⑭フクロツルタケ

夏から秋にマツ科、ブナ科樹木の林内地上に発生します。
傘は初めは鐘型で、最後には平らになるまで開きます。傘表面の色は白色のものから茶褐色のものまで。表面に淡褐色の小さなウロコ状のささくれが付いています。
- 食べた後の症状
手足がしびれ、嘔吐、下痢などの消化器系の症状が出て、やがて黒色尿、呼吸困難が起こります。さらに心臓・腎臓・肝臓障害、心臓衰弱、言語障害、顔面麻痺などの症状が起こり、重症の場合は死に至ります。 - 似ているキノコ
近縁種では、シロウロコツルタケ、アクイロウロコツルタケ
⑮ニセクロハツ

夏から秋にツブラジイ(ブナ科シイ属)などの常緑広葉樹林に発生します。
5~12cmの傘は灰色から黒褐色。成熟すると中央がくぼんだじょうご型になります。ひだは薄いクリーム色、柄は灰褐色から黒色で、固めです。
- 食べた後の症状
食後30分から数時間程度で嘔吐・下痢などの胃腸・消化器系の中毒症状が起こります。
その後18~24時間ほどで横紋筋溶解が原因となる全身筋肉痛や呼吸困難が起こり、心臓衰弱を経て死に至ります。
致死率の非常に高いキノコです。 - 似ているキノコ
クロハツ、クロハツモドキ
⑯ドクササコ

秋に広葉樹林や竹やぶの地上に発生します。
5~10cmの傘は橙褐色から黄褐色。初めは真ん中が凹んだお饅頭のような形で、やがて開いてじょうご形になります。柄は繊維質で、一部に中空のものもあります。
- 食べた後の症状
早い場合は食後6時間程度、遅い場合は1週間程経過してから、手足の先端が赤く腫れ、激痛を伴う、末端紅痛症を起こします。この症状は1ヶ月以上も続きます。(症状は、冷やすと軽減するそう。)
食べる量によりますが、発症までに時間がかかることが多いので、原因がなかなかわからず、昔は北陸・東北地方の風土病と思われていました。 - 似ているキノコ
カヤタケ、ナラタケ、ホテイシメジ、アカハツ、チチタケ
⑰シロタマゴテングタケ

夏から秋に広葉樹林や針葉樹林の地上に発生します。
傘は5~10cmの中型で、白い以外はタマゴテングタケとほぼ同じ外観です。ドクツルタケに似ていますが、柄にささくれがなく、比較的小型です。
- 食べた後の症状
タマゴテングタケ様の中毒症状を示す。
まず食後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こります。数日後から肝臓肥大、黄胆、胃や腸からの出血、その他内臓細胞破壊が起こり、死に至る場合があります。
致死率の高い毒成分を含んでいるので、注意が必要です。 - 似ているキノコ
シロテングタケ
⑱タマゴテングタケ

夏から秋、広葉樹林に生える「猛毒キノコ御三家」。傘はオリーブ色で、条線はありません。
- 食べた後の症状
まず食後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こります。その後一旦回復したかのように見えて、数日後に肝臓と腎臓等内臓の細胞が破壊され、劇症肝炎のような症状があり、高確率で死に至ります。
ヨーロッパでは毒キノコといえばこのキノコを指しますが、日本では分布域は限られているようです(あまりはっきりしていません)。 - 似ているキノコ
タマゴタケモドキ
⑲カエンタケ

色は真紅。根元から太さ1cm程度の茎が何本か伸びていて、大きいもので高さ10cm程度。
ちょうど人間の指のような形をしています。致死量わずか3g。非常に毒性の高いこのカエンタケは、触ることすら危険です。
- 食べた後・触った後の症状
汁に触っただけでも皮膚がただれます。摂食してしまうと、ひどい口内炎→呼吸困難・白血球減少→全身の皮膚の糜爛・多臓器不全と症状が進行し、回復しても小脳の萎縮による重大な後遺症が残ります。 - 似ているキノコ
ツノタケ、エゾシロボウスタケ、ベニナギナタタケ、冬虫夏草
⑳ドクツルタケ

夏から秋、広葉樹林・針葉樹林に生える「猛毒キノコ御三家」。英名「破壊の天使」。
その死亡率の高さから、日本でもシロドク・テッポウタケなどと呼ぶ地方もあります。真っ白で、ささくれがあるのが特徴です。
- 食べた後の症状
1本程度で死に至ります。6~24時間で腹痛・嘔吐・下痢が発症。治療すれば約1日で治まりますが、2段階目の症状がその約1週間後に現れ、肝・腎臓機能障害の症状(黄疸・下血など)が起きた時にはすでに手遅れということになります。
早期に胃洗浄など適切な対応がないと、確実に死に至ります。 - 似ているキノコ
シロオオハラタケ
知らないとコワイ!!毒キノコ

いかにも毒々しい見た目のものもありますが、シメジやシイタケにそっくりな毒キノコが多いのにはとても驚きました。今回ご紹介した20種類には死に至らない、と書いたものもありますが、正確には、あまり発生を確認できていないために、十分な検証がされていないだけの種類もあります。
また、20種以外にも数百種もの毒キノコ(中毒例のある種)が知られています。十分な知識を持った上で扱いましょう。
【記事監修】
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所フェロー 根田氏
東京農業大学 教授 橋本氏