子どもの「こわい」が「楽しい」に変わった!親子登山での困ったをパパ登山講師が解決

2021/06/17 更新

子どもと一緒に山へ行きたい。でも、もしも想定外のことが起きたらどうしよう……と不安を持っているパパママは多いもの。そこで今回は、パパ登山講習会も開いている、山岳界の重鎮・近藤ガイドとともに実際に山デビューする親子に密着。親子登山のリアルな姿をお届けします!

アイキャッチ撮影:YAMA HACK編集部

想定外のことが起きたら不安……実際の親子登山ってどんな感じだろう

撮影:YAMA HACK編集部(今回登山デビューするのは……!?)
初めて子どもと一緒に山へ行くとなったら、いくら準備をしたとしても

「子どもが楽しんでくれるのか」
「安全面での不足はないか」

など、とても不安ですよね。

そこで今回は、「子どもと初めて山登りした時の事前計画と現実とのギャップ」 を知ってもらうために親子登山デビューのファミリーに密着。

パパ登山講習会を開催している近藤ガイドにレクチャーしてもらいながら、山へ登る様子を取材してきました。

実際に起きた、「困った時の解決策」や「良かったポイント」を紹介していきます。
ぜひ、子どもと一緒に登山デビューする時の参考にしてみてくださいね。

撮影:YAMA HACK編集部
<近藤 謙司さん プロフィール>
国際山岳ガイド連盟認定山岳ガイド・日本山岳ガイド協会の理事
高校から本格的な登山をはじめ、世界最高峰であるエベレスト(チョモランマ)を踏破。
一般の人もエベレストへ挑戦できるようにと、自身で株式会社アドベンチャーガイズを設立し、 多くの人を海外の名だたる山々へ案内。
高山だけでなく低山でのツアーや講習会も開催。登山の安全や魅力を普及させる活動もライフワークとしている。
著書に『ぼくは冒険案内人』『エベレスト、登れます。』など多数。

初めての親子登山、選んだ山とコースは?


参考:YAMAP(点線はいざという時の短縮コース※クリックすると拡大します)
今回の親子登山デビューに選んだのは、東京都の奥多摩に位置する御岳山。
滝やロックガーデンなど、アスレチック感覚で巡れる約3時間のコースで設定しました。
御岳山(標高929m)
日帰り
コースタイム:3時間6分
 
ルート概要
みたけさん駅(45分)→七代の滝(45分)→ロックガーデン(35分)→奥の院(24分)→長尾平展望台(15分)→御岳山山頂(22分)→みたけさん駅
参考:ヤマプラ
このコースを選んだポイントは……

・ケーブルカーがあり、アクセスしやすい
・いざという時に、短縮コースへ変更できる
・ロックガーデンや滝など、山頂以外に子どもが楽しめるポイントがたくさんある

という3つ。
点線はいざという時の短縮コース。それぞれの分岐地点で、

①子どもの状態(この先まだ歩ける体力やモチベーションがあるか)
②コースタイム(予定していた時間から大幅な遅れがないか)


をもとに、当日臨機応変にコースを変更するためのものです。

近藤さん
短縮コースは、どのくらい時間をカットできるのか、あらかじめ確認しておくといざという時も慌てずに対応できますよ。

親子登山デビューするのは?

今回協力してくれた、及川さん親子を簡単にご紹介。
及川パパ▶登山歴3年。テント泊登山からクライミング、雪山まで楽しむオールラウンダー。日本登山インストラクターズ協会(JMIA)にも参加し、知識や技術を学んでいる。

にいなちゃん▶登山経験なし。料理とゲームが好きなインドア派の小学2年生(取材当時)。

実は及川さん親子は、にいなちゃんが4歳の頃に高尾山にチャレンジしたことがあるんだそう。
しかし、ケーブルカー駅から10分ほど歩いた時点で「もう歩きたくない」と、リタイア。
それ以来、山に苦手意識を持っているようなのです。

それが取材終了時には、

及川パパ
山で、こんなに楽しんでいる姿が見られるなんて。涙


初めての親子登山で何が起こったのでしょうか?さっそく、みていきましょう!

