間違えやすいポイントは決まってる!?道迷いを防止するヤマレコアプリ「みんなの足跡」の活用法とは

2021/08/11 更新

GPSアプリが普及しても後を絶たないのが「道迷い」による遭難。けれども地図読みスキルが身に付いてくると、等高線から地形を読み取ることで道を間違えやすいポイントがある程度絞り込めてきます。またGPSアプリ・ヤマレコの機能を活用することで、過去に道を間違えた人の軌跡も把握可能。今回は道迷い防止のためにできる備えをご紹介します。


地図の出典:ヤマレコ

山岳遭難の原因トップは、「道迷い」

態様別山岳遭難者
作成:YAMA HACK編集部(参考:令和2年夏期における山岳遭難の概況
山岳遭難の原因はさまざまですが、長年その第1位となっているのが「道迷い」。つまり登山道を間違えてしまったことで、発生しています。GPSアプリで現在地把握が容易になってからも、その割合は変わっていません。

事前に間違いやすいポイントがわかっていれば気をつけられますが、地図を見ただけではなかなか判断ができない……

そんな人にオススメなのが、ヤマレコアプリ「みんなの足跡」機能です。

これは、ユーザーが実際に歩いた軌跡を地図上に示したデータのこと。これを活用すれば、ほかの人が「道を間違えたポイント」も事前に把握することが可能。現場でも意識的に気をつけられるようになるので、道迷いの防止につながりますね。

登場人物
撮影:washio daisuke、いらすとの出典:いらすとや
これまでの連載で、地形図の読み方やコンパスの使い方を学んだ登山者Aさん。

▼今までの地図読みやコンパスの使い方のまとめを見たい人はこちらをチェック

すっかり登山にハマっていますが、どうやら先日山で道に迷ってしまったとのこと。

今回は、Aさんと一緒に「なぜ道を間違えてしまったのか」を振り返っていきましょう。さらに道間違いをしないための「みんなの足跡」機能の活用法について紹介していきます。

実録|私はここで道を間違えた

青が正規ルート・Aさんは黄色の看板を勘違い・赤の方向に進んでしまった
撮影:washio daisuke(青が正規ルート。Aさんは黄色の看板を勘違いし、赤の方向に進んでしまった)
“登山者Aさん”
この間、南高尾山稜を縦走していて、危うく道に迷ってしまうところだったんですよ。
途中で間違えたことに気がついて引き返したので、無事元のルートに復帰できたんですが。

“ガイド鷲尾”
えらい!間違いに気づく=迷わない、が基本だからね。
なぜ迷ってしまったのかを明らかにして、同じようなミスを繰り返さないようにするのも大切。

どんな状況だったか詳しく教えてくれるかな。

Aさんが迷い込んだ場所
撮影:washio daisuke(Aさんが迷い込んだ場所)
“登山者Aさん”
①最初は踏み跡も明瞭で、普通の登山道みたいな感覚だったんです。
②こんなところに鉄塔はないはずだけど……と少しおかしいと思ったんです。
③ピンクのテープもあるから大丈夫かなと思って進んで行ったら。
④どんどんヤブが深くなり不安に。地図を確認すると別の方向に進んでいたので、引き返したんです。

“ガイド鷲尾”
なるほど。今回は、

・分岐で地図を確認しなかったこと
・テープや道を見て、登山道と判断したこと


が間違えてしまった要因といえそうだね。

テープだけで登山道と判断するべからず!

登山道周辺でもよく見かける木に巻き付けられたテープ
撮影:washio daisuke(登山道周辺でもよく見かける木に巻き付けられたテープ)
ピンクのテープは方向の目安とされることも多いですが、これだけで登山道と判断するのはNG。

なかには、林業関係者の方や送電線の鉄塔を点検する方などが目印としてつけたものもあります。これだけを信用すると、ルートから外れてしまう危険が。

“登山者Aさん”
山の中を人が通った痕跡であることは確かだけど、それが登山目的の人だとは限らないという訳ですね。

“ガイド鷲尾”
そうだね。少しでも迷ったら、すぐに地図とコンパスでルート確認するクセをつけておくといいよ。

さらにいうと、今回の道間違いは事前の下調べによって防げたかもしれない。

事前チェックで間違え防止!迷いやすいポイントを把握

自分のGPSログをふり返ってみよう
地図の出典:ヤマレコ(自分のGPSログをふり返ってみよう)
もし道を間違えてしまったら、次に活かすためにも、どこでどう間違えたかのふり返りも大切。繰り返すことで自分の間違えやすい視点を把握できるようになります。

