鹿島槍ヶ岳|南北にそびえる美しい双耳峰!おすすめの縦走登山コース

北アルプスの後立山連峰中央部に位置し、盟主と名高い鹿島槍ヶ岳。南北にそびえる2つの峰はどこから眺めても美しく、日本百名山の1つとして選ばれていることにもうなずけます。また、鹿島槍ヶ岳は剱岳、立山と並び日本では数少ない、氷河の現存する山としても知られています。今回は鹿島槍ヶ岳の初級者でも楽しめる1泊2日のコースと、八峰キレットを抜け唐松岳まで行く健脚者向けのコースの2つの縦走コースの魅力を解説します。


アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

北アルプスにそびえる、もう一つの槍ヶ岳”鹿島槍ヶ岳”

鹿島槍ヶ岳 出典:PIXTA
標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
2889m富山県黒部市、立山町、長野県大町市14.5℃6.8℃
参考:ヤマレコ
北アルプスにある白馬三山と針ノ木岳をつなぐ後立山連峰のほぼ中間に位置するのが鹿島槍ヶ岳です。日本百名山、花の百名山にも選ばれており、頂が2つある双耳峰とその山容の美しさから後立山連峰の盟主とも呼ばれています。

鹿島槍ヶ岳の難易度は?

鹿島槍ヶ岳
出典:PIXTA
信州山のグレーディングによると、鹿島槍ヶ岳は技術度B(場所によっては沢、崖、雪渓などを通過する可能性があるため、登山の経験が必要)となっています。扇沢から登る場合は1泊以上が適当となっているので、自分の体力、レベルに合わせた山行計画を立てましょう。

信州 山のグレーディングを見る

コースによって表情を変える鹿島槍ヶ岳

鹿島槍ヶ岳南峰への登山道
出典:PIXTA
コースによっては北アルプス屈指の難所の鹿島槍ヶ岳ですが、扇沢から鹿島槍ヶ岳を目指すコースは岩場が少なく、比較的なだらかな地形をしているため他のコースに比べると登りやすくなっています。しかし、山頂から北峰に向かう登山道には岩場や鎖場があり、ダイナミックなコースになるので、注意が必要です。

頂上から望む北アルプスの峰々

鹿島槍ヶ岳から望む五竜岳
撮影:YAMA HACK編集部(鹿島槍ヶ岳から望む五竜岳)
鹿島槍ヶ岳の頂上からは絶景を望むことができ、南側には五竜岳、槍ヶ岳、穂高連峰などの北アルプスの名峰、西側には立山連峰の急峻な山並みが広がっています。

日本で数少ない、氷河の現存する山

カクネ里雪渓
出典:PIXTA
鹿島槍ヶ岳の北東にあるカクネ里雪渓は、2018年1月に国内に現存する氷河として認定されました。国内で認定されている氷河は現時点で6箇所、さらに北アルプスでは立山・劔岳・鹿島槍ヶ岳の3箇所にしかなく、大変貴重な自然景観といえます。

地図も必ずチェック!山と高原地図 鹿島槍・五竜岳

登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
ITEM
山と高原地図 鹿島槍・五竜岳
発行:昭文社

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1泊2日で縦走を楽しむ人気コース(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳)



鹿島槍ヶ岳
出典:PIXTA
鹿島槍ヶ岳を目指す登山道の中でも人気が高い扇沢から爺ヶ岳を経由するコースを紹介します。このコースは1泊2日で楽しむ方が多いですが、標高差も1,000メートル以上、片道約9時間かかるので、種池山荘で1泊するなどご自身の体力に合わせて日程を計画してみてください。

①扇沢〜爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳1泊2日コース

鹿島槍ヶ岳登山コース
出典:ヤマプラ(クリックで画像拡大)
距離コースタイム標高差日程難易度
約22.4㎞約15時間44分約1448m1泊2日★★★
参考:ヤマプラ
▼1日目
扇沢(15分)→柏原新道入口(80分)→ケルン(150分)→種池山荘(60分)→爺ヶ岳中峰(70分)→冷池山荘

