登山の防寒対策は軍手でOK!って思ってない?それヤバイかも・・・

2018/10/28 更新

秋や冬に向けて徐々に山の気温も下がってきます。そんな時に気になるのが手の冷え。安く手に入るからという理由で、登山に軍手を使っている人をよく見かけます。秋冬の防寒対策として、登山で軍手を使うことはあまりおすすめしません。今回は、秋冬の山で軍手を使わないほうが良い理由を、実験結果と合わせてみていきましょう。


アイキャッチ画像出典:PIXTA

雪のない山の防寒なんて軍手でOKでしょ!

軍手
出典:PIXTA
秋冬になると登山での手の冷えが気になりますよね。対策としては登山用の手袋が一般的ですが、山では代わりに軍手をしている人も多く見かけます。

安くてそれなりに暖かく、コンビニでも買えるなど、気軽に使える軍手。秋冬の山で防寒用として使うにはどうなのでしょうか?

秋冬の防寒対策には不向き

手でバツをつくる女性
出典:PIXTA
全く使い物にならないわけではありませんが、雪の有無にかかわらず秋冬の山で、軍手を防寒用として使うことはおすすめしません。

その理由は、
①濡れると乾きにくい
②縫い目があらく、風を通しやすい
③縫い目を木や岩などにひっかけて、破れやすい
④フィット感が良くないため、岩場などでの細かい操作性がよくない
などがあります。

「濡れ」と「風」は冷えにつながる!

上で述べた理由の中でも特に①と②には、注意が必要です。
【1】濡れた状態は寒さを感じやすい
熱伝導率
出典:いらすとや(編集:YAMA HACK編集部)
市販されている軍手には、素材として綿が使われています。綿は肌触りが良い素材ですが、濡れるととても乾きにくいのが弱点。その濡れている状態が冷えにつながります。

冬のお風呂あがりにブルッと寒さを感じたことはないでしょうか?これは体が濡れた状態で脱衣所に行くと、体についた水滴が一気に低い外気温を伝えて寒さを感じる、という現象が起きています。

軍手が濡れていると、冷たい外の気温をどんどん手に伝えるため、手が冷えてしまうのです。

【2】風を受けると体温が奪われる
風が吹くと寒い
出典:いらすとや、イラストAC(編集:YAMA HACK編集部)
風もなく静止している状態では、体の近くの空気は体温に暖められ体温に近い温度になります。しかし、風が吹くとその空気の層が移動するため、寒さを感じるのです。

風速1m/秒の風が吹くと、体感温度が1℃下がるとも言われているため、防風対策も非常に大切です。

では、実際に「濡れた軍手がどれくらいで乾くのか」と「風があたるとどれくらい温度が下がるか」を見てみましょう。

実験①:綿が入った軍手は乾くのにどれくらい時間がかかる?

軍手温度比較
撮影:YAMA HACK
まずは、軍手の『乾き』に関してみていきます。
実験当日の気温は25度。風も強く、洗濯物を乾かすにはピッタリの秋晴れの日です。日差しが強い昼の12時に実験を開始しました。

もともとの軍手の重さは35g。水に濡らすと62gになったので、この時点で約27gの水分を含んでいることになります。時間の経過とともに、どれくらい35gに近づいていくのでしょうか。

途中経過(30分後、1時間後、2時間後)

軍手 30分経過
撮影:YAMA HACK
30分後の計測では、56g。30分で6g減なので、1時間で12g分が乾き、2時間くらいで完全に乾くと予想。
その結果は果たして・・・
軍手 乾燥中
撮影:YAMA HACK
1時間後は53g、2時間後には48gと乾いてはいるものの、予想よりもスローペース。
ん~。同じペースで乾かないため、だんだんと読めなくなってきました。

結果:乾燥には約4時間かかった。

軍手 乾いた後
撮影:YAMA HACK
最終的に4時間を過ぎたところで、37gになりほぼ元の重さに戻りました。この頃には、軍手を触っても濡れた感じはありません。

