16万人のデータを見てきた脳科学者が教える!子どもの「脳力」がグンと伸びる親子登山のススメとは

2021/03/25 更新

アウトドア、なかでも登山には子どもの脳の発育を促す要素がたくさんあるんだとか。 そこで登山と育脳の関係について、脳研究の最前線で活躍しされている脳科学者の瀧先生にお話を伺いました。子どもと一緒に山へ行ってみたい、パパママ必見ですよ!

制作者

ライター

高橋 典子

旅好きフリーライター。バイクツーリングついでに山を歩きはじめて、すっかりハマる。現在は10歳の息子が山の相棒。北アルプスや北海道でのテント泊、スノーハイクなど親子で楽しめる山遊びを模索中。子どもたちに自然を残したいと環境問題に興味あり。好きな山は燕岳と八ヶ岳。よく行く山域は奥多摩エリア。

高橋 典子のプロフィール

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アイキャッチ編集:高橋 典子

行きたいけど…親子登山はなかなかハードルが高い…

出典:PIXTA
子どもと一緒に登山をしたことはありますか?一緒に感動的な景色を見たり、山頂で山ごはんを食べたり、山に登るからこその感動体験はきっと子どもにとっても親にとっても貴重な思い出になること間違いなし!

…と頭で思ってはいるものの、準備が大変だったり、安全管理が不安だったりとなかなか実行するには気合が必要…。

やる気スイッチが押されないかぎり、一緒に行くのはまだまだ先になりそう…。

そんなあなたのやる気スイッチがきっと押される、情報を入手

子どもと一緒に山へ行きたいが、行こう!に変わる、そんな情報を見つけたんです。

やる気スイッチ
出典:PIXTA
それは、
山へ登ると、子どもの脳の力がパワーアップするんです!

我が子には賢く育ってほしいというのは、多くの親の願い。筆者も子をもつ母として、これは聞きずてならない。

こ、これは….


スイッチON…したいところだけど、パワーアップって具体的にどういうこと?

16万人の脳データを見てきた脳科学者が提唱

そこで今回は、登山と育脳の関係について深堀りすべく、脳研究の最前線で活躍されている脳科学者の瀧先生にお話を伺いました。
先生も一児の父。子どもとの実体験にもとづくエピソードも必見です。

提供:瀧先生
<瀧 靖之先生 プロフィール>
東北大学・加齢医学研究所教授
東北大学加齢医学研究所の教授で、医師、そして医学博士と多方面で活躍中。脳のMRI画像によるデータベースを作り、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事し、これまでにおよそ16万人の脳を撮影・解析しています。
著書に『アウトドア育脳』『「賢い子」に育てる究極のコツ』など。
一児のパパとして絶賛育児中。

脳を育てるキーポイントは《アウトドア》にあり!

登山のお話をする前に、まずは子どもの脳発達に必要な3大要素をチェックしてみましょう。

★運動・・・
立ったりしゃがんだり、走ったり。家にいる時よりも体を動かすこと。

★コミュニケーション・・・
誰かと会話しながら、共同で何かを作りあげたり、遊んだりすること。

★知的好奇心・・・
水たまりに足を入れて「これはなんだろう?」「もっと知りたい!」という気持ちのこと。

そしてこの中でももっとも重要とされているのが、知的好奇心
実はこの知的好奇心を伸ばすのに効果的なのが、《アウトドア体験》といわれているんです。

バーチャルでは体験できない!五感で自然を感じられるから

出典:PIXTA
最近ではスマホやインターネットも普及し、子どもの興味を惹きつけるコンテンツもたくさん。自然という無限の広がりを肌で感じて、目で見て、ニオイを嗅いでと五感で感じることが「なぜ?」「どうして?」と探究心に繋がっていくんだそうです。

登山という前に、そもそも自然の中で子どもと過ごすことがとてもいいことがわかりますね。

ただ先生によると、アウトドアのなかでも登山は、子どもの脳力をアップさせる要素が群を抜いているとのこと。その秘密を探っていきましょう。

なかでも山は絶好の育脳フィールド!登山だからこそ身に付く力って?

山登りは自分で荷物を持って、歩かなければなりません。公園に行って遊ぶよりも、大変なことやつらいことが多いことも。
ただそれを乗り越える体験が、子どもにとっては貴重な経験となり、力になるんです。

出典:PIXTA
4つの力は、登山のどんなシーンで身に付くのでしょうか。先生に伺ってみました、

①やり遂げる力
デコボコした歩きにくい登山道を最後まで歩く、目標を達成することで「やり遂げる力」が身に付く。

②自己判断力
坂を下る時に足をどこに置くのか、どんなスピードで歩くのかなど登山は小さい判断の連続。自分で考えて行動できるようになる。

③コミュニケーション力
山ではすれ違う時に登山者同士あいさつをするので、知らない人とのコミュニケーションが盛んに。また大変な思いをしながら一緒に登ることで、お互いを思いやる力が鍛えられ、親子の絆も深まる。

④自己肯定感を高める力
綺麗な景色や目標の達成に感動する体験は、自己肯定感を高める。

コントロールができない厳しい環境だからこそ、身に付く力がこんなにもあるとは驚きです。

子どもと山に登って成長を実感!先生の初親子登山を聞いてみました

出典:PIXTA(八丈富士)
小さい頃からアウトドアに慣れ親しんでいた瀧先生は、大人になっても身近な山へ登ったり昆虫採集したりとアクティブに活動されているそう。子どもにも1歳から虫網を持たせて、一緒に野山を駆け回っていたそうです。そんな先生と子どもの初めての登山について伺ってみました。

