楽しい登山は家でも続くよ!子どもに読んであげたい「山の本」

2020/07/31 更新

夏休みがいよいよ始まります!子どもたちの中には「初めての登山」を経験する子もいるかもしれません。登山で得たドキドキ・ワクワクの好奇心を高め、より山を好きになってもらえるような絵本や本を、山好きの司書さんに選んでもらいました。もちろん子どもだけでなく大人が読んでも楽しめますよ!


アイキャッチ画像提供:東京子ども図書館(読み聞かせ中の清水さん)

「山たのしかった!」という子どもに、山好きになってほしい!

子供と登山
出典:PIXTA
家族登山や林間学校などで、子どもたちも自然と触れ合う機会が多くなる夏休み。

「山たのしかった!」と小さな冒険と大きな挑戦を振り返り、ちょっと自慢気に成長した子どもたちを、大人はどうやってさらにわくわくさせてあげられるでしょうか?

そんなときに借りたいのが「物語の持つ力」。今回は「東京子ども図書館」の司書で、自身も登山が好きという清水千秋さんに子どもに読んであげたい本」「子どもに読んでほしい本を選んでもらいました。

初めての登山のあと、子どもに「読んであげたい本」

小さい子どもには読み聞かせできる「絵本」を選んでもらいました。イラストや写真などを一緒に見ていると、大人の私たちも新鮮な目で山や自然の魅力を再発見できるかもしれません。

『もりのえほん』安野光雅絵 福音館書店

もりのえほん
書影撮影:YAMA HACK編集部/『もりのえほん』安野光雅(福音館書店)より引用

『もりのえほん』
安野光雅/福音館書店

清水さん
扉ページには、読者をまるで森の散歩へ誘うように、小道をたどるふたりの子どもの後ろ姿が描かれています。

さらにページを開いていくと、うっそうと繁る、さまざまな森の景色が続きます。よく目を凝らすと、あれっ、ウサギが、ダチョウが、パンダがと次々に見えてきて……。森の中に隠れる130余りの動物を見つけて遊びましょう。

『はじめてのキャンプ』林明子さく・え 福音館書店

はじめてのキャンプ
書影撮影:YAMA HACK編集部/『はじめてのキャンプ』林 明子(福音館書店)より引用

『はじめてのキャンプ』
林 明子/福音館書店

清水さん
小さな女の子なほちゃんは、重い荷物を自分で持つ、泣かない、ごはんを炊く薪も集める、暗闇も怖がらないと約束して、大きい子のキャンプに連れて行ってもらいます。

飯盒炊さん、キャンプファイヤー、こわいお話……時々、約束を忘れそうになるけど、ぐっとがまん。一生懸命がんばった、なほちゃんの満足感が伝わります。

『富士山にのぼる』石川直樹著 アリス館

富士山に登る
書影撮影:YAMA HACK編集部/『富士山に のぼる』石川直樹(アリス館)より引用

『富士山に のぼる』[増補版]
石川直樹/アリス館

清水さん
冬の富士山に登る。「ザクッ ザクッ……、キシッ、キシッ……、きこえるのは、ぼくの歩く音だけだ。」夜はテントで風のうなりを聞き、夏の山麓の森を想う。日の出前、体を前にたおして強風をよけながら、一歩ずつ、一歩ずつ、とにかく足を前に出す。そのとき……。

2001年に23歳で七大陸最高峰登頂を達成し、写真家として活躍する著者による、臨場感あふれる写真絵本です。

『地球のてっぺんに立つ! エベレスト』

地球のてっぺんに立つ
書影撮影:YAMA HACK編集部/『地球のてっぺんに立つ! エベレスト』スティーブ・ジェンキンズ:作、佐藤見果夢:訳(評論社)より引用

『地球のてっぺんに立つ! エベレスト』
スティーブ・ジェンキンズ:作、佐藤見果夢:訳/評論社

清水さん
世界一高い山、標高8848mのエベレスト。その誕生のメカニズム、名前の由来、登頂の歴史、登山用具などを知ったら、いよいよ出発。途中、氷河の滝を通り、氷の深い裂け目をよけながら進みます。危険な雪崩や強風が吹き荒れ、夜にはマイナス37℃まで下がる寒さの中、登っていくと……。

簡潔な文章と風合いの異なる紙の美しいコラージュでその魅力を伝える絵本です。自分も登っているような気分になれるはず。

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子どもが「読みたくなる本」もあります!