しかし、日帰りの低山で多い往復3時間~6時間の行程だと、行動中はほとんど手が濡れた状態が続いてしまうことになります。これでは、手が冷えて快適な登山とはいかなさそうですね。

実験②:軍手はどれくらい風を通すのか

サーモグラフィー
撮影:YAMA HACK
次に手袋をした状態で3分間風を当てて、手の表面温度の変化を調べました。今回は「FLIR」という機械で測定し、防風性のある手袋と軍手の比較を実施。

防風性のある手袋の場合

手袋 テスト中
撮影:YAMA HACK
防風性のある手袋だと、ほとんど風を感じません。中綿もついているので、とても手が暖かく快適でした。
手袋着用時の温度変化
撮影:YAMA HACK
結果は、若干ですが温度が上昇。中綿が入っているので、ポカポカと暖かく感じました。

軍手の場合

軍手着用時の温度変化
撮影:YAMA HACK
軍手だと、風を当てている時点で風をかなり感じます。最初は問題ないですが、徐々に涼しく感じました。
それでは、結果をみてみましょう。
軍手 手の温度の比較
撮影:YAMA HACK
表面温度が下がっています。体感ではそれほど感じませんでしたが、指先の部分の変化が大きいようです。

結果:軍手では風が吹くと手が冷える

軍手の網目
撮影:YAMA HACK
風にさらされ続けると、軍手では冷えるリスクがあります。これは、目の荒い他の手袋でも同じことが言えるので、登山用の手袋選びでは注意が必要。
さらに、雨などで濡れてしまった場合は、熱伝導率があがり体温が奪われやすくなるため、濡れと風が組み合わさった場合は、特にリスクが高まります。

工夫をすれば軍手は使える?

Q&A
出典:PIXTA
ここまで読んでもらえば、軍手の乾きや通気性に関してはわかっていただけたと思います。ですが実際に山を登っていると、工夫をしながら軍手を使っている人もチラホラ。
その活用方法に関しては、どうなのでしょうか?


濡れたら、新しい軍手に替えればよいのでは?

水たまりや濡れた岩場や地面に手をついてしまったなど、突発的に濡れてしまった場合には、新しい軍手に替えれば状況は解決できると思います。しかし、濡れる原因の多くは雨です。その場合、濡れた軍手を替えても再び濡れるため、あまり効果的ではありません。

上からゴム手袋をすれば防水性も完璧では?

防水性、防風性についての懸念は、ある程度改善されると思います。しかし、登山中は手の汗で手袋の内側から濡れることもあるので、乾きにくい綿素材の軍手は避けるべきアイテムです。また、操作性が著しく悪くなるため、岩場や鎖を使う場合は避けてください。


秋冬は登山用の手袋をするのが安心

出典:楽天/Crouka
「軍手は絶対に使えないですか?」と言われると「使えない」とは断言できません。ですが、危険につながる弱点があります。どうしても使う場合も、リスクを理解した上で安全を確保できる範囲の使用にとどめてください。その判断ができない場合は、登山向けの手袋を選ぶほうが安全で快適な登山ができると思います。

製品によっては普段も使うことができるものもあります。軍手でいろいろ工夫するのも悪くはないですが、慣れないうちこそ一番大切なのは【安全第一の装備】を心がけてください。

この記事を読んだ人は、こんな記事を読んでいます。


関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
n.hayato
n.hayato

登山が好きです。でも、山の上で飲む日本酒はもっと好きです。登山の魅力を少しでも多くの人に伝えられる記事を書いていきたいと思っております。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

OFFICIAL SNS

 

LINEでYAMA HACKをもっと手軽に。

登山用品から登山・トレッキングまで山に関する情報を毎日配信!
LINE友達限定の毎月当たるプレゼントキャンペーンも開催中!