テント泊登山はじめの一歩|実践編

さあ、まずは何から始めればいいのでしょうか?
テント場での行動を時系列でチェック!

テント場に着いてから次の日に出発するまでの行動を、時間を追って見ていきましょう。テント泊のイメージを膨らませながら、注意点も確認してみてくださいね。
1.テント場に到着

2.受付
テント場が混雑しているときなど、まずはテントを張って場所を確保したくなりますが、それはルール違反。とりあえず荷物を降ろしたら、何よりも先にお財布を持って管理小屋へ行き、受付を行ないます。
その際に、トイレや水場の場所や利用ルールなど、必要な情報を確認しておきましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
新型コロナウイルス感染症対策のため、除菌グッズで手指を消毒し、 マスクを忘れずに着用しましょう。
今は多くのテント場で事前予約が必要ですが、可能なら予約表をプリントアウトして必要事項を記入し、提出するだけの状態にして持って行くのがおすすめ。受付の時間を短縮でき、人との接触を減らすことができます。
新型コロナウイルス感染症対策のため、除菌グッズで手指を消毒し、
今は多くのテント場で事前予約が必要ですが、可能なら予約表をプリントアウトして必要事項を記入し、提出するだけの状態にして持って行くのがおすすめ。受付の時間を短縮でき、人との接触を減らすことができます。
3.テントを張る場所を決める

あらかじめ区画が決められているところもありますが、到着が遅くなると、条件のよいところが埋まっているどころか、場合によっては張る場所がないなどということにもなりかねません。快適に過ごしたいなら、できるだけ早く到着することが重要です。
4.テントを張る
テントの張り方は、この時点ですでに習得しているはず。しかし、場所が変われば事情も変わります。練習よりもスムーズに張れるなどということはまずないと考えて、余裕を持った行動をすることが必要です。
忘れ物などがないのは大前提ですが、ペグが打てない、平坦な場所が見つからないなどの場合にも、どのように対処するかをあらかじめ学習しておきましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
テントの設営の妨げになるからと、木の枝を折ったり、水はけをよくするために地面に溝を掘ったりするのは絶対にNG。
テント場やっていいのは、地面の石を動かすことだけ。自然や地形に手を加えることは、一切行なってはいけません。
テントの設営の妨げになるからと、木の枝を折ったり、水はけをよくするために地面に溝を掘ったりするのは絶対にNG。
テント場やっていいのは、地面の石を動かすことだけ。自然や地形に手を加えることは、一切行なってはいけません。
5.水を汲む

行動中に使う水筒やハイドレーションをいっぱいにし、それ以外にも調理などで使う水を汲むためには、空のウォーターバッグがあると便利。サブバッグがあれば、遠い水場での水汲みも楽にできます。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
水汲みのタイミングで、必ずやってほしいのが水を飲むこと。テント場に着いて歩くのをやめたとたん、水分補給に意識が及ばず、実際は水分が不足しているのに、気づかないまま就寝して、体調不良を起こすことがあります。
「まずはビール!」といきたいところですが、その前にしっかりと水分補給することを忘れずに。
水汲みのタイミングで、必ずやってほしいのが水を飲むこと。テント場に着いて歩くのをやめたとたん、水分補給に意識が及ばず、実際は水分が不足しているのに、気づかないまま就寝して、体調不良を起こすことがあります。
「まずはビール!」といきたいところですが、その前にしっかりと水分補給することを忘れずに。
6.テントの中を整える

自分が使いやすいことが第一ですが、“整理整頓”が快適なテント生活の基本。押さえておきたいポイントをいくつがあげておきます。
また、テント内で動くときは、コッヘルやガスなどの硬いものを落としたり、硬いものの上から圧力をかけたりしないように注意。床面の生地を傷めることになります。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
脱いだ靴を夜も前室に置いたままにする人がいますが、就寝中は前室に置かず、軽く土を落としたらスタッフバッグなどに入れて、テントの中に入れましょう。
前室に置いておくと雨に濡れるばかりでなく、靴の水分が夜の間に冷えて、次の朝に不快な思いをすることがあります。

前室に置いておくと雨に濡れるばかりでなく、靴の水分が夜の間に冷えて、次の朝に不快な思いをすることがあります。
7.食事の準備をする

基本的にテント内で火器は使えませんので、炊飯も外で行ないます。そのため、明るいうちに済ませることが重要なのです。
火の取り扱いには充分注意しましょう。テントは火に弱く、燃えて溶けたものが体に触れると非常に大きなやけどの原因になります。悪天候時には、小屋の自炊場を使うことができます。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
ゴミはすべて、どんな小さなものも残さず持ち帰ります。そのためにも、インスタント食品のパッケージや小分け袋をあらかじめ外しておくなど、できるだけゴミになるものを減らすことも大切です。

8.食事の片づけをする

山の食事は、食べきれる量を作り、作ったものは食べきることが大切。ラーメンや鍋の残りを山に捨てるなどもってのほか。麺類のゆで汁を捨てるのも絶対にNG。スープやみそ汁にして飲み干しましょう。
また、近年熊などの野生動物による被害も増加していますので、食品の管理には神経を使う必要があります。食べ物やゴミを出しっぱなしにしないのはもちろん、匂いの出にくいファスナー付きの保存袋やコンテナ―タイプの容器に入れるなどして、動物に食べ物があることを気づかせないようにすることが重要です。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
朝は時間が限られているので、朝食の準備もできるだけ前日の夜のうちにしておきましょう。鍋の残りを雑炊にするなど夕飯のメニューを再利用すると、時間も節約でき、ゴミ処理も楽になります。
朝は時間が限られているので、朝食の準備もできるだけ前日の夜のうちにしておきましょう。鍋の残りを雑炊にするなど夕飯のメニューを再利用すると、時間も節約でき、ゴミ処理も楽になります。
9.就寝の準備をする