そこで使えるのが、GPSアプリのログ。自分が歩いた軌跡とともに振り返りが可能です。
多くの登山者の歩いた軌跡を見られるヤマレコの「みんなの足跡」を使えば、その山域の道に迷いやすいポイントがわかるのでオススメ。

この機能は、ヤマレコの計画ルート作成機能の「らくルート」のページから見られます。

それではAさんと一緒に、このヤマレコのGPSログを見ながら、間違いルートについて振り返ってみましょう。

ほかにも同じ間違いをしている人が!?

ルートの振り返り
地図の出典:ヤマレコ(青が正規ルート、赤がAさんが迷い込んだ場所)
“ガイド鷲尾”
では地形図を見ながら、間違えたポイントを当てはめてみよう。

“登山者Aさん”
ここ(赤矢印で示した場所)ですね。
すぐ手前で送電線の下を潜ってきたので、また鉄塔が現れた時にちょっとおかしいと思ったんです。

“ガイド鷲尾”
ルートが曲がる場所で、支尾根に入っちゃった典型的な道間違いのパターンだね。

左下の緑色で囲ったアイコンをクリックして、登山(夏道)のラジオボタンを選択してごらん。


地図の出典:ヤマレコ(橙色の軌跡がヤマレコ独自の「みんなの足跡」)
“登山者Aさん”
おっ!画面が一気にオレンジ色に染まりましたよ。

“ガイド鷲尾”
これがヤマレコの「みんなの足跡」。
ユーザーの軌跡が、オレンジ色の斑点。多くの人が通っているルートほどオレンジの斑点が太く、少ないほど細くなっているんだ。

Aさんが間違えた場所(赤丸部分)を見てみると……

“登山者Aさん”
オレンジ色が帯状になっていますね。
しかも途中で途切れている。

“ガイド鷲尾”
途切れているのは、引き返したということだから、Aさん以外にも間違えた人がいるようだね。
つまりここは間違えやすいポイントであることがわかる。

“登山者Aさん”
たしかに!事前に知っていれば、意識的に方向を確認したり、チェックポイントとして地図に記載しておいたりと注意できたかもしれない。

ほかにも、登山道以外にけっこうたくさんオレンジ色の帯がありますね。


地図の出典:ヤマレコ(橙色の軌跡がヤマレコ独自の「みんなの足跡」)
“ガイド鷲尾”
足跡が途切れず続いているのは、きちんと踏破している記録。
青で囲った部分なんかは、いわゆるバリエーションルートを歩いた人の足跡だね。

ただし登山道以外で「みんなの足跡」があっても、誰でも歩ける訳ではない。ルートファインディングに熟達した登山者の足跡の可能性もある。

「誰かが歩いていたから自分も歩ける」と安易に足を踏み入れないように注意しよう。

「みんなの足跡」からわかった!間違えやすいのはこんな場所

こういう場所では道間違いはまず起こりません
撮影:washio daisuke(一本道だと、道間違いは起こりづらい)
まっすぐ続く登山道であれば、道を間違える人は少ないですよね。では、どんな場所で道間違いが起こりやすいのでしょうか。

間違えやすいポイントとともに、「みんなの足跡」に記録された登山者の軌跡を見てみましょう。

道間違いが起こりやすいポイント|尾根・稜線編

北アルプス・五竜岳の尾根を赤でなぞってみました
撮影:washio daisuke(北アルプス・五竜岳の尾根を赤でなぞってみました)
“ガイド鷲尾”
尾根は標高の高い方から低い方へ分岐するという法則がある。
だから尾根の下山時や稜線を縦走している時は、ルートとは違った支尾根に進んでしまう道間違いが多いんだ。

