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快眠実践法

安全登山のカギは睡眠にアリ!事前対策&山行中にも取り入れたい”快眠実践法”

山に出かける際、いつもより早起きをして登山をおこなうケースは多いのではないでしょうか。行き先によっては前泊したり、場合によっては未明・前夜から家を出たり。睡眠不足の状態で活動することも出てくると思います。それなのに、山小屋やテントでなかなか寝付けない、ぐっすり眠れない、疲れが抜けない・・・そんな経験はないでしょうか?今回は、睡眠健康指導士として睡眠講座もおこなう筆者が、登山時に気をつけたい睡眠のコツをご紹介します。

目次

アイキャッチ画像撮影:RIE

登山時の睡眠不足問題

日の出

撮影:RIE

「日の出を見たい!」「明るいうちに活動したい!」
登山では、いつもの生活リズムと違う形で活動することが多くなりがちですよね。
そんな中で抱える「睡眠」の問題といえば…

・早朝出発で寝不足
・車中泊でぐっすり眠れない
・前夜に遅くまで準備をしていて就寝時間が遅くなってしまう
・翌朝早いからと、いつもより早めに布団に入ったのに、寝付けない

など、普段と違う活動リズムによる寝不足問題があります。
また他にも、

・寒い、かたい、隣が気になる、など、いつもと違う睡眠環境で眠れない
・疲れすぎて、体が興奮状態でうまく眠れない

など・・・いつもと違う環境によって、「眠りたいのに、眠れない!」そんな悩みを抱えている方も多いようです。

高地では、睡眠の質が下がる

標高の高い場所

出典:PIXTA

標高の高い場所では酸素濃度が低く、睡眠の質が下がる

1週間程度高地に滞在すれば、低酸素に体が順応することがわかっていますが、ほとんどの場合、登山日数はそれより短いと思います。体が事前に順応するまでの日数を考えると、山で普段通り熟睡するのはなかなか至難のワザ。

そのため、たとえ寝不足でも…少しくらい疲れていても…ついつい頑張ってしまうという人が多いのではないでしょうか。
しかし、安全面・事故やケガ防止の観点からみて、睡眠不足の登山はリスクが高くなります。

眠気だけじゃない!なぜ眠らないとダメ?

そもそも睡眠の役割は 『脳と体の疲労回復』です。
特に、脳の疲労を回復させるのは睡眠だけ。

自己発生時間状況

資料引用:『山岳遭難の構図』青山千彰著(東京新聞出版局)

上のグラフを見ると、日帰り登山の事故のピークは「午後2時」
この時間は、実は体内時計のリズム的もに眠気が起きやすい時間なのです。
そして眠くなる最大の原因は「睡眠不足」。結果的に睡眠不足は、おのずと事故に繋がりやすくなります。

また、自動車の運転の事故率は、7時間以上の睡眠をとっている人と比べて、それ以下の方が事故率が上がるというデータもあります。

6~7時間睡眠:1.3倍
5~6時間の睡眠:1.9倍
4~5時間:4.3倍
4時間未満:11.5倍

これは睡眠不足による集中力・判断力の低下が招いた事故といえます。
眠たい時は、体に力が入らない、体の反応が遅いなど、ケガのリスクも上がることに。

仮に眠気を感じていなくても、睡眠不足の状態は、いつもより判断ミスやふらつきが起きやすくなっていことを頭に入れて活動しましょう。

 快眠で安全に登山を!事前対策編

眠っている人

出典:PIXTA

では、具体的にどのような対策をおこなえばよいのでしょうか。
ここからは、上級睡眠健康指導士としても活動する筆者が、登山者向けの睡眠のコツをご紹介します。

三輪田理恵(スリーピングマスター)
日本睡眠学会正会員/上級睡眠健康指導士/全米NLP協会認定 NLPトレーナー
ライターとしてさまざまな分野の記事を執筆しながら、睡眠健康指導士としても活動。「今日からできる快眠実践法」を企業、行政、学校等で伝える。
<趣味>登山、トレイルランニング、トライアスロン

まずは、出発前に行いたい対策です。

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