帰宅後はとにかく乾燥!

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さぁ、山を下りたあとは「帰宅後のメンテナンス」です。
メンテナンスを怠ると、生乾きの雑巾のような臭いが染み付いてしまったり、カビが生えてしまったりと、テントの品質や寿命にも大きく関わってくることに。山から帰ってきた翌日に行いたいメンテナンスを聞いてみました。
福永さん
テントをきれいにすることを「洗濯すること」だと考えてしまうかもしれませんが、これは間違いなんです。
一番重要なことは「濡れたままにしない」こと、つまり乾燥させることになります。
テントを濡れたまま長期間に渡って収納すると、蒸れたような臭いがこびり付くと同時に、色落ちや色移り、布地の劣化の原因となってしまいます。
テントを張っていたフィールドにはいろいろな状況があるので、ある程度濡れたまま収納することはやむを得えませんが、家に帰ってきたら必ずテントを乾燥させてから収納するようにしてください。可能であれば、フィールドでテントを収納する前にある程度乾燥させてからしまうのがおすすめです。
帰宅後にしっかりと乾かしつつ泥汚れなどを払い、穴あきやチャックのトラブルがないか確認し、丁寧に畳みもう一度収納することが大切です。
自宅乾燥の鉄則3つ

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「実際に家でテントを乾燥させるぞ〜!」と意気込むその前に、干し方にも「正しい方法」があるんです。
ポイントはずばり3つ! 改めて確認し、テントにとってベストな干し方をしてあげましょう。
①フレームにセットさせた状態で
まず大切なのが、フレームにセットし設営した状態で干すことだといいます。これには意外な理由がありました。
福永さん
テントはいろいろな種類の布地やテープが縫い合わされて作られており、素材によって濡れた場合の収縮率などが異なるものもあります。
テンションをかけた状態で干すことでシワを防ぎ、素早く乾燥させることができるんですよ。
自宅で干すとき物干し竿を利用する人も多いと思いますが、濡れた状態のままテントを物干しなどに架けて乾燥させることは、しわの原因になるだけでなく、剥離などの原因になる場合があります。外で干す際には、風で飛ばされないように注意しましょう。
設営状態で干しつつ同時にテントの状態を保守点検し、穴あきや破れがないかチェックしてくださいね。
②日陰で干そう
晴れた日は太陽の下で乾燥させたくなるものですが、化学繊維にとって紫外線は劣化や色あせの原因となります。
テントを乾燥させるときはなるべく直射日光を避け、風通しのよい場所で陰干ししましょう。
③必ず自然乾燥で
またテントの乾燥は必ず自然乾燥で。
洗濯乾燥機やストーブなどを利用した場合は、布地の劣化や溶解などが発生する可能性があります。
丸洗いはおすすめできない? アライテントさん流クリーニング方法とは

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もしテントに汚れが付着していた場合は、どのような方法でケアをしてあげるべきなのでしょうか。
福永さん
テントは普通の方法では洗濯できません。
よくタライや浴槽で洗っている方もいらっしゃいますが、丸洗いしてしまうとテントに施されている防水加工や撥水加工を損なう可能性があるので、あまりおすすめできません。
丸洗いはテントの性能を落としてしまう原因にもつながるそうで、アライテントさんとしてはおすすめできないということです。
しかし外で使っていれば汚れは付着してしまうもの。テントにできるだけダメージを与えず汚れを落とす、「アライテントさん流のクリーニング方法」を教えてもらいました。
汚れを発見したときの手順
- 完全に乾かす
まずは上記で紹介した方法で完全に乾燥させます。 - はたき落とす
乾燥した汚れをはたくように落としていきます。 - それでも落ちなかったら……
がんこな汚れがある場合は、その部分だけぬるま湯に浸し固く絞った布で拭き取ります。
洗剤を使う場合は洗剤の成分が布地に残らないよう水で完全にすすぎ、再度完全乾燥させて収納しましょう。
快適・安全・長持ちはちょっとした心がけで

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どんな環境でも登山者を守ってくれるテントは大切な相棒です。登山中から登山後のチェックを怠らないようにすることが、テントのポテンシャルを120%引き出すコツと言えるでしょう。
少しの心がけと適切なメンテナンスで、永く快適なテント泊を楽しんでくださいね!
【教えてくれた人】アライテント 福永さん

提供:アライテント
半世紀以上に渡って高品質な登山用品を作り続ける老舗メーカー。創業以来、国内の熟練した職人の手によって作り続けられる軽量山岳テント、ツェルト、ザック等は初心者からプロフェショナルまで幅広く愛用されている。キャッチコピーは「ヒマラヤでもウラヤマでも」。
