ダイヤのような模様が入ったザック、見かけたことない?
最近人気のロールトップ型やULザック。山ですれ違ったおしゃれなハイカーやSNSの投稿で話題のザックを見る機会も何かと多く、カッコいいな~と思っている人もいるのではないでしょうか。
そんなザックの多くに使われている、ダイヤのような模様が格子状に配されている生地。
この模様、ただの柄ではなく「X-PAC(エックスパック)」という高機能素材が使われています。
X-PACは”ヨットの帆”から生まれた3層構造素材
X-PACは、3種類の層を組み合わせた特殊素材。
その構造はサンドイッチ状になっていて、3層を圧着加工することで完成します。
・上層:ナイロンや綿帆布などの素材の表生地
・中間層:ポリエステルを撚った強力な紐をX状に組み合わせた素材
・下層:接着の役割を持つ「ポリエステルフィルム」と撥水加工された「ポリエステルファブリック」を合わせた裏生地
この素材を開発したのは、セイルクロス(ヨットの帆)で世界一のシェアを誇る、アメリカの「dimension-polyant(ディメンョンポリアント)社」。
見た目のカッコよさだけじゃなく、アウトドアにも最適な高い機能性をもつ優秀素材なのです。
ここがスゴい!X-PACのおいしい高機能っぷり!
【軽量性】重量は一般的なザックの半分ほど
3層の軽量素材により作られているX-PACは、その軽量性が最大の特徴とも言えます。
たとえば一般的なナイロン性の30ℓザックが1kgだとすると、X-PACが使われたザックでは、その半分の500g程のモデルも多く発売されています。
もちろん重量に関しては一概には言えませんが、それほどの驚くべき軽さを持っています。
【強度性】枝や岩に引っかかっても破れにくい
軽量素材と聞くと、薄くてすぐに破れてしまわないか不安ですよね。
X-PACの中間層にある「X-PLY」は、ポリエステルの繊維を撚った強力な紐をX状に交差するように組み合わせることで、高い引き裂き強度を実現。織物の弱点とも言われる斜め方向の伸びを抑える力があります。
登山中に木の枝や岩に引っかかっても、そう簡単に破ける心配もありません。
【防水性】雨天時の行動でもザック内が浸水しにくい
X-PACは上層の「ナイロン生地」と下層の「撥水加工されたポリエステルフィルム」が圧着されているので、高い防水性をもっているのも魅了の1つです。雨の日の登山はなにかとザック内が濡れてしまうことが多いですが、X-PACであれば通常のザックよりも水の侵入を防ぐことができます。
タウンユースでも大活躍!
X-PACはザック以外にもその機能性から、サコッシュやアウトドア用ウォレットに用いられています。近頃ではタウンユース用のバックパックなどにも使われ始めているので、今後は大手スポーツメーカーなどからの発売もあるかもしれませんね。さらなる広がりに期待です。
そんなX-PACにも弱点はある…
ガッツリの縦走登山や雪山には不向き
強度が高いとされるX-PACですが、耐えられる重量には生地としての限界があります。そのため総重量が20kg以上になるような、何泊にも及ぶ縦走登山や荷物が多くなってしまう雪山などには適していません。
X-PACを使ったザックに50ℓ以上の大容量のものがほとんどないのはこのためです。
長く使うと剥離してくるかも…
うまく使えば十年以上も長持ちするナイロン素材と比べると、X-PACは劣化が早いです。圧着されていた層が使い込むことで画像のように剥離してくることも。そうなってしまった場合、本来の機能は失われてしまいます。
使用頻度にもよりますが、5年前後を寿命と考えた方が良さそうです。
【結論】X-PACはこんな人におすすめです!
気になる点がありながらも、やっぱりカッコよく見えちゃうのがX-PACの魅力ですよね。
そんなX-PACを使ったザックはこんな人におすすめ!
・1泊〜2泊程度の軽量なテント山行を楽しみたい人
・タウンユースでも合わせやすいザックが欲しい人
ということで、登山のシーンごとにX-PACを使ったザックを紹介します!
