白馬乗鞍岳(はくばのりくらだけ)ってどんな山?
標高 | 所在地 | 最高気温(6月‐10月) | 最低気温(6月‐10月) |
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2,469m | 長野県北安曇郡小谷村 | 13.2℃℃ | 4.6℃ |
新潟県と長野県の県境に位置する標高2,469mの乗鞍岳は、北アルプス南部の「乗鞍岳」と区別するために、一般的に「白馬乗鞍岳」と呼ばれています。急峻な山の多い白馬連峰と異なり、乗鞍という名の通り山頂部は広くなだらかで、ゆったりとした山容が特徴的。
人気の白馬大池方面に向かうコース上に位置するためか、2436.4m地点のケルンは通過点としてスルーされがちな存在。しかし、アプローチが簡単でトレッキング気分で出かけられるのに、本格的な北アルプスの大自然を楽しむことができる素晴らしい山でもあります。
夏も秋も期待を裏切らない!天空の絶景
山頂からは、山腹の天狗原が見渡せ、特に紅葉の時期はまるで錦絵のような情景が広がります。もちろん、夏は高山植物が咲き誇り、期待を裏切らない見応えのある風景を一望。さらに、白馬岳が顔をのぞかせる様は迫力満点。さらに、白馬乗鞍のピークを少し過ぎたところには美しく輝く「白馬大池」が待っています。まさに絶景だらけのエリアなのです。
雲上の高層湿原「栂池自然園」
標高約1,900mに広がる栂池自然園は、総面積100ヘクタール、1周約5.5km(約3時間30分)の遊歩道が整備されています。1周しなくても、1kmのショートコースなどバリエーションも豊富なので、時間や体力に合わせてチョイスできます。
6月中旬〜8月中旬頃までは多種多様な高山植物の花が咲き誇り、可憐な姿が目を楽しませてくれます。秋には写真のような紅葉が楽しめる場所。白馬乗鞍岳とセットで気軽にトレッキングを楽しむのにぴったりです。
登山適期は?
栂池自然園の開園時期である6月から、多種多様な高山植物が咲き乱れる7月~9月中旬、紅葉の時期となる9月中旬~10月中旬のが登山適期。夏でも山頂手前に雪渓が残っていることも珍しくありません。例年、10月中旬以降から翌年のGWごろまでは冬シーズンとなります。
てんきとくらす|乗鞍岳(白馬)
※登山指数を参考に、天気予報や天気概況などの情報も検討したうえで登山計画を立てましょう
山と高原地図 白馬岳(白馬乗鞍岳)
【日帰り】白馬乗鞍岳&栂池自然園をハイキング
まずは、メインルートとなる栂池自然園からのピストンコースを紹介します。麓の栂池高原スキー場からゴンドラとロープウェイを乗り継ぎ、登山口にアクセスします。
標高1,900mまで一気に標高を稼げるので、北アルプス初心者にも安心。下山後、体力や時間に応じて栂池自然園内を散策しましょう。
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間20分(自然園の散策含まず)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
ルート詳細
栂池パノラマウェイ(ロープウェイ)を下車後、栂池自然園の脇から登山スタート。
まずは、天狗原に向かってぐんぐん登っていきます。序盤から意外と急な上りが続きます。
頑張って登り切れば、木道が整備された天狗原に到着。目指す白馬乗鞍岳を眺めながら、山の中腹とは思えない天国のような美しい湿原を楽しみながら進みます。
山頂手前は岩がゴロゴロしていて歩きにくい急登です。濡れていると滑りやすいので注意しましょう。また、時期によっては短い雪渓が残っていることもあります。念のため、チェーンスパイクなどがあれば安心ですね。
なだらかな山頂からは、白馬岳や小蓮華山、杓子岳などの雄大な展望が待っています。広いので、ゆっくりとお昼を食べたりと休憩にも最適。景色を堪能したら、登りと同じコースで栂池自然園へと下山しましょう。
栂池自然園
栂池自然園では晴れた日に白馬三山が見渡せる、絶好のハイキングスポットです。特に最奥部の展望湿原からの眺めは絶品。モウセン池、ミズバショウ湿原、ワタスゲ湿原などを散策できます。
【1泊2日】白馬大池&風吹大池!2つの池をめぐる千国揚尾根コース
続いては、1泊2日で白馬大池と風吹大池の2つの池をめぐるコースをご紹介。まずは、日帰りと同じコースと同じ道で白馬乗鞍岳へと向かいます。さらに、白馬大池まで歩を進め1日目は終了。時間があれば、小蓮華山へ足を延ばすのも◎。翌日は白馬エリアの中では、比較的人の少ない静かな風吹大池を目指します。静かな山歩きをしたい人におすすめのコースです!
最高点の標高: 2440 m
最低点の標高: 1479 m
累積標高(上り): 1595 m
累積標高(下り): -1959 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:10時間11分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【1日目】栂池自然園~白馬大池
まずは、ひとつ前の日帰り項目で紹介したルートで白馬乗鞍岳の山頂まで、同じコースを歩きます。
白馬乗鞍岳のピークを過ぎてしばらく下れば、白馬大池が広がる雄大な眺めが眼下に広がります。池に向かって歩くのは、とにかく爽快!
