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「ブユ(ブヨ・ブト)」の生態と対処法、及び応急処置とは?小さくたってかゆみは強烈!

ブユ(ブヨ・ブト)は小さなハエのような姿で、実際刺された経験をもつ人も多いでしょう。蚊と同じように吸血するブユは、刺されると強烈にかゆみが出ることがあります。登山中に遭遇する可能性も十分にある虫なので、この際に特徴や対策などを知って、ブユの被害から自身を守りましょう。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

ブユ(ブヨ)ってどんな生物なの?

ブユ

出典:PIXTA(ブユ)

ブユは、「ブヨ」や「ブト」と呼ばれることもあるハエの仲間で、ハエ目ブユ科に含まれる昆虫です。見た目はまさに小さなハエ。日本には、約60~70種ほどが生息しているとされ、そのうちの5種ほどのブユが人に被害を及ぼします。
体長は2〜4mmほどで、成虫の寿命は通常1ヶ月ほど。春から秋の間に吸血と産卵を繰り返し、冬季は卵もしくは成虫の姿のどちらかで越冬します。

ブユの吸血目的とは

ブユの吸血イメージ

出典:PIXTA(ブユの吸血イメージ)

吸血するのは産卵時のメスのみで、産卵に必要なタンパク質などの栄養補給が目的
ブユに“刺される”と表現されますが、実際はノコギリ状の口で皮膚を“咬み切る”ようにして出血させ、流れ出た血をエサとして吸血します。
ブユは小さく羽音に気付くことも難しい上、唾液には弱い麻酔効果があると考えられており、刺されたことに気づかないことがほとんどです。

人によって差のある被害状況とは

かゆいイメージ

出典:PIXTA(かゆいイメージ)

ブユに刺された時に皮膚に入る唾液によって、腫れやかゆみといったアレルギー症状が生じると考えられています。かゆいからといって掻きむしってしまうと、かえってかゆみを広げたり、化膿などを引き起こしたりする恐れがあります。
腫れやかゆみの症状は体質による個人差が大きく、パンパンに腫れあがる人もいれば、蚊に刺された時のような小さな赤い腫れ程度で終わる人もいます。

咬まれた時の被害状況について

ブユに咬まれたイメージ

出典:PIXTA(ブユに咬まれた患部のイメージ)

ブユに刺されている時はあまり自覚症状はなく、刺されてから数時間〜半日以降に強い腫れとかゆみが現れます。完治まで1〜2週間かかることもあり、症状によっては我慢できないくらいのかゆみに襲われることも。
重症化すると、酷く腫れたりズキズキとした痛みや、水膨れなどに加えて倦怠感や微熱という「全身症状」を発症するケースも報告されています。

1990年代に実施されたブユのアレルギー性症状に関するアンケート調査では、刺された方のうち約6%が、比較的重い皮膚症状を発症していたとされています。
ハチなどで知られる「2回目の被害の方が、症状が重くなる」といった傾向もあるようです。

ブユの行動傾向を探ろう

大自然の渓谷イメージ

出典:PIXTA(大自然の渓谷イメージ)

ブユの仲間は、広く日本全国に分布していますが、都市部や住宅地ではあまり見かけません。ブユは、山間部の渓流沿いなどの環境を好み、比較的きれいな水がある場所に生息する昆虫。
他には、山荘やキャンプ場、別荘地、釣場のような自然が豊かな環境で出会う可能性もあります。

活動時期と遭遇しやすい時間帯

ブユ

出典:PIXTA(ブユ)

ブユの活動時期としては、3〜10月ごろと広く活動しています。特に、夏を中心とした5〜10月ごろに活発に動き、ブユの被害もその時期に集中しています。
活動が活発になるのは、気温が比較的涼しい朝方や夕方の時間帯。

登山時にできるブユ対策を知ろう

ブユに刺されないように、事前に対策をすることで快適な登山を目指したいですね。簡単にできる対策を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

服の色でブユを寄せ付けない

白と黒のウェア

出典:PIXTA(服の色イメージ)

2022年4月に海外誌「Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)」で発表された研究では、蚊の仲間について、白などの明るい色には寄りにくく、赤っぽい色や黒っぽい色には寄りやすい傾向があることが発表されました。(二酸化炭素が一定量ある条件において)

これは、ブユについて研究されたものではありませんが、ブユも同じハエ目に分類される吸血生物であることから、同様の傾向がある可能性が考えられます。

そのため、対策としては、黒色や紺色などの暗い色のウェアを避け、明るい白色や黄色などの服装をすることで、吸血被害の予防につなげられる可能性があります。

露出を避けた服装を

露出を避けた服装イメージ

出典:PIXTA(特に足元は露出しないように長ズボン)