登山が好きになった子どもに「読んでほしい本」

自分で文字が読めるようになった子どもには、ルビなどが振られた読みやすい本を選んでもらいました。「山登り」=冒険の楽しみを知った子どもたちが興味を持って読みたくなる物語やルポタージュ、ノウハウ本などは、大人でも十分に楽しめますよ。

『冒険図鑑―野外で生活するために』

冒険図鑑
書影撮影:YAMA HACK編集部/『冒険図鑑―野外で生活するために』さとうち藍:文、松岡達英:絵(福音館書店)より引用

『冒険図鑑―野外で生活するために』
さとうち藍:文、松岡達英:絵/福音館書店

清水さん
野外生活を楽しむための知恵や技術を、わかりやすいイラストと共に紹介する図鑑です。章立ては、「出かける前に」、「歩く」、「食べる」、「寝る」、「作って遊ぶ」、「動物・植物との出会い」、「危険との対応」。

さらに、「歩き方」「ザックのつめ方」「等高線から山のようすを知る」「道に迷ったら」……のような細かな項目に分かれているので、知りたい情報にすぐにたどり着けます。冒険好きには、とても頼りになる一冊です。

『ぼくたちのP(パラダイス)』

ぼくたちのP
書影撮影:YAMA HACK編集部/『ぼくたちのP(パラダイス)』にしがきようこ:作、くぼあやこ:挿絵(小学館)より引用

『ぼくたちのP(パラダイス)』
にしがきようこ:作、くぼあやこ:挿絵/小学館

清水さん
中学2年生の雄太は、人に言えない弱点のせいで、学校では友達もできず、ゲームばかりの毎日を過ごしていました。夏休み、大学の研究室に勤めるおじさんに「ぼくの別荘に行かないか?」と誘われますが、着いた所はなんと山の避難小屋!

フィールドワークを兼ねて、山を守るために道を作る学生達と作業をするうち、自分の居場所を見つけていきます。あるとき、雄太の弱点が役立って……。山ならではの体験がたくさん詰まった本です。

『七大陸最高峰に立って』

七大陸最高峰に立って
書影撮影:YAMA HACK編集部/『七大陸最高峰に立って』田部井淳子:著、平野恵理子:イラスト(小学館)より引用

『七大陸最高峰に立って』
田部井淳子:著、平野恵理子:イラスト/小学館

清水さん
1975年、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功。1992年までに、キリマンジャロ、アコンカグア、マッキンリーなど、世界七大陸最高峰を制覇した著者が、それぞれの山の登頂の記録と登山の魅力を綴ります。

主婦として子育てをしながら、明るく元気に世界の山々に挑んだ姿が描かれ、前向きな気持ちにさせてくれます。

『エヴェレストをめざして』

エヴェレストをめざして
書影撮影:YAMA HACK編集部/『エヴェレストをめざして』ジョン・ハント:作、松方三郎:訳(岩波書店)より引用

『エヴェレストをめざして』
ジョン・ハント:作、松方三郎:訳/岩波書店(岩波少年文庫)

清水さん
1953年5月29日、陸軍大佐で登山家のジョン・ハント率いるイギリス隊が、世界最高峰のエヴェレスト登頂に成功した折の記録。猛烈な風、危険な雪、酸素の欠乏などに阻まれながら、仲間と団結して史上初の快挙を果たすまでを、臨場感たっぷりに描きます。

迫力あるモノクロ写真やキャンプ地を示す地図、丁寧な注も読み手の想像を助けてくれるはず。山岳小説の古典的名著とも言われる本ですので、この夏、読んでみてはいかがでしょうか。

