予測できない子どもの行動。初めての親子登山が不安……
子どもと一緒に登山へ行く時、心配はつきもの。
たとえば……
「急に走り出して前の登山者にぶつかってしまった」
「親の後ろを歩いていると思って振り返ったら、子どもがいなかった」
など、何が起こるかわからないのが子どもとの登山。
一緒に登りたいけど、子どもの安全はもちろん周りにも配慮しなければならないなどと不安が尽きないですよね。
子どもとロープつなぎで不安を解決!安心安全な親子登山を
そこでオススメなのが子どもと〈ロープつなぎ〉をすること。これにより「迷子や事故を未然に防ぐこと」ができちゃいます!
それぞれの体に固定したロープをつなげて、一定の距離を保ちながら進んでいきます。木の根や岩場などの足場が悪い場所、すぐ隣が崖になっている場所などで使うと、転倒してもつないでいるロープで支えられるので安心です。
上りと下りでは、下記画像のようなポイントに注意するとなおいいでしょう。
実際の使用感は?
初めての登山に挑戦した小学2年生の女の子もロープつなぎを実践。その感想を聞いてみました。
「山に行ったのが初めてだし高いところは怖かったけど、ロープをつけたら安心して歩けた。」(小学2年生 初めての御岳山・天狗岩にて)
どうやら、ロープつなぎをすることで、安全確保はもちろん子どもの精神的な支えにもなるようなんです。
子ども用のハーネスでも代用OKですが、1つ5,000〜8,000円ほど。続けるかわからない初めての登山やとりあえずやってみたい時は、こちらのロープつなぎが安価かつ手軽に用意できるのでオススメです。
そこで今回は、初心者でも覚えられる子どもとのロープのつなぎ方について、パパ登山講習会を開催している近藤ガイドに教えてもらいました。
動画と画像で紹介していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▼実際に登山で使った親子のレビューがみたい人はこちらをチェック
〈ロープつなぎ〉3ステップ
〈ロープつなぎ〉は、3ステップで完了!
この後、動画と写真でそれぞれ手順を紹介していきます。
用意するロープの種類は?
ロープといってもさまざまな種類があります。登山やキャンプで使用するロープのカテゴリーでは、「クライミングロープ」「補助ロープ」「細引き」の3タイプ。子どもとのロープつなぎで使う場合は、「補助ロープ」を選ぶといいでしょう。
「補助ロープ」にも、径が丸いものと平たいものがあるので、登山のレベルに合わせたタイプを選んで使用してくださいね。体格に合わせて、1本2〜3メートル分購入します。
■平たいロープ:強度が高いのでオススメ。1メートルで1,000円ほど。
■丸いロープ:平たいロープよりも強度は劣るものの、1メートル200円ほどと平たいロープよりも安価で手に入る。岩場や足場の不安定な場所でなければこちらで十分。
今回は、直径6mmの丸い補助ロープ、2メートルを3本用意。
それではさっそく、ロープつなぎに挑戦してみましょう!
ステップ1|まずは、1本のロープを輪っかにしよう
準備段階として、ロープを輪っかにします。すでに輪になっているスリングを用意してもOK。
▼スリングを使用する場合はこちら
PETZL(ペツル) アノー 120 cm スリング
スリング長さ:120 cm
幅:19 mm
カラー:グリーン
重量:100 g
破断強度:22 kN
素材:ポリエステル
今回は丸い補助ロープを使ったときの結び方を紹介していきます。「ダブルフィッシャーマンズノット」というロープワークを使いますが、緩みづらく解きにくい特徴があるので、装着するときも安心です。
それでは、一緒にチャレンジしてみましょう!
結び方
この結び方で、3本のロープをそれぞれ輪っかにします。山で慌てることなくスムーズに使用できるので、登山前に自宅で結んでおくのがオススメです。
▼まずは動画で結び方をチェック
イメージをつかめたら、各ポイントを画像で細かくみていきましょう。
【1】1本のロープの端と端を左手と右手とそれぞれに持ちます。末端が十分に余るように調整しましょう。
【2】一方の端を、もう一方のロープに巻き込むように巻いていきます。左右どちらのロープから結んでもOKです。
【3】ロープが交差するようにふた巻きする。
【4】ふた巻きしたら、末端を2つの輪の中に通す。
【5】左右に引いて結び目を締める。
【6】もう一方のロープの端も、同様に【2】から同じ手順でふた巻きして結び目を作る。
【7】結び目をしっかり締めたら、矢印の方向に引っ張り、結び目同士が隣り合うまで近づける。
【8】2つの結び目が隣同士になったらOK。十字に交差したコブが左右対称に整っていれば完成です。
ステップ2|輪っかにしたロープを体に固定する
このロープワークは「シートベント(簡易ハーネス)」といい、よく沢登りやクライミング時に使用されます。
先ほど輪っかにしたロープを使って、しっかりと体に固定していきましょう。
結び方
1本のロープを輪っかにしたもので、固定していきます。
▼まずは動画で結び方をチェック
イメージをつかめたら、各ポイントを画像で細かくみていきましょう。
【1】ダブルフィッシャーマンズノットで輪っかにしたロープ(またはスリング)を用意します。
【2】一方の輪を肩(写真では左肩)にかけロープを背中にまわし、もう片方の輪の部分を前に持ってきます。結び目はあとから邪魔にならないように脇の下のあたりに持っていく。
【3】前に持ってきたロープを、肩にかけているロープの下を通し胸の前で交差させる。
【4】(写真・左手の)輪っかの中に(写真・右手の)ロープの端を通す。
【5】輪っかの中に通したロープを引き出してしっかりと締める。肩からロープがずり落ちないようにしましょう。
【6】体にフィットするように結び目を締めれば完成です。(※きつく絞めすぎないように注意)
ステップ3|大人と子どものロープをつなぐ
大人と子どものシートベントを1本のロープ(輪っかにしたもの)でつなぎます。
その際に使うのが「ガースヒッチ」というロープワーク。それでは結び方を見ていきましょう。
結び方
▼まずは動画で結び方をチェック
イメージをつかめたら、各ポイントを画像で細かくみていきましょう。
【1】子どものシートベントにロープを通します。
【2】通したロープを間に通して、引っ張ります。
【3】引っ張った先のロープを大人のカラビナに付ければ完成です。
子どもと一緒に山を楽しむために!ロープつなぎを覚えよう
子どもと安全に登山を楽しむためにも、ロープつなぎをぜひ試してみてくださいね。これがあるだけで、親子ともに安心できること間違いなし。
ロープワークを覚えるには、実際にやってみるのが1番です。実技講習などを開催しているイベントもあるので、そちらに1度参加してみるのもオススメ。
ぜひ、親子で安心安全に山を楽しんでくださいね!