── お子さんとの初めての登山はどちらでしたか?
瀧先生
子どもが4歳の時に、八丈富士に一緒に登ったのが最初だったと思います。火口の周りも一周しました。子どもにとっては結構大変だったんじゃないかな。


出典:PIXTA(一般的なカラスアゲハ)
── 八丈富士は階段が多かったり、行動時間が3時間ほどだったりと、4歳のお子さんにしたらなかなかハードですね。登ったきっかけは何でしたか?
瀧先生
単に、僕が島好きだっただけなんです。笑
加えて、八丈島の「ハチジョウカラスアゲハ」という固有種の蝶を見てみたいなと思って、子どもと一緒に行きました。

── 山だけが目的ではなかったんですね。お子さんは登っている時、つらくて歩くのを嫌がりませんでした?
瀧先生
そういうものだと思って頑張ってついてきていました。相当しんどかったと思ういますけどね。
だから、根性あるなぁと思いました

それに、やっぱりもともと自然が好きというのが大きいと思います。知らないところに行けば、知らない生き物がいる。山に行けば普段とは違う生き物が見られると、これまでの経験から子ども自身がわかっているのだと思います。

── 初めての登山では成長ポイントなど、何か感じたことがあれば教えてください。
瀧先生
息子からは”やり抜く力”を感じましたね。なんだかんだいって(八丈富士は)、風が強かったり階段が多かったりと大変だったので。


先生自身も実践されている親子登山。子どものいつもとは違う一面が見られるのは、親にとっても貴重な思い出になりますね。

登りたい思いが強くなってきたいま、始める前に意識しておきたいポイントを伺ってみました。

子どもが山を好きになる!始める前に知っておきたいポイント

出典:PIXTA
いざ山へ行ってみようと考えても、子どもが楽しんでくれるのか、山を嫌いにならないのか、不安ですよね。いきなり連れていくのでははく、山を楽しんでもらうためには、始め方にポイントがあるようです。

それがこちら!
①小さいうちに、山へ行くことを当たり前にする
②図鑑で知識をインプットしてから山でアウトプット
子どもの興味を惹きつけるプラスアルファの工夫が大切。それぞれ詳しく聞いていきましょう。

①小さいうちに、山へ行くことを当たり前にする

出典:PIXTA
登山を始めるタイミングは、早ければ早いほどいい!歩行がしっかりしてくれば何歳でも。
好き嫌いの感情が生まれる前に、体験を当たり前にすることで抵抗感がなくなります。
── 年齢的に大きくなってしまっていて、アウトドアへの関心が少ない子どもには、どう働きかけますか?
瀧先生
大きくなってしまっていると難しいですが…とにかく連れ出してみることですね。最初は、ゲームを持たせて出かけても構いませんよ。ハードな登山である必要はなく、本当に気軽に行けるところへ。

そして、行く機会を増やしていくこと。たとえば、月の最後の週末は必ず1回山へ行くなどと決めて、ルーチンにしてしまうのもいい方法ですね。習慣にしてしまえば、自ずと山へ行こうとなりますよ。

図鑑で知識をインプットしてから、山でアウトプット

出典:PIXTA
山登りをする前に、そこで見られる植物や生き物を図鑑で見ておくのがオススメ。事前に見て情報を持っておくことで、興味をもつキッカケが増えて知的好奇心が刺激されます。
撮影:高橋 典子
図鑑で自然の知識に興味を持って、実際に五感で感じて、帰ってきてから図鑑を見るという繰り返しが、知的好奇心を引き出す最高のサイクルなんです。図鑑を読み込む必要はなくて、親子で楽しみながら一緒に眺める程度でOK。
── 図鑑のジャンルはどんなものがオススメですか?
瀧先生
星だったり植物や動物だったり、なんでもいいですよ。山だったらその場所でしか見られない、高山植物の図鑑などもいいですね。

知識を入れて、自然に触れにいく。そうすることで、体験は10倍に広がると思います。

── なるほど!知識と行動が結びついて、体験に深みが出ますね。
瀧先生
やり抜く力や体力もつき、自然に対する興味が湧き、知的好奇心も伸びていきます。さらにコミュニケーション力も高まり、親子の絆も深まります。ほかにも辛い時にお互いを思いやる気持ちや、共感性など…

登山の効果は一石五鳥くらいあると思いますよ!

親子登山スイッチ押されちゃった!こりゃ行くっきゃないぞ

出典:PIXTA
山という大きな自然と向き合い、目標を立て体験し何かを感じることは、きっと子どもにも大人にとっても貴重な経験になること間違いなし。親子で感動体験を共有し、楽しい時間を過ごしているうちに脳も心も育つ…山をはじめとした自然の中に出かけない手はありませんね!
── 最後に、登山を含めたアウトドアで「育脳」のために抑えるべきポイントを教えてください。
瀧先生
子どもは親の模倣で育つんです。だから登山でもなんでも、親が楽しんでいる姿を見せることが大切なんじゃないかなと思います。

なので簡単に気軽に始められるレベルの山からスタートすれば、それでいいんです。「子どもの育脳のため」や「教育のため」に登山をするのではなく、好きなことを楽しんでいる親のキラキラした姿をぜひ自然体で見せてあげてください。


▼もっと詳しく知りたい方はコチラ
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アウトドア育脳のすすめ 脳科学者が教える!子どもを賢く育てるヒント
【著者:瀧靖之, 発行元:山と渓谷社】

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