登山の服装はとても重要!
登山の服装って、初心者は迷いますよね。山では、急な天候悪化はよくあること。風雨にさらされることもある登山では、服装選びはとても大切です。今回は、基本的な登山スタイルと、経験者がすすめる”あると便利な登山ウエア”をご紹介します。
登山の服装は素材も大きなポイント!
登山初心者は、初めからウエアをすべてをそろえる必要はありませんが、家にあるものを着るにしても、素材には気を配りましょう。ジャージなどポリエステルやナイロン製のスポーツウエアは、速乾性に優れているので山でも使えます。綿素材は、濡れると乾きにくいので、汗冷えを起こし、低体温症や体力を奪う原因にもなるので控えましょう。
汗冷えとは?
汗をかいて体が濡れ、蒸発するときに体温を奪うことが汗冷えです。体が濡れている状態で、風が吹くと、さらに体温が奪われるため、夏でも低体温症のリスクがあります。このことから、汗をすばやく吸って発散させ肌をドライに保つアンダーウエアはとても大切です。
登山の基本スタイルはレイヤリング(重ね着)!
登山は、標高や地形により、気象条件が変わっていくため、ウエアの調整が必要です。また、歩いてるときは暑くても、休憩する時は体が冷えるため、こまめに脱ぎ着できることがポイントです。このようなことから、登山の服装は、レイヤリング(重ね着)が基本とされていて、主に、「アンダー」、「ミドル」、「アウター」の3レイヤーが一般的です。
基本は3レイヤー
■アンダーウエア
直に肌に触れる吸汗速乾性のウエア。春・夏は半袖Tシャツ、秋・冬は長袖Tシャツ。登山用のアンダーウエア(ベースレイヤー)は、すばやく汗を吸って発散させ、肌をドライに保つ工夫がされていて、不快な汗冷えを防いでくれます。最近では、ちくちくがなく汗冷えを感じにくいメリノウール素材のアンダーウエアもあります。
■ミドル(中間着)
アンダーウエアの上に着る保温が目的の服です。軽くて暖かく、濡れてもすぐに乾くフリースが最も多く使われています。春・秋の登山では、半袖のTシャツの上に山シャツを着たり、冬の低山では、長袖の上にフリースを着たりします。
■アウター
雨や風をシャットアウトする完全防水&透湿性のあるウエアです。防風性もあるので、風の強い稜線上で羽織ったりもします。
■登山パンツ
登山パンツの特徴は、速乾性や撥水性、ストレッチ性に優れていることです。足を大きく上げ下げする登山では、その妨げにならない事がポイントで、ヒザに立体裁断が施されたりします。
季節や標高によって、服装は違う
登山の服装選びで、覚えておきたいことは、標高が100m上がるにつれ気温が0.6度下がり、風速1mにつき体感温度が1度下がるということ。真夏でも2000mを超えると、地上より約12度下がり、さえぎるものがない稜線上では、風も強いので、さらに寒く感じるということです。では、具体的にどの山でどんな服装をしたらよいのか見ていきましょう。
自分の行く山で服装を考えよう!
■真夏の低山(1000m前後)
【行動中】
上=接触冷感のアンダーウエアやアームカバー+半袖Tシャツなど
下=薄手のパンツ
*低山は、真夏は暑いので、春や秋がベストシーズンですが、夏に行く場合は、虫が多いので、接触冷感といったひんやりした着心地の長袖と、薄手の長ズボンがおすすめです。また、大量に汗をかくので、替えのTシャツがあるとよいでしょう。
■夏の高山(八ケ岳やアルプスなど標高2,000~3,000mの山)
【行動中】
上=薄手の長袖or半袖Tシャツなど
下=薄手のパンツorサポートタイツ+ショートパンツ(ファスナーで切り離しができるコンバーチブルパンツもおすすめ)
【休憩時】
上に防風性アウターや、山シャツ・フリースをはおる。(宿泊する場合は、さらに薄手のダウンがあると心強い。)
*夏の高山は、行動中は暑くても、天候が悪化したり、稜線上で風に吹かれると寒いので、防寒具はすぐに出せるところにパッキングしておくとよいでしょう。日差しが強い場合は、つばのある帽子をかぶりましょう。
■春や秋の低山(2000m以下)
【行動中】
上=半袖の吸汗速乾Tシャツ+薄手の長袖シャツや山シャツ
下=中厚のパンツor冬用のサポートタイツ+保温性のあるショートパンツ
【休憩時】
レインウェアなど防風性のあるジャケットや薄手のフリース
*春や秋は、肌寒いので、速乾性のTシャツの上に薄手の長袖を着て行動し、休憩中はすぐに冷えるので、防風性のあるジャケットやフリースを着て体が冷えないようにしましょう。
■冬の低山(1000m前後)*無積雪の場合
【行動中】
上=保温性のあるアンダーウエア+長そでシャツ+フリースorソフトシェルなど。
下=裏微起毛のパンツor薄手のタイツ+パンツor厚手のタイツ+保温性のあるショートパンツ
【休憩時】
上に薄手のダウンをはおる
*冬の低山では、保温性のあるアンダーウエアを着て、アウターは、フリースや、防風性のあるソフトシェルを着るのがおすすめです。ベストやネックウォーマー、ニット帽などで細かい調整をするとよいでしょう。
経験者が語る、買ってよかった登山ウエア
薄手のフリース
厚手より、薄手のフリースの方が、着ていてごわごわせず、重ね着がしやすいのでおすすめです。夏の高山から冬山まであらゆるシーンで活躍します。
山シャツ
襟のある山シャツは、首の日焼け防止になったり、ボタンの開け閉めで体温調節ができるところが便利です。また、柄物のシャツをひとつ取り入れることによって、おしゃれにもなります。襟がついて”きちんと感”もあるので、街着としても活用できます。
サポートタイツ
足を酷使する登山では、ヒザ痛や筋肉痛などトラブルが多いのも悩みどころ。サポートタイツは、テーピング効果もあるので、足の負担を軽減してくれます。夏用や冬用もあるので、二つあるとより便利です。
薄手のダウン
防寒具の予備として一枚あると便利なのが、ライトダウンジャケット。休憩時や、泊りがけの登山での朝晩の防寒具として役立ちます。軽くてコンパクト、保温性に優れているので、夏の高山から冬山まで様々なシーンで活躍します。
快適な服装で楽しい登山を!
登山の服装で大切なことは、体を冷やさないことです! なるべく体を濡らさないために、ウエアの素材や着方を工夫して快適に登山を楽しみましょう。夏でも高山だと肌寒かったり、急に天候が悪くなったりするので、気候の変化に合わせてこまめに調整してくださいね。