京都・嵐山の背後にそびえる信仰の山
標高 | 所在地 | 体力レベル | 難易度レベル |
---|---|---|---|
924m | 京都府京都市右京区 | ★★ | ★★ |
嵐山の景観を構成している特徴的な山容を持つ愛宕山。東にそびえる比叡山とともに、古くから信仰の山として知られています。
周辺市街地からのアクセスも良好で、山頂から見下ろす街の展望が魅力のひとつです。
全国各地にある「愛宕神社」の総本山
山頂には、全国に約900社ある愛宕神社の総本山が鎮座しています。火伏の神様として古くから親しまれ、京都の多くの家庭や飲食店などには「火迺要慎(ひのようじん)」と書かれた火伏札が貼られていることでも有名。
7月31日の夜から8月1日の朝までに参拝することを「千日詣(せんにちまいり)」と呼び、千日分の火伏のご利益があると言われ、大変な賑わいを見せます。
京都の街並みが一望できる絶景スポット!
愛宕山周辺には景勝地も盛りだくさん!
愛宕山のある嵐山一帯は、言わずとしれた京都でも有数の景勝地です。いずれも登山ついでに足を延ばせるスポットばかりなので、ぜひ立ち寄ってみましょう。
金鈴渓
表参道コースの起点となっている清滝から、下流の落合橋までの区間の渓谷が金鈴渓と呼ばれています。この区間は東海自然歩道としてよく整備され、渓谷美を堪能できる人気のハイキングコースとなっています。また秋には美しい紅葉を見ることができます。
表参道~月輪寺の周回コースと組み合わせて、7時間前後のボリュームのあるハイキングとして楽しむことも可能です。
トロッコ保津峡駅
駅舎のすぐ脇を美しい渓谷が流れる秘境駅。駅舎への唯一のアクセスである吊り橋を渡ると、ホームでは無数のたぬき達が出迎えてくれます。トロッコ列車と渓谷美が調和する景色が美しく、金鈴渓や、愛宕山のツツジ尾根コースの起点としても利用されています。
渡月橋(嵐山)
桂川に掛かる木製の橋で、言わずと知れた嵐山のシンボル。その景色は、紅葉や桜の時期のみならず、四季折々の美しさで見る者を魅了します。半休「嵐山」駅より徒歩5分程度です。
愛宕山の登山レベルや適期は?
「表参道コース」を中心にコースの整備状況は良好で危険個所もなく、登山初心者にもおすすめ。
ただし低山と言っても油断は禁物。日が落ちてから行動不能になるなど救助要請の件数が増加傾向にあります。コースタイムも5時間以上あるため、初心者は午前中には登山開始する、地図でルートを確認するなど、万全を期して登りましょう。
冬季は積雪もありますが、雪景色の中のハイキングを楽しめます。ただし、軽アイゼンやチャーンスパイクは用意しましょう。
GPSアプリやココヘリも忘れずに!
