親子登山がしたい人必見!パパ登山講師に聞いた《子どもが山好きになる》親の意識改革って?

2021/04/22 更新

子どもと一緒に山へ行ってみたい。でも、ちゃんと登れるのかな、山を楽しんでくれるかわからない……と悩みや疑問を持っているパパママは多いもの。そこで今回はパパ登山講習会も開いている、山岳界の重鎮・近藤さんに親子登山の不安を解決する方法を教えてもらいました。


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子どもと初めて登山!行きたいけどいろいろ不安……

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子どもが歩けるようになったから、そろそろ一緒に山へ行けるかも。でも、ちゃんと登れるのかな、安心安全にできるかなと悩みや不安をもっている親御さんが多いのではないでしょうか。

親子登山での不安は「子どもに山を楽しんでもらえるかどうか」

YAMA HACKのパパママ読者へ向けて、親子登山についてのアンケートを実施したところ、「お子様と山へ行く時の不安点」の回答に、半数以上の人が「子どものモチベーション」を挙げています。


また、「お子様と一緒に山へ登る前に、知っておきたいことはありますか?」という質問の回答の中で、「登る以外の楽しみ方(を知りたい)」といったものも。

以上の結果から、多くのパパママが子どもに山を楽しんでもらえるかどうか不安に思っていることがわかりました。

そこで今回は、パパ登山講習会の講師も務めている近藤謙司ガイドへ、インタビュー。ハッとさせられる、たくさんの言葉がありました。
撮影:YAMA HACK編集部
<近藤 謙司さん プロフィール>
国際山岳ガイド連盟認定山岳ガイド・日本山岳ガイド協会の理事
高校から本格的な登山をはじめ、世界最高峰であるエベレスト(チョモランマ)を踏破。
一般の人もエベレストへ挑戦できるようにと、自身で株式会社アドベンチャーガイズを設立し、 多くの人を海外の名だたる山々へ案内。
高山だけでなく低山でのツアーや講習会も開催。登山の安全や魅力を普及させる活動もライフワークとしている。
著書に『ぼくは冒険案内人』『エベレスト、登れます。』など多数。

「子どもが山好きになるはず」という意識を変えるところから

素材:いらすとや
山の楽しみ方は人それぞれ。それは親子でも同じことです。

「山頂へ行かなきゃ」「登った達成感が最高」と思いがちですが、それって実は親のエゴかも……。

ましてや初めての登山で、親が「楽しいよ」「感動するよ」と伝えても、なかなか子どもには伝わりません。
では、どうしたらいいのでしょうか?

それは、子ども自身が、「こうすると楽しい!」「なんだか感動した!」という発見をすること

そうすることで、登山っていいなと、自ら新しい楽しさを求めるようになるのです。

まずは道草から!我が子の「楽しい」ポイントを見つけてみよう

子どもが土いじりをしたり、カメラで写真を撮り始めたり、歩くよりもその場で道草を食ってなかなか進まない!と親はイライラしてしまうことがあるかもしれません。ただ、実はこの道草こそが、子どもが自然に対して興味を抱く瞬間なんです。

そのため「山頂まで登る」という大人の登山目標はひとまず置いておき、まずは自然の中で過ごすことからはじめてみましょう。自然の楽しさや面白さを子ども自身が見つけることで、山に対する興味を引き出します。

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森林公園でもキャンプ場でもOK。普段よりも自然が豊富な場所へ連れて行ってみましょう。その際に親が意識しておきたい3つのポイントを伺いました!

①子どもが興味を持ちそうなキッカケの提案

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子ども自身がいろいろな発見をすることもあるでしょう。ただ子どもは目線が低く、視野が狭くなりがち。大人ほどいろんなものを目にしていません。
だからこそ、
あれ、なんだか鳥のさえずりが聞こえるね

この植物はなんだろう?
こないだ来た時と景色が違って見えるね

ちょっとした声がけにより、興味を抱く世界がぐんと広くなります。
子どもの目線に立って、いろんな自然の変化を気づかせて自ら考えるキッカケをあげることが大切なんです。

②何に興味をもつのか観察してみる

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子どもが自然の中でどんな反応をするのか、どんなことに興味をもつのか観察しましょう。立ち止まったら一緒に止まって、子どもの様子を見ながら歩みを合わせます。

③子どもの興味を引き出しながら、徐々に山のフィールドへ

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子どもの興味関心がわかったら、山にどんなものがあるのかをチラ見せ。

たとえば、花が好きだとしたら「あの山の上でしか見られないお花がある」とさらにワンステップ進んだところに興味を持たせると「行ってみたい!」「やってみたい!」と子どもの好奇心を引き出せます。

●【実例】あえて楽しみは次回に!近藤ファミリーの親子登山のはじめ方

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近藤さんには成人されている娘さんが2人。初めての登山時は、まさに先述したチラ見せ技を使っていたようです。

── 娘さんとの初めての登山はどちらでしたか?
近藤さん
山登りというよりキャンプがアウトドアへの導入でしたね。
まずは、自然界っていう異空間に連れ出すことを目的にして、近所でデイキャンプからはじめて。


── 最初はデイキャンプだったんですね!”お泊まり”ではなく”デイキャンプ”だった理由はあるんですか?

