荒船山(あらふねやま)ってどんな山?
標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
---|---|---|---|
1,423m | 群馬県甘楽郡下仁田町 長野県佐久市 | 23.3℃ | 9℃ |
荒船山(あらふねやま)は、侵食によりつくられた台地と切り立った崖という特異な山容で、ファンの多い日本二百名山。遠くから見ると荒波を割って進む船のように見えることが、名前の由来ともなっています。登山コースが複数あるのでレベルに応じて登山を楽しむことができます。
荒船山の登山適期は?
登山適期は5月から11月。標高があまり高くないため真夏は暑く熱中症に注意が必要ですが、年間を通じて登山者の多い山です。初夏には新緑の緑、秋の紅葉、冬には霧氷を楽しむことができます。
荒船山の紅葉は、例年山頂付近は10月中旬~10月下旬、登山道は11月上旬から。紅葉の時期には、登山道の紅葉も美しいのですが、国道254号から見える艫(とも)岩と紅葉のコントラストは必見です。
スズメバチと熊に注意!
荒船山では、登山中に出会う危険な生き物、スズメバチと熊の目撃情報があります。必ず対策をしていきましょう。
断崖絶壁!転落注意!
荒船山山頂からは残念ながら眺望がありませんが、艫(とも)岩や艫岩周辺からの景色は絶景!眼下には高原が広がり、浅間山や北アルプスまで一望できます。しかし、侵食による断崖絶壁では滑落事故が多く起こっているのが事実。注意しながら景色を楽しみましょう。
荒船山の天気は?地図も必ずチェック!
荒船山に行く前に現地の天気を調べましょう。地図を用意して自分が上るルートの下調べも忘れずに!
初心者向け|景観を楽しむ人気の荒船山登山口コース
最高点の標高: 1374 m
最低点の標高: 1056 m
累積標高(上り): 947 m
累積標高(下り): -947 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間1分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
まずはいくつかある荒船山コースの中で、一番眺望のよいコースをご紹介します。比較的登山道が整備されているので初心者向けでもある一般的なコースです。避難小屋のトイレは使用できないため、登山ルートにトイレはありません。
内山峠の駐車場奥にある荒船山登山口からスタート。はじめは樹林帯の緩い登りの登山道です。ところどころにある急な斜面には階段が設置されていたり、橋がかかっていたりよく整備されています。
切り立った岩山とは思えないような平たんな道も。木漏れ日が気持ちの良い木々の中、ゆるいアップダウンを繰り返しながら標高を上げていきます。
鋏岩修験道場跡は、昔荒船山で修行をしていた道場の基礎が残っているもの。背後の大きな壁には、荒船山ができる前の湖の地層の縞模様を見ることができます。
登山道からはところどころ景色を楽しめる場所がたくさんあります。登ってきた国道やこれから登る艫岩が見える場所も。
一杯水という水が滴り落ちる壁を過ぎると、艫岩に向けて、岩がゴロゴロした道に変わります。木製の橋を渡るとさらに勾配が急になり、ハシゴや鎖場を登る場所もあるので慎重に。
艫岩は荒船山を船に見立てたとき船尾にあたる場所で、格好の展望台となっています。荒船山で一番の絶景スポットで、200mもある断崖絶壁からは、浅間山や妙義山、北アルプスまで一望できます。下を覗き込まないように、滑落には注意しましょう。
艫岩から最高峰の経塚山へ向かいます。テーブルマウンテンの平らな部分を行くため道は平たんです。小さな沢を越えて美しいブナの森を歩けば、さながら森林浴ハイキングを楽しめます。
経塚山までほとんど水平ですが、山頂までの最後の登りは少しハード。山頂は狭く、展望はほとんどありませんが、木々の隙間から八ヶ岳を見ることができます。
初心者向け|静かな樹林帯登る相沢登山口コース
最高点の標高: 1374 m
最低点の標高: 618 m
累積標高(上り): 1028 m
累積標高(下り): -1028 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間56分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
相沢登山口駐車場そばにある登山口からスタート。始めは杉林の中を進み、稜線に出ると明るい尾根道を歩きます。岩が露出している登山道になると、再び杉林に入ります。
登山道で大きな岩を見かけるようになり、中でもひときわ大きな岩のそばに中ノ宮が祀られています。ここまでは道が少し分かりづらい箇所もあるので、地図をしっかり見て歩きましょう。
中ノ宮を過ぎると、胸突八丁と呼ばれる九十九折りの急坂が続きます。しばらくすると艫岩も見え始め、階段を上がると分岐の道標があり、頂上のある台地に出ます。階段は比較的整備されていますが、濡れているとすべりやすいので注意しましょう。
