ある日、友達を山に連れていくことになったら
一番最初にあなたが登山に行った時、誰に連れていってもらいましたか? いきなり1人で挑んだ…というツワモノももしかしたらいるかもしれませんが、ほとんどの方は『誰かに誘われて連れていってもらう』ケースがほとんど。過去のYAMA HACK読者アンケートでも、『誰かに誘われて』登山を始めた人が圧倒的1位でした。
連れていってもらった、ということはもちろん『連れて行く人』がいるということ。あなたがそっちの立場になるケースは、ある日突然やってくるかもしれません。
Aさん
Bさん
行ってみたい!連れてってよ。
Aさん
行ってみたいとことかないの?
Bさん
おすすめとかある?
『最初の1回』が肝心!
せっかく興味を持ってくれたので、ぜひとも「登って良かった!」「登山って楽しい!」と思ってもらいたいですよね。仲の良い友人と行く登山はそれだけでも楽しいもの。あなたが登山に連れて行ってもらったときはどうでしたか? きっと楽しかったから、登山を続けているんですよね。
今回は、「自分が行きたいコースを自分のペースで」登るいつもの登山ではありません。登山の楽しさを友人に体感してもらう、おもてなし登山を成功させるための秘訣を見ていきましょう。
まずは準備する時の心構え6ヶ条!
では、初心者の友人に楽しんでもらえるためにはどんな登山にすればいいのでしょうか? ここでは、心がけておきたいポイントをご紹介します。
①その人の経験・技量に合わせた山を選ぼう
▼長すぎず、それでいて『登山の辛さ』もちょっぴり味わえる山を選ぶ
Aさん
たまにでもランニングや何かスポーツをしているような、体を動かすことに抵抗がない人の初めての登山には、コースタイム2~3時間くらいが目安。ちょっと物足りない…なんてことにならないように、少しだけ急登もあるようなコースが理想です。
▼道が整備されたコースタイム1時間程度のハイキング
Aさん
普段まったく運動しない人なら、まずは道が整備された1時間程度のハイキングから。初回がハードだと、「もう二度と行かない!」なんてことになってしまいます。普段全く運動しない人がせっかく「山に行ってみたい」という心境になってくれたことは尊重したいですよね!
▼自分も余裕のあるコース選びを!
「自分が行きたいところに行くから、勝手についてきて」は×。その場所へは、同じく経験者と一緒かもしくは自身のみで別日に行きましょう。複数人の登山では、一番ペースが遅い人に合わせるのがマナーです。
少なくとも、その友人に比べてあなたは登山経験者。同行者が安全に、そしてできればこれからも続けてもらえるよう楽しく登山をするのが道義というものです。
同行者のペースを無視すると、あなたのペースについていけず無理してバテてしまったり、怪我をする、動けなくなるなどのリスクも当然生じます。そうした事態に対応できない、責任が持てない!というのであれば、最初から断るか、自分の体力・技術的にも余裕のあるコース選びをするのが重要です。
②候補の山は複数出しておく!
Aさん
Bさん
Aさん
おもてなし登山と言っても、登る当人の自己責任の意識も大事。「連れて行かれる」という意識では辛かった思い出しか残りにくいので、「自発的に頑張った」「一緒に頑張った」という意識を持ってもらえるようにするのが理想です。そのためには、山の候補を複数出しておき当人に選んでもらうというのも1つの手です。
③ごはんや景色…ご褒美がある山を
Aさん
Bさん
Aさん
登山をしたこと自体でも満足感は得られるでしょう。でも、そこに「富士山が見られる」 「山頂で山小屋の名物が食べられる」など登山ならではの楽しい要素がプラスであれば、さらに楽しい思い出の登山になるはず。そうすればきっと、次の登山につながりやすいですよね。
④事前にコースの『きついところ』『辛い所』を伝える
Aさん
Bさん
Aさん
大丈夫、ちゃんと手足使ってバランスとればいけるよ。
急登や鎖場があるようなコースなら、急登が何分続く、鎖場で気をつけるポイントなど事前に説明しておきましょう。心づもりをしておいてもらう方が、本人も不安が解消できます。何も言わないでいると「こんな急坂があるなんて」「鎖場なんて怖いところ聞いてない!」とマイナス要素になってしまうかも。
⑤他に一緒に行く人がいないか探そう
山に行ってみたいと相談されている場で、それを聞いていた友人が「私も行ってみたい!」という場面は意外と多いもの。せっかくなので、周囲の人に「登山に行くけどどうかな?」と声をかけてみましょう! 初めて行く人は足を引っ張らないかなど不安に思うこともありますが、初心者の友人も一緒なら心強いはずです。
また、万が一パーティの誰かが怪我をして動けなくなったり、体調不良になった際に1人では対処できない可能性もあります。一緒に行ける人を探すことは、そういったリスクを少しでも回避するために重要です。
⑥天気とにらめっこする
初めてならもちろん雨の登山は避けたいもの。山に天気の変化はつきもので、曇りでも楽しめるというのは、初心者には分かりづらいところです。「きついだけで霧で何も見えなかった…」「雨で足を滑らせて怖かった」なんてことにならないように、できるだけ天候が安定した日を選びましょう。
道具はどうする?