近藤さん
子どもたち自身が「してみたい!」という気持ちになるように、あえて余白を残しておいたんだ。そこは泊まる人もいる場所だから、夕方帰るときに子どもたちは「どうしてうちは泊まれないの?」って、聞いてくるんですよ。「私も泊まってみたい!」って。

それで次はキャンプ、その次はキャンプ場の周りを散策、そして裏山へ登ってみるというように徐々に登山へ、ステップアップしていったんだよね。


── なるほど。山のフィールドをチラ見せしながら、徐々に進んでいったわけですね。

近藤さん
そうそう。子どもって、「しなさい!」っていわれるとやりたくなくなっちゃうんで。


── 自発的に「してみたい!」って思わせるように誘導していくんですね。

近藤さん
そう!それに、良かれと思って山に連れていくにしても、子どもには親の真意は伝わりにくいよね。

すぐに山を好きになることを求めるんじゃなくて、10年20年後、子どもが親になった時に思い出して、気づいてくれることが大切。それでいいんじゃないかな。

「行きたい!」を引き出すことが大切なんですね。いろんなキッカケを提案して、山のおもしろさをチラ見せしていきましょう。

山はツライ部分も……それでも子どもが最後まで登りたくなる方法



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登山は時にツライ部分もありますよね。「もう歩きたくない」「抱っこして」など子どもの心が折れてしまったらどうしよう、と不安に思っている人も多いでしょう。そこで近藤さんに山を最後まで楽しんでもらうための方法を教えていただきました。

それが山に”登る”だけじゃない、身近な目標で山を楽しむことです。

登頂以外の目的意識を作ってあげる。山はツライと思わせない工夫をすることが必要なんです。

楽しい!と思える「登る」以外の目標を決めよう

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山頂へ行くことが当たり前になりがちですが、子どもにとっては「なんでツライのに行くの?」と理由もない状態で行くと嫌な気持ちが増えていってしまいます。そこで、子どもが楽しいと思えるような山へ登る以外の目標を作ってあげるのがオススメです。
たとえば、「年賀状の写真を山頂で撮ろうね」「山に行ったお話をおばあちゃんに伝えようね」「山頂でご飯を食べようね」とか。途中で飽きてしまったときも、目標へ向けて頑張ろう!と声がけができるし、子ども自身もやる気を出しやすいです。

他にもあります!山がツライと思わせない工夫

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ほかにもツライと思わせないポイントはこちら。
・同年代の友だちと一緒に行く
・レベルに合った登山コースを選ぶ


子どもは友だちの一生懸命な姿を見ると、お互いに頑張ろうって切磋琢磨するもの。学校の遠足などでは、多くの子どもが我先にと山頂目指して歩いて行きます。そういった、子どもが自然と頑張りたいと思える環境を整えるのもいいでしょう。

また雨風が強かったり、コースが難しかったりと外的な要因によってトラウマになってしまう可能性も。子どものレベルに合わせた、天候やコース選びも重要なポイントです。

── ちなみに近藤さんは、親子登山で困ったことはありましたか?

近藤さん
子ども自身の山での楽しみがあったからか、歩きたくないってなることはなかったかな。
女の子だから虫とかには興味がなかったけど、大声で歌を歌って歩いたり……山へ行けば行ったで楽しんでくれていたと思う。スレ違う時に知らない人と挨拶するのが目標というか楽しみだったみたいだね。

ただ、姉妹で年が離れていたから、歩くスピードが全然違うの。だから、上の子が自分の友だちと先に登って行くのを、下の子が「お姉ちゃんと一緒に歩きたい」っていうのを、なだめるのが大変だったね。


── そういう時はどうしていたんですか?

近藤さん
「お父さん、お母さんをひとり占めできていいねぇ〜」とかいったりして。あとは、お菓子とか食べ物でなだめてね。笑
山で小さい子どもが一生懸命歩いていれば、「歩いてえらいね!」とか、他の登山者からの声かけもすごくよかったね。

パパママの登山目標は「子どもに楽しんでもらう」こと

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子どもに山を楽しんでもらうためには「登山を好きになることを求めない」ということが大切。
「自分でしたい!」を引き出すために子どもに気づきを与えて、親子の山の楽しみを発見していきましょう。

親の「好き」を子どもにも求めすぎない。近藤さんのお話は、登山だけでなく子育てをしていく上で、心に留めておきたいポイントですね。

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高橋 典子

ハイクとミニマルキャンプをこよなく愛するフリーライター。次はどこに行こうか、9歳の息子と地図を眺めるのが日課。最近は、山岳気象予報に興味津々!

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