実は地形を知る大ヒント?山の地名に隠された秘密
●●ノ頭、▲▲乗越など、山には独特の地名が付けられている場所がありますよね。実はこれらの地名の多くは、そこの地形を指していることが多いのです。
ということは等高線の読み方に慣れていなくても、地名を見ただけで地形がわかる場所もあるってことですか?
では、山特有の地名で地形がわかるものを幾つか見ていこう。
ピークを意味する地名
*頭:中白根沢ノ頭(南アルプス)、赤岩ノ頭(八ヶ岳)、王ヶ頭(美ヶ原)など
*森:堂ヶ森(石鎚山系)、月山森(鳥海山)、嶮岨森(南八幡平)など
*丸:檜洞丸、畔ヶ丸(丹沢山塊)、大蔵高丸、ハマイバ丸(大菩薩連嶺)など
*塚:天狗塚(剣山地)、二ツ塚(富士山)、米塚(阿蘇山)など
*ドッケ・ドッキョウ:高ドッケ、三ツドッケ(奥多摩)、高ドッキョウ(興津川流域)など
「塚」は富士山や阿蘇山など大きな火山の“寄生火山”に多く見られるよ。
名前の由来を調べてみるのも、興味深いからおすすめ。
コルを意味する地名
*乗越:スゴ乗越(北アルプス)、乗越浄土(中央アルプス)、中ノ川乗越(南アルプス)など
*窓:大窓、小窓、三ノ窓(すべて北アルプス・剱岳)
*キレット:不帰キレット(天狗ノ頭と不帰ノ嶮の間のコル)、キレット(八ヶ岳・赤岳と権現岳の間のコル)
*タルミ:三条ダルミ(奥多摩・雲取山と飛龍山の間のコル)、大弛峠(奥秩父・国師ヶ岳と朝日岳の間のコル)
例えば東北なら奥羽山脈を挟んで東西に、西日本なら中国山地を挟んで南北に、多くの県境(いにしえの国境)は山で分断されている。
山を越えて隣国に行く時、ピークよりもコルを通過する方が容易だったことから、多くの峠がコルに位置しているんだよ。
地図のことを知れば親近感も湧いてくる!
今まで苦手意識を持っていた「地図読み」ですが、登山における地形図の重要性や地形を把握するコツを知ることで、少しは親近感が湧いてきましたか?
ようこそ!楽しい地図読みの世界へ。次回は、縮尺の違う地図の使い分けやコンパスを使うための基礎知識についてお伝えします。
▼GPSアプリも紙の地形図も役割が違うのでどちらも大切
▼基本の地形は「山頂」「コル」「尾根」「谷(沢)」「斜面」の5つ
▼山の地名は地形を表している
■「地図の使い分け」や「磁北線の引き方」がわかる後編はこちら!