【実践】雪山シーズン前に!プロに研ぎ方を教えてもらって「アイゼンのお手入れ」してみた

2019/11/01 更新

みなさんは、どんな風にアイゼンのメンテナンスをしていますか? 雪山に登る前に、爪の状態もしっかり確認しておきたいところ。とはいえ、「お手入れの仕方が分からない!」という人もいるのでは。そこで今回は、編集部員がメンテナンスのプロの元へ。研ぎ方や長く愛用するためのお手入れ方法を教えてもらい、自宅で実践してみました! 冬山シーズン前に要チェック。あなたのアイゼンは、大丈夫でしょうか!?


アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

そろそろ雪山シーズンに向けて冬支度

あっという間に終わってしまった夏山シーズン。名残惜しさはありつつも、美しい白銀の世界を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。

編集部員もその一人。冬に向けて雪山装備を整理しておこうかなとアイゼンを引っ張り出してみると…

アイゼン
撮影:YAMA HACK編集部
「ん?」

アイゼンのサビ
撮影:YAMA HACK編集部
「サビてるぅーーーーーーー!!!」

最後に使ったのは今年の5月。帰宅後にきちんと洗ってしっかり拭いたはずだったのに、この有り様です。考えてみれば、3年くらい使っていますが爪を研いだこともありません。

「このサビ、どうしたらいいの?」
「爪の研ぎ時って?」

そうだ、メンテナンスのプロに聞いてみよう!

Outdoor Shop ELK(アウトドアショップエルク)甲府
撮影:YAMA HACK編集部
「アイゼンはどんな風にメンテナンスするのが正解?」そんな疑問を解決するべく、山梨県甲府市にあるアウトドアショップ『エルク』へ。

『エルク』はただの登山用品店ではないんです。“エルクメンテナンス修理サービス”なるものがあり、エルクで購入したアイテムはもちろん、そうでなくても、テントや登山靴からウエア類まで、さまざまな山道具のメンテナンス修理が可能。「大切な道具たちをより一層長く、大切にお使いいただきたい」という想いから始めたのだそう。

そんな『エルク』で、アイゼンを長く愛用するためのメンテナンス方法を聞いてきました!

教えてくれたのは、エルク店長・中込さん

Outdoor Shop ELK(アウトドアショップエルク)中込様
撮影:YAMA HACK編集部
エルク店長 中込 真太郎さん
南アルプス市(旧白根町)出身。登山ガイドステージⅡ。幼いころから地元の山梨の山に親しみ、登山・クライミングなどあらゆる山の楽しみを知る。UTMFなどトレランの大会にも多く参加。最近は愛娘とのキャンプが楽しみなお父さん。

こんなときどうする? アイゼンのメンテナンス方法を教えて!

アイゼンのメンテナンス
撮影:YAMA HACK編集部
編集部 荻原
久々に出してみたらサビていて。今まで一度も爪を研いだこともないんですが、このアイゼンの状態はまずいですよね…?

中込さん
・・・

編集部 荻原
メンテナンスしていなくて怒られるかも…ドキドキ


Outdoor Shop ELK(アウトドアショップエルク)中込店長
撮影:YAMA HACK編集部
中込さん
このくらいなら、研がなくても問題ないですね。サビも取れますよ。

編集部 荻原
そうなんですか!? てっきり最悪の状態かと思いました。

このサビはどうしたらいい?

編集部 荻原
サビてしまったときは、どうしたらいいでしょうか? タオルで拭いても落ちなくて。

中込さん
多少のサビなら、また雪道を歩くと落ちると思いますが、気になるようなら研磨剤を使うときれいになりますよ。

基本は、アイゼンを使用して洗った後にしっかりと乾燥させて、サビないようにすること。

編集部 荻原
パーツも外して乾燥させた方がよかったのでしょうか?