ブユはヌカカに比べると大きいため、”絶対”とはもちろん言えませんが、できるだけ露出を抑えた服装を心がけることは吸血予防に効果的。特に足元は狙われやすいので、厚手の靴下を着用したり、ズボンの裾の隙間を無くすようにしましょう。
(厚手といっても極厚なものでなくても、一定の予防効果は期待できます)

ただし、露出を控えるとは言っても、夏場に関しては熱中症とのバランスが大切です。
活動が活発な時間をさけたり、虫よけスプレーを活用するなど、予防対策を心がけることも大事。
今回は、「ブユに効果的と考えられる忌避剤」を3点紹介します。

バグプロテクター BPE ファブリックスプレー プロユースX5

虫よけはもちろん、消臭効果もある製品になります。ディートや殺虫剤不使用で、天然由来成分だからお子様や肌の敏感な人にも安心。森を感じさせるハーブミックスの香りがさわやかです。

内容量 100ml

フマキラー 天使のスキンベープ プレミアム ミストタイプ

有効成分の「イカリジン」の濃度が15%配合された虫よけスプレー。効果が長時間持続し、 舞い散りの少ないミストタイプで扱いやすいです。お子様への使用制限もありません。

内容量 200ml
有効成分 イカリジン16%配合
最大効果 9時間

アース製 サラテクト 無香料

朝から夜まで、1日しっかりガードしてくれる虫よけ。パウダーインなので、肌にスプレーしてもサラサラと優しいつけ心地です。有効成分の「ディート」を10%配合していて効き目もしっかり。

内容量 200ml
有効成分 ディート6g

もしものときのペットボトルシャワー

ペットボトルに穴開ける

出典:PIXTA(ペットボトルキャップに穴を開ける)

山でブユに刺された時、近くに水場がない時もあるでしょう。そんな時に便利なのが「ペットボトルシャワー」。ペットボトルのフタに、キリなどで何ヶ所か穴を開けておいたモノを持参して、シャワー状に水を出して患部に使用すると、少ない水でも洗いやすくて助かります。

これは、ブユに限らず、転んでけがしたり、他の危険生物の事故であっても有効なので、ぜひ一本は用意しておくと良いですね。

咬まれたときの応急処置について

もしもブユに刺されてしまった時のために、登山中にできる応急処置を紹介します。いざという時の参考にしてください。

①患部を水洗い

流水で洗う

出典:PIXTA(流水で洗う)

ブユに刺された時は、まず患部を流水で洗い流して、清潔にしてください。
この時、ブユの唾液を洗い流すよう、絞り洗いをするようにしてしっかり洗いましょう。水道水の場合、冷却効果も期待できるので、長めにしっかり洗うと効果的です。

②患部をアイシング

アイシング

出典:PIXTA(アイシング)

温めるとかゆみが強くなる場合があるため、水でよく洗ったら、患部を保冷剤や氷などで冷却します。アイシングするモノがない場合は、水を流し続けて冷やすことでも冷却効果が得られるでしょう。

③抗ヒスタミン薬を塗布

軟膏イメージ

出典:PIXTA(軟膏イメージ)

アイシング後は、患部に抗ヒスタミン薬を塗りましょう。塗布することで、かゆみや化膿などの症状を軽減させることが期待できます。
かゆみが出ても、できるだけ掻きむしらないことをおすすめします。掻いてしまうと、かえってかゆみを助長したり、化膿したりするリスクがあります。

④重い症状の場合は病院へ

受診イメージ

出典:PIXTA(受診イメージ)

アレルギーなので、どのような症状になるかは、「体調」、「体質」、「入ってきた毒の量」によって大きく変わります。まさに「その人次第」なので、重さに関しては千差万別。

体質によって腫れが酷かったりかゆみが治らない場合には、速やかに皮膚科を受診することをおすすめします。先ほど話したように、倦怠感や微熱が出るケースも過去にあるので注意が必要です。
また、痒疹結節(しこり)を作り、激しいかゆみが数か月持続することもあります。

ただし、ブユは比較的大きく腫れることが多いので、そういった意味でも対策をしっかりと行いたい代表的な生物の一つです。
死に至るということはなくても、悪化させてもいけませんので、辛い場合は無理せずに病院に行く方が良いでしょう

あとあと厄介なブユには事前の予防を

虫スプレーイメージ

出典:PIXTA(虫よけスプレーを事前に)

蚊に比べ、刺された後も厄介なのがブユですね。次第に酷く掻きむしりたい衝動にかられて、症状を酷くしてしまう場合も。とにかく、まずは刺されない努力をしましょう。肌の露出に気をつけつつ、アブ対策用の虫よけを必ず事前にスプレーしておくことをおすすめします。