行くことが決まれば、きっと「何を履いていけばいいの?」「どんなカッコで?」と聞かれることでしょう。しかしまだ興味を持っている段階で、好きになるかどうかはこれから。全部一気に揃えるというのは、正直現実的ではありません。
コースによってはせめて靴だけでも要準備!
Bさん
Aさん
Bさん
一番重要なのは靴。ハイキング用のシューズを準備してもらうのが一番ですが、もし難しいなら普段使っている運動靴を履いてきてもらいましょう。コンクリートで舗装された登山道が続くならスニーカーでもOKです。
しかし、せめて靴だけでも準備したほうがいいこともあります。木の根や岩場など滑りやすい場所が多いコースでは、スニーカーでは滑るのが怖くて登山を楽しむどころではありません。
これから始めたいという気概の人には、最初に靴だけ買うことをすすめるのも手です。滑りやすそうなスニーカーしかない、という場合は靴を準備するかコースを検討し直しましょう。
ウェアはまず持ってるものでOK
Bさん
Aさん
綿はNG、スポーツ用の速乾Tシャツなどを持っていればそれでOK。パンツも同様で、綿は乾きにくく体が冷えてしまうことを説明してあげましょう。悪天候で出かける想定ではないので、雨具は簡易的なものでOKです。
リュックも両手が空けばOK
Aさん
Bさん
Aさん
手が塞がると、バランスが取りにくく転倒したときに危険なので、手提げバッグなどはNGです。重い荷物を背負うわけではないので、普段使いのリュックでもOK。ただし、ナップサックなどのような紐で背負うものは、500ℓのペットボトルだけでも肩が痛くなってくるので避けましょう。
道具やウェアは、徐々に少しずつ
いっぺんに揃えようとするとけっこうな出費になるため、登山へのハードルが上がってしまいますし、万が一二度と使わないなんてこともあるかもしれません。また行きたいとなったら、その時に一緒に見に行こうと提案するのがいいでしょう。
いよいよ本番!当日の心構え3ヶ条
いよいよ登山当日。本番で注意したいポイントを押さえて、登山を楽しんでもらえるようにしましょう!
①コースタイムオーバーはやむなし!
Aさん
Bさん
Aさん
歩き始めると、ついいつものペースになりがちです。他人に合わせるのは、意外と難しいもの。しかしこれは、早く目的に着くとか一人で重い荷物を持って縦走するような登山ではありません。予定時間に余裕を持って、相手のペースを見ながら歩きましょう。
▼複数人で山を歩く場合の並び順は?
人数が集まらずその人と2人の場合もありますよね。この場合、とくに決まりはありませんが、基本的には経験者が先行します。慣れていないと登山道がどこなのか分かりづらく、上を見て下も見てというのは疲れるもの。ただし、見通しのよいところでは順番を変わって景色を見せてあげるなど臨機応変にするといいでしょう。
②常に相手のペースを気にするのを忘れずに
Aさん
Bさん
Aさん
Bさん
Aさん
Bさん
Aさん
初心者はあとどれくらいで着くのか、今どの辺なのか、このペースでいいのか、など不安に思うことがたくさん。今いる位置や思ったよりペースが速いのか遅いのかを教えてあげたり、急登が終わるたびに気にしてあげるようにしましょう。
③危険箇所は事前に知らせる
Aさん
Bさん
Aさん
鎖場や急登がある場合は『もうすぐこういう場所があるよ』と知らせましょう。登り始める前に伝えていても、初心者はそれがいつ頃現れるのかまで考える余裕はありません。事前に知らせて、直前のペースを落とすなどして万全に臨めるようにしてあげましょう。
こんなおもてなし、喜んでくれるかも?
Aさん
Bさん
よし、ちょっと回復したぞ。
Aさん
例えば休憩タイムに美味しいコーヒーが出てきたら…きっと喜んでもらえるはず。山のコーヒーはそれだけで贅沢な特別感がありますし、きつかったり疲れていてもほっとしてもらえるような、そんなコーヒータイムを作ってあげるといいかもしれません!
▼バーナーなくてOK!コーヒー3点セット
ミュニーク テトラドリップ
軽量で折りたたむとカード状になる携帯性の良いドリッパー。ポリプロピレン製でコストパフォーマンスにも優れています。
スノーピーク シェラカップ
持ちやすいハンドルのシェラカップ。人数が多くても軽量で重ねられるので持ち運びしやすい。
サーモス 山専ボトル
6時間後でも77℃をキープする高い保温性能があるステンレスボトル。山頂でコーヒーを飲む他、素早くカップラーメンを作るときにも便利。もちろん冷たい飲み物も冷たいまま持ち運べます。
サーモス 山専ボトル(FFX-501)
重量:280g
保温効力:6時間/77度以上
保冷効力:6時間/10度以下
おもてなし登山をやってみよう
Bさん
Aさん
Bさん
Aさん
おもてなし登山をして嬉しいことは、「楽しい!」と言ってもらえること。綺麗な景色を見たときに、「登ってよかったー!」と言ってもらえたり、お昼ごはんを「山で食べるご飯はおいしい!」と言ってもらえると、連れてきてあげてよかった!と思います。ただし下山するまでが登山。嬉しい気持ちで気が緩んでしまわないよう、下りも慎重に! ぜひみなさんも、お友達と一緒に登山を楽しんでみてください!