扇沢から柏原新道までは来た道を15分ほど戻り、沢にかかる鉄橋を渡ります。橋を通過してすぐ左手が登山道の入口です。黄色い道標が立っています。
鹿島槍ヶ岳 爺ヶ岳登山口 柏原新道に入りモミジ坂を登ると八ッ見ベンチに到着します。ここで一休みしてからケルン、石畳などを通過すると見晴らしが良い水平な道が続きます。
鹿島槍ヶ岳 富士見坂
浮石の多い急斜面を横切る難所が出てきます。ガレ場の横断は特に雨天は滑りやすいので注意しましょう。富士見坂などの看板が出てきて最後にに現れるのが鉄砲坂です。この石畳を登ると種池山荘はすぐそこ。
種池山荘過ぎて、爺ヶ岳中峰
撮影:YAMA HACK編集部
種池山荘から爺ヶ岳中峰までは約1時間。ここからは広い尾根が山頂まで続きます。植生は樹林帯からハイマツ帯に変わり、視界が開けて景色を楽しめるポイントです。
爺ヶ岳
出典:PIXTA
爺ヶ岳には山頂が3つあります。一番標高が高いのは中峰で2669.8m。山頂では立山や剱岳などの眺望が広がります。そして、目の前に見える2つのピークを持った山が鹿島槍ヶ岳。ここから先の尾根は長野県側から雲やガスが発生しやすいので、視界不良に注意しましょう。整備された斜面を下り、冷池山荘まで行きます。今回は冷池山荘で一泊します。

▼2日目
冷池山荘(80分)→布引山(50分)鹿島槍ヶ岳南峰(30分)→鹿島槍ヶ岳北峰(120分)→冷池山荘(100分)→爺ヶ岳中峰(40分)→種池山荘(110分)→ケルン(55分)→柏原新道入口(15分)→扇沢
布引山から見る鹿島槍ヶ岳南峰
出典:PIXTA
冷池山荘からは広い尾根につけられた明瞭な登山道を歩きます。なだらかな丘のような布引山を過ぎると、つづら折りの坂道になります。この先が標高2889mの鹿島槍ヶ岳南峰です。
鹿島槍ヶ岳南峰
出典:PIXTA
南峰から北峰へは、吊り尾根状の稜線になります。南峰直下は岩が多く急傾斜なので、バランスを崩さないように慎重に下りましょう。鞍部まで来ればひとまず安心。あとは眼前にそそり立つ斜面を登るだけ。鹿島槍ヶ岳の北峰が待っています。
鹿島槍ヶ岳北峰
出典:PIXTA
山頂からは360度の山岳風景を楽しむことができます。北にそびえるのが五竜岳。西側には立山連峰の険しい稜線を確認することができるでしょう。南側には登ってきた爺ヶ岳があり、その奥に槍ヶ岳や穂高連峰を望むことができます。
今回はピストンなので、登って来た道を下って登山道に戻ります。
登山では体力を消耗している下山時に怪我をすることが多いので、十分注意して下山してください。

健脚者向けの縦走登山コース(鹿島槍ヶ岳~五竜岳~唐松岳)

八峰キレット
出典:PIXTA
次に紹介するコースは、日本3大キレットの一つ「八峰キレット」を通過する国内屈指の難ルート。鎖場や梯子などが連続するため、十分経験を積んでから挑みましょう。さらに歩行時間は10時間以上になる健脚者向けルートでもあります。早朝出発を心がけましょう。

▼キレットに関して詳しく知りたい方はこちら

②扇沢~鹿島槍ヶ岳~五竜岳~唐松岳2泊3日コース

鹿島槍ヶ岳コース②
出典:ヤマプラ(クリックで画像拡大)
距離コースタイム標高差日程難易度
約25.0㎞約21時間42分約1448m2泊3日★★★★
参考:ヤマプラ
 このコースに含まれる八峰キレットは長野県の山のグレーディングで難易度Dとなっています。必要な技術や能力を事前に確認し、無理のない登山計画にしましょう。

