雪のない山の防寒なんて軍手でOKでしょ!
秋冬になると登山での手の冷えが気になりますよね。対策としては登山用の手袋が一般的ですが、山では代わりに軍手をしている人も多く見かけます。
安くてそれなりに暖かく、コンビニでも買えるなど、気軽に使える軍手。秋冬の山で防寒用として使うにはどうなのでしょうか?
秋冬の防寒対策には不向き
全く使い物にならないわけではありませんが、雪の有無にかかわらず秋冬の山で、軍手を防寒用として使うことはおすすめしません。
その理由は、
①濡れると乾きにくい
②縫い目があらく、風を通しやすい
③縫い目を木や岩などにひっかけて、破れやすい
④フィット感が良くないため、岩場などでの細かい操作性がよくない
などがあります。
「濡れ」と「風」は冷えにつながる!
上で述べた理由の中でも特に①と②には、注意が必要です。
【1】濡れた状態は寒さを感じやすい
市販されている軍手には、素材として綿が使われています。綿は肌触りが良い素材ですが、濡れるととても乾きにくいのが弱点。その濡れている状態が冷えにつながります。
冬のお風呂あがりにブルッと寒さを感じたことはないでしょうか?これは体が濡れた状態で脱衣所に行くと、体についた水滴が一気に低い外気温を伝えて寒さを感じる、という現象が起きています。
軍手が濡れていると、冷たい外の気温をどんどん手に伝えるため、手が冷えてしまうのです。
【2】風を受けると体温が奪われる

風もなく静止している状態では、体の近くの空気は体温に暖められ体温に近い温度になります。しかし、風が吹くとその空気の層が移動するため、寒さを感じるのです。
風速1m/秒の風が吹くと、体感温度が1℃下がるとも言われているため、防風対策も非常に大切です。
では、実際に「濡れた軍手がどれくらいで乾くのか」と「風があたるとどれくらい温度が下がるか」を見てみましょう。
実験①:綿が入った軍手は乾くのにどれくらい時間がかかる?
まずは、軍手の『乾き』に関してみていきます。
実験当日の気温は25度。風も強く、洗濯物を乾かすにはピッタリの秋晴れの日です。日差しが強い昼の12時に実験を開始しました。
もともとの軍手の重さは35g。水に濡らすと62gになったので、この時点で約27gの水分を含んでいることになります。時間の経過とともに、どれくらい35gに近づいていくのでしょうか。
途中経過(30分後、1時間後、2時間後)
30分後の計測では、56g。30分で6g減なので、1時間で12g分が乾き、2時間くらいで完全に乾くと予想。
その結果は果たして・・・