行かないとわからなかった!計画と実際のギャップ

実際に親子で登山へいくと想定外のことがたくさん起こります。なかでも大きかったのが

・想定以上に時間がかかった

ということ。

コースタイムが約2時間遅れ!時間には余裕をもつべし

撮影:YAMA HACK編集部(一緒に歩くルートを確認!生まれて初めての地形図になんだかワクワク)
初めての登山ということで、コースタイムよりも30分〜1時間ほどの遅れを予想していましたが、実際は全行程5時間と約2時間も遅れてしまいました。

参考:YAMAP

奥の院へ進む分岐地点で、
①約1時間30分と想定以上の遅れ
②子どもに疲れが見えた
上記の2点より、奥の院と山頂へのコースをカット。

時間には相当の余裕を持って計画を立てるとともに、事前に短縮コースを設定しておき、臨機応変に行程を変えることが大切だと実感しました。

ただ、なぜこんなにも遅れてしまったのでしょうか。

遅れの1番の理由は、子どもが山道に慣れていないこと

撮影:YAMA HACK編集部(大人にとってはなんてことなくても、子どもにとっては険しいと感じることも)
大人との歩幅の違いももちろんありますが、そもそも慣れない山道の歩き方がわからず止まってしまったり、こわくて進めなかったりと計画以上に時間がかかってしまいました。

小石が転がっているだけの道でも、初めて山道を歩く子どもにとっては険しいと感じることも。ストックを用意したり、歩き方を教えてあげたりとサポートしてあげるのがポイントです。

でも具体的にどうしたらいいのか、難しいところ。そこで、子どもが安心して歩けるようになるためのテクニックを近藤ガイドに教えてもらいました。

パパ登山ガイドの魔法で「歩き方の不安」が解消!その方法って?

実際に歩いてみると、想像以上に子どもが歩きにくさを感じたり怖がったりする場所がたくさんありました。そんな、「山での歩行に対する不安」の解決策を近藤ガイドがレクチャー。

この方法を実践したおかげで、山を歩くのが格段と上手になりましたよ!
山道に慣れていないから、うまく歩けない
→ ◎足を置く場所や目線の位置など、歩き方を教えてあげる

岩場だけでなく、細い道や足場の不安定な場所がこわい
→ ◎親とロープで繋ぐ、または手を繋いだり斜面では下方に回り込む

傾斜のある山道でバランスが取れず、恐怖を感じる
→ ◎ストックを使って、体のバランスを取る

近藤ガイドのワンポイントアドバイスは必見です。

うまく歩けないのは、足の置き場所がわからないから

撮影:YAMA HACK編集部(実際にお手本を見せてあげると、子どもも理解しやすい)
日常生活では、ほとんどが舗装された道。自然な道を歩いたことがない子どもにとって、石が少しでも転がっている不整地は未知の世界です。初めのうちは、どこに足を置いて歩いたらいいのか戸惑い、なかなか前に進めませんでした。

▼近藤ガイドのワンポイントアドバイス
近藤さん
斜めのところには足を置かないで、たいらな場所を選んで歩きましょう。最初は足の置き場所を一緒に確認しながら進んであげるのもオススメ。

あとこわいと感じると内股になったり、下ばかり向いてしまったりと、バランスを崩しやすくなる。斜面対してまっすぐ足を置いて視線は歩く2〜3歩先を見る、歩行のクセも伝えてあげながらアドバイスしてあげるのが大切だね。

子どもが「安心できる」ロープつなぎ

撮影:YAMA HACK編集部(木の根っこに苦戦!ロープで繋いであげると安心した様子でした)
大人であればなんてことない木の根っこが続く登り。ところが子どもにとっては、不安定でこわい場所でした。下りとなれば、より恐怖心は大きくなってしまいます。

▼近藤ガイドのワンポイントアドバイス
近藤さん
子どもがこわいとすくんでしまう場所では、親とロープでつないであげると安心します。それに、万が一の時に助けることもできる。とくに、低学年くらいまでロープを使用するのもひとつの手ですね。