▼登山道
◇厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所によ り雪渓や渡渉箇所がある。
◇手を使う急な登下降がある。
◇ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。
▼技術・能力
◇地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
◇ルートファインディングの技術が必要

引用:信州 山のグレーディング

鹿島槍ヶ岳までは今回の記事で紹介した①のルートになります。

▼1日目
冷池山荘(80分)→布引山(50分)→鹿島槍ヶ岳南峰(30分)→鹿島槍ヶ岳北峰(120分)→キレット小屋(60分)→口ノ沢のコル(180分)→五竜岳(40分)→五竜山荘
八峰キレット入口

出典:PIXTA
八峰キレットのコースは鎖場や梯子が連続する登山道です。途中にエスケープルートはありません。高度感があり道幅が狭い箇所もあるため、慎重に行動しましょう。
鹿島槍ヶ岳 八峰キレット キレット小屋までは鎖や梯子を利用して登下降を繰り返します。高度感のあるトラバースなど、緊張を強いられる場所もありますが、道はしっかり整備されていますので、焦らず落ち着いて進みましょう。
キレット小屋
出典:PIXTA
八峰キレットの核心部の一つである、足元が切れ落ちた斜面にあるトラバースポイント。ここを通過してから、草付きの斜面を鎖や梯子を使って下ると、キレット小屋に到着します。
口の沢コル
出典:PIXTA
キレット小屋を後にして五竜岳を目指します。このルートの核心部は口の沢コルを通過した先に現れる起伏の激しい岩稜帯です。滑落や落石に注意しながら鎖を利用して慎重に進みましょう。
五竜岳
出典:PIXTA
核心部を越えて最後の岩場を登りきれば、そこが五竜岳の山頂です。後ろを振り返ると八峰キレットと鹿島槍ヶ岳が望めます。稜線の先に見える赤い屋根が五竜山荘。2日目の宿泊場所です。山荘までも岩場や鎖場が続きます。最後まで気を抜かずに歩きましょう。

▼五竜岳に登りたい方はこちら

▼2日目
五竜山荘(150分)→唐松岳頂上山荘(20分)→唐松岳(135分)→第三ケルン(60分)→八方池山荘(40分)→ゴンドラ駅
鹿島槍ヶ岳 五竜岳 牛首
出典:PIXTA
山荘から唐松岳へ向かう登山道は広い尾根からスタートします。穏やかな登山を楽しめるポイントです。しかし、牛首が近くなると再び岩場や鎖場が現れますので引き続き注意しましょう。
唐松岳
出典:PIXTA
牛首を越えてしばらく進んでいくと唐松岳に到着です。360度開けた山頂で、眺望は抜群。白馬岳に向かう稜線上には、日本3大キレットの一つ「不帰キレット」があります。
▼唐松岳を登ってみたい人はこちら

八方池
出典:PIXTA
唐松岳から尾根を下ると現れるのが有名な八方池です。水面に映る景色が人気で、条件が揃えば白馬三山が映り込む絶景に出会うことができるでしょう。八方池からは木道が整備されたハイキングコースとなります。
アルペンクワッドリフト 八方尾根
出典:PIXTA
八方池から約1時間の行程で八方池山荘に到着です。山荘からはリフトとゴンドラを乗り継いで、バス乗り場があるゴンドラ駅へ向かいます。所要時間は約40分です。

登山者の憧れ”後立山連峰縦走”コース

後立山連峰 縦走 不帰キレット
出典:PIXTA
ここまで紹介したルートから、さらに白馬岳を目指すルートが、後立山連峰縦走コース。日本3大キレットである「八峰キレット」と「不帰キレット」を通過するこの縦走路は距離が長く、危険箇所も多く難易度が高いことから、上級者向けのルートといえます。
▼登山者の憧れ”後立山縦走コース”が気になる方はこちら

