登山中に出会う最も危険な有毒生物とは?
山に登る時、遭遇したくないといえば大抵の人がクマを思い浮かべるでしょう。しかしクマ以外にもぜひ注意して欲しい生物がいます。
それは山中で出会う「有毒生物」たち。
登山中、いきなりハチが目の前に現れ、ひやっとした経験はありませんか?そのハチこそ山で出会う最も危険な有毒生物の1種。そしてもう1種は見た目も怖い毒ヘビです。
今回はこの2種類の生物について、専門家の方に詳しく教えていただきます。
<死亡件数NO.1>山に生息するハチについて学ぼう!
都市や野山など様々な場所で見かけるハチですが、実は日本の有毒生物の中で最も死者数が多いのがハチ。毎年20人ほどの死者を出しています。
ただ、全てのハチが危険な訳でありません。人を刺す可能性が高いのは、家族で暮らす性質「真社会性」を持ったハチ。「スズメバチ」や「アシナガバチ」がそれにあたり、巣を刺激した時などは集団で襲ってくることもあります。
人を刺すハチの種類
人を刺すのは「産卵管」を固く変化させ針にしたメスのみ。さらに日本では4500種のハチがいますが、刺す可能性があるのは50種ほど。
特に山中で注意が必要な種類がスズメバチとアシナガバチです。山登りの際、特に気をつけたい代表的なハチの種類と特徴を紹介します。
山で注意すべきハチ
ハチの種類 | 分 布 | 大きさ | 特 徴 | |
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① | オオスズメバチ | 北海道から九州 | 約26mm〜44mm | 日本のハチの中でも最大の種で、スズメバチの仲間としては世界最大の大きさ。 攻撃性が高く毒の量も多いので、最も危険なハチ。里山や山間部におり、木の根元などの土中や樹洞などの隠れた場所に巣を作る傾向。 |
② | クロスズメバチ | 北海道から九州 | 約10mm〜15mm | 体長が小さくハエと同じくらいの大きさのため、ハチと認識されずに被害がでることもあります。 見た目は黒い体に白い縞模様で、攻撃性や毒性もそれほど強くはありませんが、集団で襲われると危険。 オオスズメバチと同様に土中や樹洞などに巣を作ります。 |
③ | キイロスズメバチ | 北海道から九州 | 約20mm〜26mm | 都市や住宅地のほか野山にも生息しており、その名前のように産毛で覆われた濃い黄色が特徴的。 体は小さめですが、攻撃性が高く神経質なハチ。 巣の近くを通っただけでも集団で攻撃を開始することがあります。 |
④ | アシナガバチ | 日本全国 | 約11mm〜26mm | 足を垂らして飛ぶ姿が特徴的なハチ。 アシナガバチといっても様々な種類がいますが、どれも比較的おとなしい性格のため、近づいただけで攻撃してくることは少なめです。 しかし、巣を刺激した場合などには攻撃もしてきます。 |
刺されないために知っておくべきこと
なぜハチは人を刺すのか?
そもそもなぜハチは人を刺すのでしょうか。それは、巣や仲間を人間から守るためです。
実はハチが集団で人を襲うのは、巣が危険にさらされていると判断した時のみ。巣を刺激したり、知らず知らずでも木を触った振動などで巣を揺らしたりすると、ハチは攻撃を開始します。
また、スズメバチは攻撃前に大アゴを噛み合わせ「カチカチ」と音を立てて威嚇することもあります。立ち去れと警告する習性からも、本当はハチも攻撃したいわけではないようですね。
山中でハチに出会いやすい場所とは?
登山中に出会わないためにも、ハチがどこを利用するのかを知ることが大切。
オオスズメバチは、木の根元などの土中や木の洞などに巣を作ります。キイロスズメバチは、トイレやあずまやなどの軒下に巣を作るケースも。分かりにくい場所に巣を作ることも多く、土中にあるクロスズメバチの巣を刺激してしまう事故も多く発生しています。
木の枝や葉に巣を作るアシナガバチもいるので、出来るだけ茂みの奥には入らず、登山道や林道から外れないように歩くことも事故予防に繋がります。ハチの巣を見つけてしまったら、絶対に近寄らないようにし、ゆっくりと後ずさりするように離れましょう。