手先を温める動き➀
手先を温める動き➁
足先を温める動き
足の指のグーパーを繰り返す。
「えっ、これだけ!?」と思うかもしれませんが、本当にこれだけ! 登山中、足や体幹などの活動している筋肉や脳などの臓器に積極的に血液が流れます。そのため、末端の手先・足先には血液が行き届かずに、冷たくなってしまいがち。手先・足先を動かすことで血流を促すことが重要なんです。
「にわかには信じがたい……」 本当に温まるのかどうかを実験!
手先や足先をちょっと動かすだけで、本当に温まるのでしょうか? グーパー効果による手の温度変化をサーモグラフィーで確認してみました。
グーパーするとどうなる?
1分間“グーパー”を繰り返した結果がこちら。手の表面温度が3.5度アップ。指の縁も色が濃くなっているので、温度が上昇していることが見て取れます。
とはいえ、もともと手が冷えていたわけでなないので、「こんなものなのかな?」という印象。冬の山のように冷えきった手の場合はどうなのでしょうか?
冷えた手だとどうなる?
キンキンに冷えた缶ジュースで1分間手を冷やします。その直後の手が左(before)です。そこから1分間“グーパー”を繰り返したところ表面温度が4.5度アップ。右(after)を見てみると、まだ温度が低い部分もありますが、手の平を中心に“グーパー”する前よりも相対的に温かくなっています。
「いやいや、実際の冬山だったらもっと手が冷えているから“グーパー”くらいだと温まらないでしょ?」そんな声が聞こえてきそうです。そこでもうひとつ実験。
まず、先ほどと同じように1分間手を冷やし、直後の状態を計測(左)。そのまま何もせずに1分間経過したところで再度計測(中央)。その後1分間“グーパー”を繰り返し、直後の状態を計測(右)。
その結果、室内での計測ということもあり、何もせずとも表面温度はアップ。しかし指先はまだ冷えた状態です。その後の“グーパー”により、手のひらの表面温度こそ変わりませんでしたが、指の冷えた部分(水色)が消えて全体が温まりました。
試してみる価値あり!
今回の実験では、手の表面を簡易的に1分間冷やしただけではありましたが、それでも温度変化は歴然。“グーパー”した方がより指先まで温まることが分かりました。
何より手先を動かすことで、内側から手がぽかぽかしてくるのを実感! サーモグラフィーの結果だけでは見て取れない変化です。
もちろん体質によって温まる度合いや速さは異なります。実際の冬山では、動かす時間をもう少し長くする必要があるかもしれません。
ちょっとの工夫で血行促進! 冬の登山を思いっきり楽しもう!
事前にできる「冷やさないための対策」と、冷えてしまったときに山でもできる「ホカホカ術」をご紹介しました。いずれもポイントは、できる限り血流を促すこと。簡単ですぐに取り入れられることなので、ぜひ試してみてください。つらい“冷え”をちょっとでも解消して、楽しい冬山登山ができますように!