登山時には必ずGPSアプリなど地図の準備はしておきましょう。また、もしもの遭難時に、登山者を早く見つけ出すことに特化したサービス「ココヘリ」も登山の新常識となりつつありますよ。
清滝からの周回コース|定番の名所めぐりで信仰の山あるき
最高点の標高: 896 m
最低点の標高: 89 m
累積標高(上り): 1922 m
累積標高(下り): -1922 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間25分(周回)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
清滝を起点に、表参道~愛宕神社~月輪寺を周回する、最もポピュラーなコース。整備が行き届いており、初心者でも挑戦しやすいのが特徴。所々で京都市街地の展望があるのもポイントです。
山頂の愛宕神社に向けて一気に登るのが最短距離ですが、地図を頼りに、途中で少しコースを外れるのもおすすめ。ケーブルカー駅跡や空也滝などを見学することで、より充実した登山になるでしょう。
コース詳細
清滝バス停からの道を上がり、二の鳥居へ。ここから登山スタート。
序盤は舗装路ですが、しばらく行くと次第に山道らしくなっていきます。看板等が各所に整備されているので、道に迷うことはないでしょう。
水尾分かれに到着。各所にある休憩所を有効に活用しましょう。
時間がある方は、登山道を少し外れ、ケーブルカー駅跡を訪れるのもおすすめ。ただし、標識等は無く、一旦ルートを外れる必要があるため、立ち寄る方は地図をよく確認していきましょう。
黒門が見えてくると、いよいよ登りも終盤。
山頂の手前に差し掛かると、登山道の勾配も緩やかに。ここまで来ればいよいよあと少し。
最後に現れる50mの階段を登りきると、立派な社殿が現れます。無事にたどり着いたお礼と、下山の安全祈願を忘れずに。
せっかくなので三角点にも立ち寄り、京都市街の展望を楽しんでから下山を開始。
石段を下り、山門付近から月輪寺方面への分岐へ進みます。
標識をしっかりと確認。月輪寺を経由し、スタート地点の清滝へ戻ります。
途中にある月輪寺は、ひっそりと佇む静かなお寺です。
月輪寺の登山口まで降りてきました。ここから先は舗装路になります。
時間に余裕がある方は、空也の滝へ足を延ばすのもおすすめ。京都で最大級とも言われ、平安時代中期に、空也上人が修行した地と言われています。現在でも、滝行を行う修行者は健在です。
再び舗装路に戻り、下山。清滝のバス停でゴールです。
ツツジ尾根コース|登山者も少なく、落ち着いた中級者向けルート
最高点の標高: 896 m
最低点の標高: 80 m
累積標高(上り): 1978 m
累積標高(下り): -1978 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間50分(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
愛宕山から南に延びる「ツツジ尾根」を辿り、荒神峠を経て山頂に至るコース。表参道に比べると登山者も少ないため、前半は静かな山歩きが楽しめるでしょう。
踏み跡は比較的しっかりしているものの、登山口が分かりづらく、水尾分かれまでは標識やテープ等の印が無いため、中級者以上におすすめです。
コース詳細
公共交通機関や自家用車ともに起点となる、JR保津峡駅からスタートします。
駅から少し歩くと、分岐の標識が現れます。ここではトロッコ保津峡駅方面に向かいます。
分岐から間もなく、登山口です。写真の通り、入口の看板等はありません。左手側を注視して歩きましょう。
そこを登りきると、傾斜のなだらかな歩きやすい道に入ります。
荒神峠から先は傾斜がきつくなります。
峠以降も明瞭な踏み跡が続きますが、一部見誤りそうな箇所があります。尾根沿いを外れないように歩きましょう。
しばらく進むと、右手側に表参道を歩く登山者が見えてきます。ここまで来ると水尾分かれまであと少し。
ここで最もメジャーな表参道コースに合流します。前述のコースと同じルートになります。
ここでは往復の紹介ですが、もちろん愛宕神社から清滝方面に下山することも可能。アクセス方法を考えて登山計画を立てましょう!
下山後に立ち寄りたい温泉情報
渡月橋や阪急嵐山駅からも程近い、「京都 嵐山温泉 湯浴み処 風風の湯」は弱アルカリ性の単純温泉。神経痛や筋肉痛に効果があり、登山後の疲労回復にも効果的です。内湯のほか、露天風呂も楽しめます。サウナ・水風呂も完備。
登山口へのアクセス情報
清滝
【クルマの場合】
名神高速道路「京都南」IC」−府道132号−府道29号−府道137号−清滝
さくらや(青木駐車場)|公式サイト
【公共交通機関の場合】
JR阪急嵐山線「嵐山」駅−京都バス「清滝」行(62、72、92系統)または「大覚寺・清滝」行(94系統)乗車−「清滝」バス停下車
※62系統は四条河原町・三条京阪、72系統はJR京都駅から発着あり
保津峡
駅近隣に駐車場がないため、公共交通の利用がおすすめです。
【公共機関の場合】
JR山陰本線「保津峡」駅下車
歴史とロマンの参詣道
多くの人々に親しまれている愛宕山は、京都に住む人々の信仰とともに歩んできた長い歴史が独自の魅力。京都市内からのアクセス良好で、日帰り登山にうってつけ。
京都市内の観光と組み合わせた楽しみ方もできます。登山者のみならず、京都ファンの方にも訪れてほしい山です。