アイゼン
撮影:YAMA HACK編集部
中込さん
各パーツを雑巾やタオル等でしっかり拭いて水気を取り、風通しのいい場所で乾燥させれば、分解までしなくてもいいと思います。

自分の命を守るギアとして愛着を抱くために、分解して構造を理解するというのも重要かもしれませんね。

編集部 荻原
あらかじめサビ止めスプレーやオイルを塗っておくのもアリですか?

中込さん
サビ止めも有効です。無溶剤のシリコンスプレータイプがおすすめですよ。金属用のサビ止めスプレーであれば、金属部分を重点的に。昨今のアイゼンは樹脂部分が多くありますが特に気にせず、かといってかけすぎにも注意です。

雪山シーズン前に毎回爪を研ぐべき?

編集部 荻原
爪を研ぐべきタイミングもイマイチ分からないんです。

中込さん
もともと尖っている爪の先が、こんな感じで削れて丸くなってしまっていたら研ぐ必要があります。


アイゼンの爪先が丸くなったアイゼンの爪
撮影:YAMA HACK編集部(赤線のように爪の先が丸くなってしまったら研ぎましょう)
中込さん
ただ、亀裂や金属疲労が見受けられる場合や、あまりにも刃先が丸くなっていて、アイゼンの本来の効力を発揮しないような状態なら、買い替えをおすすめします。

編集部 荻原
爪を研いだことないんですが、難しそうですよね。

中込さん
そんなことないですよ、実際に研いでみましょう!

【メンテナンスのプロ直伝】アイゼンの研ぎ方&コツ

アイゼンのメンテナンスグッズ
撮影:YAMA HACK編集部
準備するものは、ヤスリとグローブの2つだけ。いずれもホームセンターなどで手に入ります。

中込さん
ヤスリではなく、グラインダー(研削盤)を使う人もいるようですが、熱で金属が痛んでしまうのでおすすめしません。

小さいヤスリは、細かな部分を研ぐときにあると便利です。研いだ爪で自分の手を傷つけないように、グローブは厚手のものがいいですね。


分解したアイゼン
撮影:YAMA HACK編集部
まずは、アイゼンのパーツをすべて外します。

アイゼンの爪の研ぎ方
撮影:YAMA HACK編集部
アイゼンをしっかり固定して、1本ずつ爪を研ぎます。

中込さん
硬い台の角などに当てて固定すると研ぎやすいですよ。


撮影:YAMA HACK編集部
爪の両サイドを均等に研いで、先を尖らせていきます。
中込さん
ヤスリは爪の先に向かって一方向に動かし、基本的には押すときに研ぎます。


アイゼンの爪の研ぎ方
撮影:YAMA HACK編集部(爪の表面は削らない)
中込さん
面の部分を削ってしまうと爪が薄くなってしまうので、研ぐのは爪のサイドだけです。


アイゼンの爪の研ぎ方
撮影:YAMA HACK編集部
[左]が研いでいないアイゼン、[右]が中込さんに研いでもらったアイゼンです。写真では分かりにくいですが、研いだ爪は鋭さが復活。

編集部 荻原
これだけですか!?

中込さん
思っていたより簡単でしょ?

編集部 荻原
 ヤスリで削るだけなら、できそうな気がしてきました!

【実践】簡単3ステップ! アイゼンのメンテナンスしてみた

中込さんに教えてもらった方法で、実際にアイゼンをメンテナンスしてみたいと思います。



アイゼンのメンテナンスグッズ(サビ落としの研磨剤・サビ止め・ヤスリ)
撮影:YAMA HACK編集部([左]ヤスリ[中]シリコーンオイル[右]液体研磨剤)
早速ホームセンターへ行き、メンテナンスグッズを購入。種類が豊富で悩みましたが、今回はこちらの3アイテムに。手袋は軍手を代用。別売りのヤスリの柄を含めて合計4,000円弱でした。
【左】ニコルソン 万能やすり(平-21)
【中】ソフト99 ちょっと塗りエイド シリコーンオイル
【右】ヤナセ 液体研磨剤 サビ取り・汚れ落とし用

ステップ① サビを落とす

アイゼンのサビ落とし
撮影:YAMA HACK編集部
柔らかい布に研磨剤をつけて、こするように磨きます。

研磨剤でサビを落とす
撮影:YAMA HACK編集部
「本当にこれでサビが落ちるのか?」 なんて疑いながら見てみると…

アイゼンのサビ取り・サビ落とし(ビフォーアフター)
撮影:YAMA HACK編集部
拭いただけで、頑固なサビも落ちているではありませんか!