分岐から艫岩に立ち寄り、荒船山登山口コースと同じルートで山頂に向かいます。下山の急登は気をつけて下りましょう。
中級者以上|鎖場・急登ありの立岩コース
最高点の標高: 1374 m
最低点の標高: 763 m
累積標高(上り): 2119 m
累積標高(下り): -2119 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間56分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
最後にご紹介するのは、鎖場や急登がある立岩コース。このコースは最も人が少なく静かな山歩きができるのですが、コースがわかりづらい箇所があり、道標もあまりないので道迷いに注意が必要。歩行時間も長く、健脚でルートファインディングができる中級者以上でないと厳しいコースです。
国道201号の車道終点の立岩登山口からスタート。二度沢を渡り、本格的な登山道に入っていきます。始めは樹林帯の中を歩きますが、立岩が見えてくるとザレた登山道に変わります。浮石が多いので落石に注意しましょう。
立岩のコルから西立岩山頂まで鎖場や痩せ尾根が続きます。立岩の絶壁に取り付けられた鎖場の片側はきれ落ちているので慎重に。西立岩山頂からは、これから向かう荒船山の最高峰経塚山や浅間山などを一望できます。
西立岩から経塚山へ向かいます。西立岩の急斜面を下ると、いくつかピークを越えながら痩せ尾根がずっと続きます。手摺がある場所もありますが、両側が切れ落ちているので注意して歩行しましょう。経塚山への最後の登りは岩がゴロゴロした登山道となります。
山頂から艫岩までは広い平たんな樹林帯です。テーブルマウンテンの台地状が良く分かる、気持ちの良い広い平原を歩きます。
艫岩から来た道を経塚入口まで戻り、星尾峠へ向かいます。ここからは登山道が不明瞭で、踏み後も落ち葉があるとよく分かりません。ピンクリボンや線ヶ滝方面の標識を目印に下りましょう。沢が現れると、何度か渡り返しながら進みますが、ピンクリボンもない箇所もあるので、しっかりとしたルートファインディグが必要です。
荒船山の登山口へのアクセス・駐車場情報
荒船山は長野県側、群馬県側それぞれに登山口があります。登山口によっては公共交通機関のアクセスが良くない場合があるため、最寄りからの徒歩時間などを事前にチェックしておきましょう。
荒船山登山口
【クルマの場合】
上信越自動車道「下仁田」ICー国道254号ー荒船山駐車場
【公共交通機関の場合】
上信電鉄「下仁田」駅下車、しもにたバス「市野萱行き」乗車ー「市野萱」下車
下仁田町|しもにたバス
相沢登山口
【クルマの場合】
上信越自動車道「下仁田」ICー国道254号ー相沢登山口駐車場
- 【公共交通機関バスの場合】
上信電鉄「下仁田」駅下車、しもにたバス「市野萱行き」乗車ー「三ツ瀬」下車
立岩登山口
【クルマの場合】
上信越自動車道「下仁田」ICー国道254号ー県道193号ー県道172号/県道45号ー県道45号ー県道93号ー県道201号ー立石登山口駐車場
- 【公共交通機関の場合】
上信電鉄「下仁田」駅下車、南牧バス「勧能」線乗車ー「羽根沢」下車
登山と一緒に!温泉&観光情報
荒船山に登るなら、ぜひ立ち寄ってほしいおすすめの場所をご紹介します。すぐ近くには世界遺産もあるんです!美味しいものを食べて、温泉で登山の疲れを癒して帰りましょう。
世界遺産!荒船風穴
荒船風穴は、岩の間から吹き出す冷風を利用して蚕の卵を貯蔵し、孵化の時期を調節した冷蔵施設。現在でも大きな石垣が残っていて、冷たい風を感じることができます。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産として世界文化遺産に登録されました。冬季は閉鎖されるため、見学時期は要チェックです。
日本最古の洋式牧場!神津牧場
神津牧場は明治20年に開設された日本で初めての洋式牧場。広大な高原に赤いとんがり屋根の牧舎があり、まるでアルプスの牧場のよう。ジャージー牛やポニーが放牧されていて、ソフトクリームや鉄板焼ランチが人気です。
西下仁田温泉【荒船の湯】
荒船山の麓にある町営の温泉。広くゆったりとしたつくりの内湯と露天風呂やサウナルームも完備。休憩室では地元の蕎麦やこんにゃくを食べることができます。
八千代温泉【芹の湯】
古い町並みが残る姫街道沿いにあるひっそりとした温泉です。ぬるぬるとした湯も人気ですが、食事もおすすめ。自家製麺の釜揚げうどんやマス料理、ふわふわの源泉豆腐など人気メニューがたくさんあります。
荒船山を楽しもう!
まるで巨大な船のような荒船山。遠くから見ていつか登ってみたいと思う方も多いのではないでしょうか。荒船山登山は、樹林帯あり岩場あり、そしてテーブルマウンテンならではの台地を楽しむことができます。ぜひ足元には気をつけて登ってみてください。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。