「山好きの司書さん」がいる図書館へようこそ

児童室で読み聞かせ
提供:東京子ども図書館(読み聞かせ中の清水さん)
今回の本を選んでくれたのは、「東京子ども図書館」司書の清水千秋さん。選書はどういった観点で選んだのかをうかがいました。

「コロナの影響で、行動が制限される中、『エヴェレストをめざして』を再読したところ、登山の楽しさや読書という行為そのものがもつ力を再確認しました。幅広い年齢の子どもたちに手に取ってもらえるよう、絵本、物語、ノンフィクションと、タイプの違う本を選びました。今年の夏は、もしかしたら山へは行けないかもしれませんが、ぜひ、本の中で、いろいろな山での体験を味わってもらいたいと思います」

高尾山
出典:PIXTA(高尾山から都心をのぞむ)
そんな清水さんが好きな山も教えてもらいました。

「好きな山をひとつあげるとしたら、高尾山でしょうか。母の実家に近く、幼い頃から身近な山だったからです。初詣を兼ねて薬王院までの参道を歩いたり、従妹たちと相模湖に抜けたり。季節や一緒に登る人にあわせ、いろいろなコースがあることも魅力ですね。子どもの頃から、高尾山に親しんでいたからこそ、北アルプスやマッターホルンを眺めることが旅の目的になるような、山好きになったのだと思います」

東京子ども図書館ってどんな場所?

東京子ども図書館正面玄関
提供:東京子ども図書館(バラに彩られた正面玄関)
清水さんが司書として在籍する、子どもの本と読書を専門とする「東京子ども図書館」。幼児〜中高生を対象にした約8,600冊の蔵書がある「児童室」と、児童書や児童文学の研究書を約19,600冊を揃えた大人向けの「資料室」とがあり、子どもも大人も楽しめます。

児童室
提供:東京子ども図書館
この図書館は公立ではなく私立なのですが、もともとは自宅の蔵書を近所の子どもたちに貸し出したり、読み聞かせたりする個人の活動「家庭文庫」から始まったもの。4つの家庭文庫が母体となっていますが、そのなかには『クマのプーさん』の翻訳でも知られる石井桃子さんの「かつら文庫」も含まれています。

東京子ども図書館
住所:東京都中野区江原町1-19-10
開館時間:(児童室)火・水・金13:00~17:00 土10:30~17:00 (資料室)火・水・金10:00~17:00 土10:00~19:00 (事務室)火~土10:00~17:00
電話:03-3565-7711 ※火~土(祝日除く)10:00~17:00

最新の開館時間については、ホームページで確認を。

東京子ども図書館


紹介した本を買いたい場合は?

今回選んでいただいた本は東京子ども図書館はもちろん、その他の図書館でも比較的探しやすいものになります。一部版元品切れ(絶版)を除いては、オンラインで購入できるものもあります。(コロナ禍での)図書館休館の場合や子どもへのプレゼントにといったときには、こちらをどうぞ。

ITEM
『もりのえほん新版』 安野光雅
発行年月:1981年02月
ページ数:31p
ISBN:9784834007992

ITEM
『はじめてのキャンプ』林明子
発行年月:1984年06月
ページ数:102P
ISBN:9784834009729

ITEM
『富士山に のぼる(増補版)』石川直樹
発行年月:2020年05月29日
ISBN:9784752009337

ITEM
『地球のてっぺんに立つ!エベレスト』スティーブ・ジェンキンス
発行年月:2001年09月
ISBN:9784566007208

ITEM
『冒険図鑑 野外で生活するために』さとうち藍
発行年月:1985年06月
ページ数:381P
ISBN:9784834002638

ITEM
『ぼくたちのP(パラダイス)』にしがき ようこ
発行年月:2018年06月29日
ページ数:288P
ISBN:9784092897632


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YAMA HACK編集部 村岡

YAMA HACK運営&記事編集担当。スキー好きが嵩じて北アルプス山麓に移住し、まんまと夏山登山にもはまる。アクティビティとしての登山の楽しみとともに、ライフスタイルとしての「山暮らし」についても発信していきます。

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