ほかにも手を繋いであげたり、下りでは斜面の下方に回り込んであげたりするのも効果的ですよ。


▼ロープの使用法はこちらの記事をチェック

「山道がこわくて歩けない」を解消するストック

撮影:YAMA HACK編集部(ストックを持つと、ルンルン気分に!笑)
登山道のほとんどは、急坂でないとしてもアップダウンはつきもの。子どもにとっては、傾斜のある道が続くこと自体、慣れないことで恐怖心を感じてしまいます。さらに、足元が不安定なことでより歩きにくさが倍増。

▼近藤ガイドのワンポイントアドバイス
近藤さん
不安定で歩きにくいと感じるのを、解消してくれるのがストック。1本持たせてあげるだけで、体のバランスが取りやすくなり上手に歩けるようになります。

それに、子どもって棒を持つと不思議と元気になるんだよね。笑

事前に知っておけば、当日対応できそうなポイントがたくさん!困った点だけでなく、実際に行って良かったと発見したこともありましたよ。

これは良かった◎最初はグループ登山がオススメ

撮影:YAMA HACK編集部(にいなちゃんが近藤ガイドと従兄弟のツーショットを撮影)
今回は及川さん親子のほかに、にいなちゃんの従兄弟(りんた君、登山経験のある小学3年生)にも参加してもらいました。これは、本当によかったポイント。

仲良しのお兄ちゃんが一緒だったから、記念撮影をしたりと山を歩くこと以外の遊びも楽しみながら進めました。また「歩くの大丈夫?」と聞いたところ、「りん君が歩いているんだから、にいなも歩かなきゃ」と最後まで頑張れたようなのです。

子どもは友だちの一生懸命な姿を見ると、お互いに頑張ろうって気持ちになるもの。仲良しグループでの登山など、子どもが自然と頑張りたいと思える環境を整えてあげるのもいいでしょう。

親子登山デビューは大成功!驚くほど成長した姿に感動

御岳山を頑張って歩き通した及川さん親子。初めての登山でどんなことを感じたのか、にいなちゃんと及川パパそれぞれに感想を聞いてみました。

撮影:YAMA HACK編集部(ランチは待望のカップラーメン)
── 初めての山登りはどうでしたか?

にいなちゃん
こんなに歩いたの初めてだし、すっごく疲れた。だけど、あんなに美味しいカップラーメン初めて食べた!


── また山に登りたい?

にいなちゃん
うーん……すっごく小さな山だったら登ってもいいかなぁ。


撮影:YAMA HACK編集部(天狗岩にチャレンジするにいなちゃん)
── 娘さんと山に登ってみてどうでしたか?

及川パパ
近藤ガイドが娘を連れて登った天狗岩が印象的でした。娘はとても怖がりなので、1歩も進めないんじゃないかと思ったんですが……。恐れる様子もなく、チャレンジしはじめた娘の姿に胸を打たれましたね。

これまではできなかったことができるようになっていたことのうれしさや娘の成長を感じました

それと、娘のザックがすごく重たかったことに気がつかず、もっと中身を軽くしてあげればよかったと反省もしています。


実は、登山から随分と日にちが経ってから「滝がすごかったんだよ!」などとママに山での出来事を話していると、にいなちゃんママから伺いました。

山に登ったことは、子どもの中に確かな自信や経験として残っているのだなと感じます。これからも、パパと山を楽しんでくれたらいいですね。

ムリせず子どもに楽しんでもらうところから!

撮影:YAMA HACK編集部(目標だった「七代の滝」での記念撮影)
親子で山へ登って1番嬉しいことは、「楽しかった〜」といってもらえることではないでしょうか。山頂に行かなかったとしても、普段とは違う景色を見たり、お昼ごはんを「山で食べるご飯っておいしね」といってもらえると、一緒に頑張ってよかった!と思いますよね。

何より、子ども自身が「頑張った!」と実感できることは、親にとって最高に幸せなこと。ぜひ、お子さんと一緒に山を楽しんでみてくださいね。

近藤ガイドへ「親子登山」についてのインタビュー記事はこちら


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高橋 典子

ハイクとミニマルキャンプをこよなく愛するフリーライター。次はどこに行こうか、9歳の息子と地図を眺めるのが日課。最近は、山岳気象予報に興味津々!

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