山の歯磨きや洗面では、石鹸や歯磨き粉は使えません。日焼け止めやメイクを落とすには、ウェットシートなどを使い、磨いた後にゆすぐ必要のない歯磨き粉を使うなどして、「足跡以外何も残さない」という山の鉄則を守りましょう!
テントの外に、食べものや濡れてはいけないものが残っていないかを確認するのも忘れずに。夜間の行動時に、他のテントの張り綱に足をひっかけたり、自分のテントを見失ったりしないようにしましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
寝る前に必ず忘れずにやっておきたいことで、特に大切な2点をご紹介します。
ひとつめは、フライシートのテンションを張りなおすこと。フライシートがたるんでインナーテントに触れることで発生する結露を軽減することができます。しっかり張ったつもりでも、風や湿気で結構たるんでいるもの。、このひと手間で、安眠の度合いが大きく違います。
もうひとつが、テントの入り口のファスナーを、真上にしておくこと。常に同じ場所にあるので迷うことがないだけでなく、開閉時にムダなテンションがかかりにくいので、強引に引き下ろしたりしてファスナーが故障するのを未然に防ぐ事ができます。
また、野生動物に襲われたり、テントが倒れたりといったアクシデントがあったときに、すぐに対応するためにも、すばやく開閉できることはとても重要。テント内の移動もスムーズにでて、飲み物をこぼしてやけどすることなども防げます。
寝る前に必ず忘れずにやっておきたいことで、特に大切な2点をご紹介します。

もうひとつが、テントの入り口のファスナーを、真上にしておくこと。常に同じ場所にあるので迷うことがないだけでなく、開閉時にムダなテンションがかかりにくいので、強引に引き下ろしたりしてファスナーが故障するのを未然に防ぐ事ができます。
また、野生動物に襲われたり、テントが倒れたりといったアクシデントがあったときに、すぐに対応するためにも、すばやく開閉できることはとても重要。テント内の移動もスムーズにでて、飲み物をこぼしてやけどすることなども防げます。
10.就寝

慣れるまでは、雨や風、雷などの悪天候や、動物の鳴き声や近くを動く気配などで、眠れないことがあるかもしれません。けれどもそれも、テント泊の醍醐味。あまりにひどい天候に見舞われた際は、山小屋に避難の相談をすることも検討しましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
1日着ていたものを着たままだと、汗などで冷えて眠れないことがあるので、乾いた上下とソックスに着替え、行動着を乾かして寝るのも安眠のコツ。
寒くて寝られないときは、防寒着やレインウェアなど持っている衣類をすべて着て、荷物をすべて出したバックパックにシュラフごと足を突っ込みましょう。
1日着ていたものを着たままだと、汗などで冷えて眠れないことがあるので、乾いた上下とソックスに着替え、行動着を乾かして寝るのも安眠のコツ。
寒くて寝られないときは、防寒着やレインウェアなど持っている衣類をすべて着て、荷物をすべて出したバックパックにシュラフごと足を突っ込みましょう。
11.撤収

荷造りができたら、テントの張ってあった場所を元の状態に戻しましょう。ゴミや忘れ物がないか、確認したら出発です。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
テントを畳む前に、地面に逆さに置いて底を乾かすのは、生地を傷めるのでやめましょう。テントは濡れたまま持ち帰り、家でしっかりメンテナンスするのが正解。濡れの激しいフライは本体と別に収納するといいでしょう。
またテントを逆さにして中のゴミを出している人がいますが、ポールに負担がかかって破損の原因になるので厳禁。伸ばしたままのポールを地面に置くと、誤って踏んで破損しかねないのですぐに折りたたみましょう。
テントを畳む前に、地面に逆さに置いて底を乾かすのは、生地を傷めるのでやめましょう。テントは濡れたまま持ち帰り、家でしっかりメンテナンスするのが正解。濡れの激しいフライは本体と別に収納するといいでしょう。
またテントを逆さにして中のゴミを出している人がいますが、ポールに負担がかかって破損の原因になるので厳禁。伸ばしたままのポールを地面に置くと、誤って踏んで破損しかねないのですぐに折りたたみましょう。
その他の注意点や覚えておきたいTIPSは?

一酸化炭素中毒に注意!
悪天候時にベンチレーションを完全に閉じているときなど、酸欠で体調を崩すことがあります。体調の変化に気を配り、換気不足には充分注意しましょう。意外と多い熱中症
昼間のうちにテントを張ってうっかり中で寝てしまい、テント内の温度が上がって熱中症になるケースがあります。テント場に着いたら必ず水分補給をする習慣を付けましょう。張ったままのテントには防犯対策を

ファスナーに目立つ鍵を付ける、見えるように名前を書くなど、簡単に持って行かれないような工夫をしておく必要があるかもしれません。
テント泊で大自然を身近に感じよう!

どれだけ学習しても最初は思い通りに行かないこともありますが、イメージトレーニングをすることで、必要なことや疑問点を明確にすることができます。
最初は時間に余裕を持って、季節や天候の条件の良い時を選んで、少しずつテント泊の経験を積んでいきましょう。小屋泊とは比べ物にならないくらいの山との一体感を得られるはずです。
教えてくれた人|登山ガイド・平川陽一郎さん