ステップ② 爪を研ぐ

アイゼンの爪をヤスリで研ぐ
撮影:YAMA HACK編集部
教えてもらった通り、爪先に向かって押すときに研いでいきます。研ぐこと自体は簡単ですが、左右対称に削りながらきれいに尖らせていく繊細な作業は、意外と根気がいりました。

そして、丁度いい固定台がなかったこともあり、右利きだと爪の左側面を研ぐのにやや苦戦します。

ステップ③ サビ止めオイルを塗る

サビ止めのシリコンオイルを塗る
撮影:YAMA HACK編集部
仕上げにサビ防止のシリコーンオイルを金属部分に塗っていきます。マニュキアのようにキャップが刷毛になっているタイプは、非常に使い勝手がよかったのでおすすめ。細かい部分にもしっかり塗れました。

メンテナンス完了!

12本爪アイゼンのメンテナンス前
撮影:YAMA HACK編集部
使い込まれてくたびれたアイゼンが…

12本爪アイゼンのメンテナンス後
撮影:YAMA HACK編集部
なんということでしょう! 輝きと鋭さを取り戻し、生き生きとしているではありませんか。

12本6本爪アイゼンのメンテナンス前
撮影:YAMA HACK編集部
なんだか楽しくなってきたので、ついでに6本爪の軽アイゼンもメンテナンス。

12本6本爪アイゼンのメンテナンス後
撮影:YAMA HACK編集部
新品同様とはいきませんが、まだまだ頼れる相棒に。

しっかりメンテナンスして、長く愛用しよう!

アイゼンのメンテナンス
撮影:YAMA HACK編集部
初めてのメンテナンスということで、12本爪アイゼンのメンテナンスが終わった頃には3~4時間が経過していました。夢中になってやっていたのですが、終わったときには結構ぐったり(笑)。

その一方で、自分でメンテナンスをすることで、一気にアイゼンへの愛着が沸き、これからも大切に使おうという気持ちが芽生えてきました。中込さんが話していた「自分の命を守るギアとして愛着を抱くために、構造を理解することも重要」とはこのことかと、納得したのでした。

いざという時の守護神アイゼン。転倒・滑落防止の役割をしっかり果たしてもらうためにも、ぜひ雪山シーズン前に状態を確認して、みなさんもお手入れしてみてくださいね! 思いのほか簡単で、ハマってしまうかも!?

忙しい人必見! エルクのメンテナンス代行サービスが便利

甲府アウトドアショップ・エルク
撮影:YAMA HACK編集部
「メンテナンスする時間がない」「自分でやる自信がない」という人もご安心を。エルクではアイゼンのメンテナンス修理も行っています。

形状・状態にもよりますが、4,000~6,000円程度でメンテナンスしてもらえるので活用してみては。なんと、ギアのメンテナンスだけでなく保管もしてくれるんです!

▼エルクのメンテナンス代行サービスについてはこちら



OUTING PRODUCTS ELK
住所:山梨県甲府市徳行4-13-9
TEL:055-222-1991
営業時間:11:00~20:00/日曜・祝日~19:00
定休日:毎週火曜日

ELK 公式サイトELK Online ShopELK Instagram


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アイゼンのメンテナンス
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YAMA HACK編集部 荻原
YAMA HACK編集部 荻原

YAMAHACK運営&記事編集担当。もともと旅行が好きだった延長で山へ登るように。山の魅力やワクワクするような山道具など、アウトドアにまつわるあらゆる情報をお届けしていきます。

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