1日目は白馬大池山荘に泊まりましょう。池の周りを散策したり、余力があれば稜線の景色が美しい小蓮華山(約30分)まで足を延ばすのもいいでしょう。白馬大池の山荘は小屋泊とテント泊のどちらも可能。
【2日目】白馬大池〜風吹大池入口
翌日は、前日と同じコースを辿って、白馬大池から再び白馬乗鞍岳のピークへと出発です。天狗原の分岐まで戻ってきたら、風吹大池の方向へと進みましょう。
千国揚尾根は、特に危険な箇所などもなく非常に歩きやすい登山道。尾根歩きを楽しみながら、次の目的地である風吹大池を目指します。
樹林帯から再び湿原に出たら、木道を歩いていきましょう。池塘が点在する美しい風吹天狗原は、人が少なく静かな自然を満喫できます。特に、秋に湿原が草紅葉する様は圧巻ですよ。
ひたすら湿原を歩けば、やがて澄んだ水が美しい風吹大池に到着です。人気エリアの白馬大池などと比べてひっそりとしているので、美しい景観を静かに楽しむことができます。
風吹大池を堪能したら、まずは来た道を戻ります。風吹天狗原の分岐で笹目尾根へと入っていき、風吹大池入口へと下山します。蓮華温泉へ舗装路を歩いて約30分なので、下山後は蓮華温泉でゆっくりするのもおすすめですよ。
風吹大池入口および蓮華温泉には白馬岳登山バス(蓮華線)のバス停があり、JR平岩駅もしくはJR糸魚川駅へ戻ることができます。ただし、季節運行のため事前確認してから計画を立てましょう。なお、風吹大池から風吹登山口(土沢登山口)への下山も可能ですが、公共交通機関が通っていないため注意が必要です。
【その他ルート】白馬岳への縦走や静かなクラシックルート
白馬乗鞍岳へは、人気の白馬岳登山をメインにしたルートがいくつかあります。中でも代表的な2ルートを、それぞれ軽くご紹介します。
【1泊2日】やっぱり王道!猿倉〜白馬岳〜白馬乗鞍〜栂池自然園
最高点の標高: 2909 m
最低点の標高: 1220 m
累積標高(上り): 2782 m
累積標高(下り): -2159 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間35分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
「白馬といえば、ここ!」な雪渓を堪能する王道のコース。猿倉から雪渓を経て白馬岳を目指します。白馬岳頂上宿舎または白馬山荘で1泊して、栂池まで縦走すれば北アルプスの自然を大満喫できること間違いなし。
【1泊2日】こちらも人気!蓮華温泉〜白馬岳〜栂池自然園コース
最高点の標高: 2909 m
最低点の標高: 1453 m
累積標高(上り): 3361 m
累積標高(下り): -2993 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:13時間15分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
こちらも白馬岳で人気のゴールデンコース。上記で紹介しているのと逆にコースを辿り、栂池自然園から入山し蓮華温泉に下山して温泉に入るのもおすすめです。
【破線ルート】経験者向け!白馬乗鞍温泉スキー場(黒川沢)〜山ノ神尾根〜白馬乗鞍岳
白馬乗鞍岳の山麓には「白馬乗鞍温泉スキー場」があり、古くからスキー場として絶大な人気を誇っています。
その白馬乗鞍温泉スキー場から山ノ神尾根を経て、白馬乗鞍岳にアクセスする渋いクラシックルートも存在。明瞭な踏み跡はあるものの、夏山シーズンでは破線ルートとなっていて、登る人も少ないため事前準備はしっかりと!なお、冬場の山ノ神尾根はバックカントリースキーのルートとしても非常に人気があります。
コース上にある山小屋情報
ここでは紹介したコース上にある山小屋をご紹介します。どの山小屋も特色があって、泊まってみたくなりますよ。なお、営業期間などはその年によって異なるため、出かける前に確認しておきましょう。
栂池山荘
眼前には栂池自然園が広がる栂池山荘。宿泊のほか、レストランの利用や予約をすればお弁当を用意してもらうことも可能。白馬エリアの登山基地として人気があります。
栂池ヒュッテ
白馬岳などへの登山口である栂池高原に建つ栂池ヒュッテ。宿泊施設としてお風呂なども完備し、レストランも併設。また、現在の建物のすぐ隣には旧ヒュッテが残されており、歴史をある品々が保存された記念館となっています。
白馬大池山荘
美しい白馬大池の湖畔に建つ人気の山荘。夏には高山植物が咲き乱れ、周辺にはクロサンショウウオやオコジョなどの動物も生息しています。昼は喫茶営業もしているので、登山の途中に立ち寄って休憩するのもおすすめ!
風吹山荘
風吹大池のほとりに佇む風吹山荘。北アルプスの中では訪れる人が少なく、ゆっくりとした静かな山時間を過ごすことができる貴重な存在。小屋泊の他、テント泊も可能です。
白馬乗鞍岳登山口へのアクセス情報
ご紹介した白馬乗鞍岳登山ルートへの登山口アクセス・駐車場の情報をご紹介します。
栂池高原までのアクセス
【公共交通機関の場合】
・JR大糸線「白馬」駅よりアルピコ路線バスで「栂池高原」バス停下車
・JR「長野」駅よりアルピコ特急バス(長野ー白馬線)で「栂池高原」バス停下車
※その他、新宿から夜行バスあり
アルピコ交通|公式サイト
【クルマの場合】
上信越道「長野」ICより国道19号→白馬長野有料道路→国道148号を栂池高原方面へ
栂池自然園へのアクセス
栂池高原から栂池自然園までは「栂池パノラマウェイ」を利用すると便利です。ゴンドラ+ロープウェイの乗継ぎにより、一気に標高約1,900mまで登ることができます。
通過するだけじゃもったいない、白馬乗鞍岳を満喫しよう!
北アルプスのキツイ登山もいいけれど、たまにはのんびりと歩いて景色や自然を堪能するのもいいものです。
いつもは「通過点」となってしまう白馬乗鞍岳を中心にゆっくりと散策をすることで、日頃の疲れも癒されますよ。夏でも秋でも、どの季節に訪れても、とにかく気持ちがいい白馬乗鞍岳にぜひ出かけてみてください!