「夏の思い出」・・・実は春に咲くミズバショウ

間違えやすい!尾瀬では夏ではなく春に咲く花

しかし、尾瀬では雪解け後の5~6月が花期。ミズバショウが夏の季語になっているので、作詞家の江間章子氏が夏と解釈したそうです。

見た目は清楚、でも個性的な特徴がたくさん!

一番の特徴、白い部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」


花は中心に立つ棒状の肉穂花序(にくすいかじょ)という部分にたくさん密集して咲きます。ブツブツに見えるひとつひとつが、オシベとメシベがある花なのです。
ちなみに、同じサトイモ科の植物はこの肉穂花序と仏炎苞が特徴の植物がたくさんあります。その中から4つ紹介すると・・・

なんとなく”ブラックミズバショウ”的なザゼンソウ、山でよく見るおなじみのマムシグサ、トロピカルな観葉植物アンスリウム、ウェディングブーケにも使われる清楚なカラー、どれも共通するのが大きな苞と肉穂花序で、ミズバショウになんとなく似ています。ミズバショウの仲間は、かなりの個性派ぞろいですね。
バショウの葉に似ているのが名前の由来

関東以南に自生するバショウ(芭蕉)という植物の葉がミズバショウの葉に似ている事が、名前の由来。水の中のバショウなので、ミズバショウ(水芭蕉)となりました。なお、このバショウは琉球地方の織物「芭蕉布」の原料として知られています。

ミズバショウ属は世界に2つだけ


ツキノワグマが下剤に使う!?実は危険なミズバショウ

特徴が多すぎて紹介しきれませんが、ここまでにしておきます。次からはミズバショウのおすすめ観賞スポットの紹介です。
自生地から栽培地まで、ミズバショウを鑑賞するならココ!
ミズバショウの自生地は主に中部以北から北海道に限られますが、人工栽培している場所も多く、様々な地方でも鑑賞可能。全国各地のおすすめ観賞スポットを紹介します。ミズバショウといえばココ(自生)|尾瀬ヶ原・尾瀬沼(群馬県・福島県)

【花期:5月中旬から6月中旬】
ミズバショウ観賞地の代表「尾瀬」。昭和30年代後半、童謡「夏の思い出」がヒットしたことにより、尾瀬=ミズバショウとして全国的な観光地となりました。尾瀬ヶ原から咲き始め、1週間程度遅れ尾瀬沼でも咲き始めます。カレンダーやポスターでよく見る上の画像のような風景を見たいなら、6月初旬から中旬頃を狙いましょう。
北海道一の大群落(自生)|マクンベツ湿原(北海道)

【花期:4月下旬から5月上旬】
北海道石狩市の広大な低層湿原「マクンベツ湿原」では、4月からミズバショウが咲き始めます。木道が整備されたハンノキ林の下、野鳥のさえずりを聞きながらミズバショウを鑑賞できます。
尾瀬以上の密集度(自生)|奥裾花自然園(長野県)

奥裾花自然園はブナの原生林の中、春はミズバショウ、秋は紅葉が有名な自然公園。ミズバショウの数は尾瀬を凌ぎ、本州随一と言わる大群落です。最盛期は例年5月10日から5月20日頃、今池湿原、こうみ平湿原一帯が観賞地です。
鬼無里観光振興会公式|奥裾花自然園
雄大な白馬三山をバックに(自生)|栂池自然園(長野県)

白馬岳の登山口でもある栂池の高層湿原が栂池自然園。標高1900mの高地にあることから、7月中旬までミズバショウを鑑賞することができます。一番の見ごろは6月中旬、雄大な白馬の山並みをバックにミズバショウの群落を楽しむことができます。
栂池自然園
気軽に歩けるミズバショウの公園(自生)|水芭蕉公園(新潟県)

ミズバショウが自生していた湿地帯に木道を整備し、だれでも気軽に観賞できるようにした水芭蕉公園。花期は早く3月には咲き始めます。4月上旬には付近の山桜との共演も見ることができ、多くの人が訪れます。
五泉市公式|水芭蕉公園
休耕田に咲くミズバショウ(人工栽培)|ハチ北みずばしょうの里(兵庫県)

ハチ北高原の「ハチ北みずばしょうの里」では、棚田の休耕田に12000本のミズバショウを人工栽培しています。同じサトイモ科のザゼンソウも植えられているので同時に楽しめるのが特徴です。ミズバショウの苗も販売されているので、栽培に挑戦してみては?
まるごと北近畿|ハチ北みずばしょうの里
九州では珍しいミズバショウ(人工栽培)|白水湿性花園(大分県)

九重連山の黒岳の登山口であり、日本では珍しい純粋な天然炭酸水が湧出する「白水鉱泉」に、日本各地の山野草を集めた「白水湿性花園」があります。ここでは、九州では珍しいミズバショウを見ることができ、カタクリやユキワリイチゲなど、九州では自生地が少ない花も栽培しています。
花言葉は「美しい思い出」「変わらぬ美しさ」

ミズバショウの花言葉は「美しい思い出」「変わらぬ美しさ」。雪解け後の湿原に美しく佇むミズバショウは、待ち遠しかった春を象徴する代表的な花として多くの人に愛されています。ミズバショウの観賞スポットは意外と多いので、あなたも「美しい思い出」を作ってみては?