【日帰り登山向け】30ℓ以下のX-PACを使ったザック
マウンテンハードウェア スクランブラー25
ボディにX-PAC、ボトムにケブラー素材を使った軽量ザック。雨蓋を取り外し可能で、用途に応じて使い分けることが可能です。サイドにはギアループがついているので、クライミング用ザックとしてもおすすめ!
ホグロフス ヘリオス25
ファストハイクにおすすめなシンプルデザインのバックパック。ファスナーが大きく開閉する仕組みになっているので、ザック内をゴソゴソあさる手間もありません。必要な装備をスピーディーに取り出すことのできる、タウンユース用や旅行などでも活躍するアイテムです。
サードアイチャクラ PACKABLE 25L
イモトアヤコさんが南極登山で使用していたことで注目を浴びた、ネパール発のバックブランド「サードアイチャクラ」。そのウルトラライトモデルがPACKABLE 25Lです。一切ムダのないシンプルに設計されたバックパックは、スピードが要求される登山や街での使用におすすめです。
【小屋泊向け】30〜40ℓのX-PACを使ったザック
マーモット ヤマタビ 30 エックスパック
アウトドアスタイル・クリエイター四角友里さんとのコラボレーションアイテム。使い分けできる2つのフロントポケット、汚れを気にせず収納できるトレッキングポールポケット、座布団にもなる背面パッドなど、かゆいところに手が届く機能が満載の人気パックです。
マウンテンハードウェア スクランブラー35
同モデルで25リットルサイズがある、マウンテンハードウェアのライト&ファストザックです。カラーバリエーションの豊富さも魅力。背面には軽量フレームが入っているので、長時間の登山でも背中の負担を軽減します。
アトリエブルーボトル PAC03
多くのおしゃれハイカーさんが御用達の大人気ザック。オンラインショップでは販売後あっという間に売り切れてしまうほど。大きくて深いポケットが特徴的で、地図や水などすぐに取り出したい物を入れておくのにとても便利です。日本人の体型を考えた背負い心地になっており、長時間の歩行のストレスを解消してくれます。
容量:約36〜48L(フロント、サイドポケット含む)
重量:690グラム
カラー:オーダー
【販売について】
イベントでの受注及び抽選。イベントや抽選の詳細情報をお待ちください。詳しくはリンク先の公式ページをご参照ください。
【テント泊向け】40ℓ以上のX-PACを使ったザック
サードアイチャクラ THE BACKPACK#001
ヒマラヤの極限な自然環境からフィードバックを得て誕生した山岳用ザック。40ℓはもちろん、X-PACを使ったザックとしては数少ない60ℓのサイズ展開も大きな魅力。テント泊や長期縦走だけに限らず、本格的な雪山やアルパインクライミングにも特化した高機能ザックです。
山と道 THREE
ULブランドの先駆者として君臨する「山と道」。その中型モデルザックが「THREE」です。大容量のフロントポケットを3タイプから選べるようになっているので、自分の好みに応じた形を選ぶことができるのも魅力。ロールトップ型のように見えてファスナーによる開閉になっているので、容量限界まで荷物を入れることができます。
容量:Mサイズ/40リットル Lサイズ/45リットル
重量(Mesh): Mサイズ/ 614g Lサイズ/644g
重量(Standard):Mサイズ/ 633g Lサイズ/ 660g
重量(Zip ):Mサイズ/638g Lサイズ/665g
カラー:4色
if you have ハグ
高知県発のガレージブランド「if you have」。その中型モデルザックのハグは、名前の通り抱きしめたくなるような今までにないフィット感が魅力の商品です。オプションでショルダーハーネスも加えることができるので、自分流にカスタムできる楽しみもあります。
容量:1/37L, 2/40L , 3/43L
重量:1/560g, 2/590g,3/610g
カラー:3色
if you have ハグ
そりゃあ人気だわ!デザインも機能も◎のX-PAC
優れたデザインと、ハードな登山にも対応できる機能を持ったX-PAC。人気ザックによく見るダイヤ模様はやっぱりただの柄ではありませんでした。今回はザックを中心に紹介しましたが、サコッシュや財布など、様々なアイテムにX-PACは使われています。
ギアが持っている特徴を知ることで、その装備の使い方や愛着が全然変わってきます。そんなお気に入りの装備で出かけた登山は、きっとまた一つ違うものになるはずです。