“登山者Aさん”
今回の私の間違いもそうですね。

“ガイド鷲尾”
実際、ほかエリアも見てみると、

支尾根に迷い込んで引き返している「みんなの足跡」
地図の出典:ヤマレコ(支尾根に迷い込んで引き返している「みんなの足跡」)
“ガイド鷲尾”
ここでも分岐で誤った方向へ進んでしまっている人がいるね。

大垂水峠から稜線を南下し、本来のルートである主稜線が左に曲がるんだけど、地形が明瞭な支尾根に直進してしまっている。

道間違いが起こりやすいポイント|沢(谷)編

北アルプス・五竜岳の沢を青でなぞってみました
撮影:washio daisuke(北アルプス・五竜岳の沢を青でなぞってみました)
“ガイド鷲尾”
尾根とは逆で、沢は標高の低い方から高い方に枝分かれするのが法則。
沢沿いを登っている時は、ルートとは違った沢や谷に進まないように、注意が必要。

“登山者Aさん”
沢沿いを歩く登山道もあるから、意識しておかないとですね。

ルートではない沢に迷い込んで引き返している「みんなの足跡」
地図の出典:ヤマレコ(ルートではない沢に迷い込んで引き返している「みんなの足跡」)
“ガイド鷲尾”
ここは、奥多摩駅から本仁田に向かうルート。
はじめは安寺沢沿いを歩くんだけど、途中から支流沿いの斜面に入って稜線をめざす。

ただ分岐部分で、安寺沢本流を直進してしまっている人がいるね。

“登山者Aさん”
登山前に地図を見ながらルートの曲がり角を重点的にチェックして「みんなの足跡」がこうやって途切れている場所がないか確認しておけば、道間違いを防止できますね。

“ガイド鷲尾”
そう!どんな場所で道間違いが起こっているのかを、あらかじめ把握することが大切。これは、道迷い防止にとても効果的だよ!

冬道やクライミングコースにも活用できる!

南高尾山稜では、ルートの曲がり角で支尾根に立ち入らないようロープが張られている場所も
撮影:washio daisuke(南高尾山稜では、ルートの曲がり角で支尾根に立ち入らないようロープが張られている場所も)
自分の山行の振り返りをしたり、登山前に危険場所の把握に使ったりとあらゆるシーンで登山者を支えてくれる「みんんなの足跡」機能。使いこなせば使いこなすほど便利なこのシステムの裏技をご紹介します。

それが、アクティビティや季節を選択できること。

クライミングやスキーのアクティビティを目的とした人の記録、雪山と夏山それぞれの記録など各レイヤーを選択できることにより、自分の山行に合った記録を参考にできます。

“ガイド鷲尾”
たとえば、下の画像は群馬県の谷川岳。
夏山と雪山それぞれ同じコースを見てみましょう。


▼登山道(夏道)を選択した時の画像
谷川岳 夏山▼雪山(冬道)を選択した時の画像
地図の出典:ヤマレコ(上:登山道(夏道)レイヤー/下:雪山(冬道)レイヤー)
“登山者Aさん”
道に迷っている人の足跡の位置が、若干異なっていますね。

“ガイド鷲尾”
夏と冬で気をつけるべきポイントも異なるから、季節に応じてレイヤーを選択するのがオススメ。

ほかにもクライミングやスキーが選択できるから、それぞれのアクティビティによって使い分けよう。

間違いやすいポイントを把握して、道迷いを防止しよう

別角度から見たAさんが道間違いを起こした場所
撮影:washio daisuke(別角度から見たAさんが道間違いを起こした場所)
「間違えた……」という記載のある登山記録を見かけたら、ぜひルート地図を詳しく見ながら、どこでルートを外れたかを確認してみてください。

たくさんのユーザーがさまざまな山を歩いて蓄積された登山記録。誰かが間違えた道は、迷いやすいポイントがあったということです。それぞれの記録を貴重な学びとして、自分の山行に活かしましょう。

もちろん、GPSアプリに頼りきりになるのはNG。とくに登山中は、ルート全体を俯瞰的に把握できる紙の地形図も持参してください。双方の利点をうまく活かしながら、安全な登山を楽しんでくださいね。

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washio daisuke

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。 登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。 得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。 山と人をつなぐ架け橋をめざしています。

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