしまう可能性があるため、先にテント本体を畳むようにしましょう

以上4つが「山で気をつけるべきテントメンテの基本」です。頭の片隅に置きつつ、快適なテント泊を楽しんでくださいね。

帰宅後はとにかく乾燥!

出典:PIXTA
さぁ、山を下りたあとは「帰宅後のメンテナンス」です。
メンテナンスを怠ると、生乾きの雑巾のような臭いが染み付いてしまったり、カビが生えてしまったりと、テントの品質や寿命にも大きく関わってくることに。山から帰ってきた翌日に行いたいメンテナンスを聞いてみました。

福永さん
テントをきれいにすることを「洗濯すること」だと考えてしまうかもしれませんが、これは間違いなんです。
一番重要なことは「濡れたままにしない」こと、つまり乾燥させることになります。


テントを濡れたまま長期間に渡って収納すると、蒸れたような臭いがこびり付くと同時に、色落ちや色移り、布地の劣化の原因となってしまいます。

テントを張っていたフィールドにはいろいろな状況があるので、ある程度濡れたまま収納することはやむを得えませんが、家に帰ってきたら必ずテントを乾燥させてから収納するようにしてください。可能であれば、フィールドでテントを収納する前にある程度乾燥させてからしまうのがおすすめです。

帰宅後にしっかりと乾かしつつ泥汚れなどを払い、穴あきやチャックのトラブルがないか確認し、丁寧に畳みもう一度収納することが大切です。

自宅乾燥の鉄則3つ

出典:PIXTA
「実際に家でテントを乾燥させるぞ〜!」と意気込むその前に、干し方にも「正しい方法」があるんです。
ポイントはずばり3つ! 改めて確認し、テントにとってベストな干し方をしてあげましょう。

①フレームにセットさせた状態で

まず大切なのが、フレームにセットし設営した状態で干すことだといいます。これには意外な理由がありました。

福永さん
テントはいろいろな種類の布地やテープが縫い合わされて作られており、素材によって濡れた場合の収縮率などが異なるものもあります。

テンションをかけた状態で干すことでシワを防ぎ、素早く乾燥させることができるんですよ。


自宅で干すとき物干し竿を利用する人も多いと思いますが、濡れた状態のままテントを物干しなどに架けて乾燥させることは、しわの原因になるだけでなく、剥離などの原因になる場合があります。外で干す際には、風で飛ばされないように注意しましょう。

設営状態で干しつつ同時にテントの状態を保守点検し、穴あきや破れがないかチェックしてくださいね。

②日陰で干そう

晴れた日は太陽の下で乾燥させたくなるものですが、化学繊維にとって紫外線は劣化や色あせの原因となります。
テントを乾燥させるときはなるべく直射日光を避け、風通しのよい場所で陰干ししましょう。

③必ず自然乾燥で

またテントの乾燥は必ず自然乾燥で。
洗濯乾燥機やストーブなどを利用した場合は、布地の劣化や溶解などが発生する可能性があります。

丸洗いはおすすめできない? アライテントさん流クリーニング方法とは

出典:PIXTA
もしテントに汚れが付着していた場合は、どのような方法でケアをしてあげるべきなのでしょうか。
福永さん
テントは普通の方法では洗濯できません。
よくタライや浴槽で洗っている方もいらっしゃいますが、丸洗いしてしまうとテントに施されている防水加工や撥水加工を損なう可能性があるので、あまりおすすめできません。

丸洗いはテントの性能を落としてしまう原因にもつながるそうで、アライテントさんとしてはおすすめできないということです。
しかし外で使っていれば汚れは付着してしまうもの。テントにできるだけダメージを与えず汚れを落とす、「アライテントさん流のクリーニング方法」を教えてもらいました。

汚れを発見したときの手順

①完全に乾かす
まずは上記で紹介した方法で完全に乾燥させます。

②はたき落とす
乾燥した汚れをはたくように落としていきます。

③それでも落ちなかったら……
がんこな汚れがある場合は、その部分だけぬるま湯に浸し固く絞った布で拭き取ります。

洗剤を使う場合は洗剤の成分が布地に残らないよう水で完全にすすぎ、再度完全乾燥させて収納しましょう。

快適・安全・長持ちはちょっとした心がけで

出典:PIXTA
どんな環境でも登山者を守ってくれるテントは大切な相棒です。登山中から登山後のチェックを怠らないようにすることが、テントのポテンシャルを120%引き出すコツと言えるでしょう。
少しの心がけと適切なメンテナンスで、永く快適なテント泊を楽しんでくださいね!

【教えてくれた人】アライテント 福永さん

アライテント 半世紀以上に渡って高品質な登山用品を作り続ける老舗メーカー。創業以来、国内の熟練した職人の手によって作り続けられる軽量山岳テント、ツェルト、ザック等は初心者からプロフェショナルまで幅広く愛用されている。キャッチコピーは「ヒマラヤでもウラヤマでも」。

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大城 実結

街を抜け出して、バックパックとともに野山を駆け回るタイプのライター。ライフワークは静かな焚き火とひとり酒。

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