山岳遭難の原因トップは、「道迷い」
山岳遭難の原因はさまざまですが、長年その第1位となっているのが「道迷い」。つまり登山道を間違えてしまったことで、発生しています。GPSアプリで現在地把握が容易になってからも、その割合は変わっていません。
事前に間違いやすいポイントがわかっていれば気をつけられますが、地図を見ただけではなかなか判断ができない……
そんな人にオススメなのが、ヤマレコアプリ「みんなの足跡」機能です。
これは、ユーザーが実際に歩いた軌跡を地図上に示したデータのこと。これを活用すれば、ほかの人が「道を間違えたポイント」も事前に把握することが可能。現場でも意識的に気をつけられるようになるので、道迷いの防止につながりますね。
これまでの連載で、地形図の読み方やコンパスの使い方を学んだ登山者Aさん。
▼今までの地図読みやコンパスの使い方のまとめを見たい人はこちらをチェック
すっかり登山にハマっていますが、どうやら先日山で道に迷ってしまったとのこと。
今回は、Aさんと一緒に「なぜ道を間違えてしまったのか」を振り返っていきましょう。さらに道間違いをしないための「みんなの足跡」機能の活用法について紹介していきます。
実録|私はここで道を間違えた
途中で間違えたことに気がついて引き返したので、無事元のルートに復帰できたんですが。
なぜ迷ってしまったのかを明らかにして、同じようなミスを繰り返さないようにするのも大切。
どんな状況だったか詳しく教えてくれるかな。

②こんなところに鉄塔はないはずだけど……と少しおかしいと思ったんです。
③ピンクのテープもあるから大丈夫かなと思って進んで行ったら。
④どんどんヤブが深くなり不安に。地図を確認すると別の方向に進んでいたので、引き返したんです。
・分岐で地図を確認しなかったこと
・テープや道を見て、登山道と判断したこと
が間違えてしまった要因といえそうだね。
テープだけで登山道と判断するべからず!
ピンクのテープは方向の目安とされることも多いですが、これだけで登山道と判断するのはNG。
なかには、林業関係者の方や送電線の鉄塔を点検する方などが目印としてつけたものもあります。これだけを信用すると、ルートから外れてしまう危険が。
さらにいうと、今回の道間違いは事前の下調べによって防げたかもしれない。
事前チェックで間違え防止!迷いやすいポイントを把握
もし道を間違えてしまったら、次に活かすためにも、どこでどう間違えたかのふり返りも大切。繰り返すことで自分の間違えやすい視点を把握できるようになります。
そこで使えるのが、GPSアプリのログ。自分が歩いた軌跡とともに振り返りが可能です。
多くの登山者の歩いた軌跡を見られるヤマレコの「みんなの足跡」を使えば、その山域の道に迷いやすいポイントがわかるのでオススメ。
この機能は、ヤマレコの計画ルート作成機能の「らくルート」のページから見られます。
それではAさんと一緒に、このヤマレコのGPSログを見ながら、間違いルートについて振り返ってみましょう。
ほかにも同じ間違いをしている人が!?
すぐ手前で送電線の下を潜ってきたので、また鉄塔が現れた時にちょっとおかしいと思ったんです。
左下の緑色で囲ったアイコンをクリックして、登山(夏道)のラジオボタンを選択してごらん。
ユーザーの軌跡が、オレンジ色の斑点。多くの人が通っているルートほどオレンジの斑点が太く、少ないほど細くなっているんだ。
Aさんが間違えた場所(赤丸部分)を見てみると……
しかも途中で途切れている。
つまりここは間違えやすいポイントであることがわかる。
ほかにも、登山道以外にけっこうたくさんオレンジ色の帯がありますね。
青で囲った部分なんかは、いわゆるバリエーションルートを歩いた人の足跡だね。
ただし登山道以外で「みんなの足跡」があっても、誰でも歩ける訳ではない。ルートファインディングに熟達した登山者の足跡の可能性もある。
「誰かが歩いていたから自分も歩ける」と安易に足を踏み入れないように注意しよう。
「みんなの足跡」からわかった!間違えやすいのはこんな場所
まっすぐ続く登山道であれば、道を間違える人は少ないですよね。では、どんな場所で道間違いが起こりやすいのでしょうか。
間違えやすいポイントとともに、「みんなの足跡」に記録された登山者の軌跡を見てみましょう。