鹿島槍ヶ岳の山小屋情報

今回紹介した扇沢〜八方池山荘へのルート上には、利用できる山小屋が6つあります。
営業期間や利用料金、テント場の有無など、山行計画を立てるときに参考にしてください。

種池山荘(①と②両コースで利用可能)

鹿島槍ヶ岳 種池山荘 電話番号:0261−22−1263
営業期間:6月中旬〜10月14日(日)
利用料金:1泊2食9,500円、1泊夕食8,600円、素泊り6,300円
テント場の有無:有り
テント場の料金:700円/人

冷池山荘(①と②両コースで利用可能)

鹿島槍ヶ岳 冷池山荘 電話番号:080−1379−4041
営業期間:6月中旬〜10月14日(日)
利用料金:1泊2食9,500円、1泊夕食8,600円、素泊り6,300円
テント場の有無:有り
テント場の料金:700円/人

キレット小屋(コース②のみ利用可能)

キレット小屋
出典:PIXTA
電話番号:0261−72−2002
営業期間:7月1日(日)〜9月30日(日)
利用料金:1泊2食10,000円、1泊夕食8,900円、1泊朝食8,200円、素泊り6,800円(大人料金)
テント場の有無:無し

五竜山荘(コース②のみ利用可能)

五竜山荘
出典:PIXTA
電話番号:0261−72−2002
営業期間:6月16日(土)〜10月13日(土)
利用料金:1泊2食10,000円、1泊夕食8,900円、1泊朝食8,200円、素泊り6,800円(大人料金)
テント場の有無:有り
テント場の料金:1,000円/人

唐松岳頂上山荘(コース②のみ利用可能)

唐松頂上山荘
出典:PIXTA
電話番号:090−5204−7876
営業期間:6月16日(土)〜10月13日(土)
利用料金:1泊2食10,000円、素泊り7,000円
テント場の有無:有り
テント場の料金:1,000円/人

八方池山荘(コース②のみ利用可能)

八方池山荘
出典:PIXTA
住所(場所):長野県北安曇郡白馬村大字神城21474-1
電話番号:0261−72−2855
営業期間:通年営業
利用料金:1泊2食9,500円、1泊夕食8,400円、素泊り6,600円
テント場の有無:無し

鹿島槍ヶ岳の登山口(扇沢)へのアクセス

登山の起点となる扇沢へのアクセス方法を確認しましょう。八方池方面へ縦走する場合は、マイカーより公共機関を利用するのがおすすめです。

扇沢へのアクセス

【車の場合】
長野自動車道 安曇野IC-県道306号-県道45号-扇沢駅
<駐車場>
扇沢駅第1-第4駐車場
住所:〒398-0001 長野県大町市平2117
駐車可能台数:350台
料金:第1・第2駐車場:1000円/12時間
第3・第4駐車場1000円/24時間
トイレ:有

【バスの場合】
JR長野駅-[アルピコ交通バス]-扇沢
※特急は4/16-11/30の運行
【電車の場合】
JR長野駅-[篠ノ井線]-松本駅-[大糸線]-信濃大町駅-[アルピコ交通バス]-扇沢
立山黒部アルペンルート

名峰、鹿島槍ヶ岳からつながる憧れの縦走ルート

鹿島槍ヶ岳と雲海
出典:PIXTA
鹿島槍ヶ岳は、山頂に広がる抜群の展望から、槍ヶ岳、穂高連峰や後立山連峰の絶景を眺めることができる北アルプスの名峰です。さらに五竜岳、唐沢岳へとつなげれば、八峰キレットなど、大自然の厳しさを肌で感じる充実の縦走路が待っています。登山経験を十分積んで、憧れの名ルートに挑戦しましょう。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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吉澤英晃
吉澤英晃

群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。

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