よく「ダメ」とは聞くけれど…
「登山に綿のTシャツやウェアはNG! 速乾タイプじゃないとダメだよ」とはよく言われること。登山入門書やあらゆるwebサイトにも書いてありますし、登山用品店の店員さんもそのように言います。
綿という素材は濡れると乾きが遅く、身体が冷えてしまうからというのが理由なのですが、頭ではわかるものの具体的に実感を伴わず、イマイチピンとこないという方もいるのではないでしょうか?
例えば、一般的に普段着として着るTシャツは綿がほとんど。持っているTシャツがそれだから、そのまま山へも着ていく…という方、ちょっと待って! 今回は「なぜ登山では綿NGなのか?」を徹底的に解明すべく、様々な検証をしてみました。
これから登山を始める人はもちろん、初めて登山をするお友達に服装をアドバイスする際にも役立つかと思います。早速見ていきましょう!
「気体」と「水」の不思議
突然ですが、サウナを想像してください
日本のサウナは平均温度が約90℃前後。当たり前ですが、サウナには入れるけど90℃のお湯には入れませんよね。
その理由はズバリ…『熱伝導率』!
その秘密は熱伝導率。熱の伝わる速さの度合いのことを指しますが、実は水は空気の20倍以上熱伝導率が良いのです。
そのため、サウナのような気体の90℃で耐えることができても、分子が水になると一気に熱が伝わるため触れることすらできないという事象が起こります。
山ではどう?
先ほどのお風呂の話だと、暑い場所から気温の低いところへ出た瞬間、体についた水滴が熱を伝導して寒く感じたということになります。
では、山ではどうでしょうか? 微風であれ強風であれ、変わりやすいお天気の山では常に風が吹いています。そして誰もそれをコントロールすることはできません。運動して汗をかけば衣服が濡れますが、その部分に無条件に風が吹きつける環境ということ。つまり、ウェア自体が早く乾いてくれないと体もどんどん冷えてしまうのです。
【実験】綿と化学繊維を徹底比較!
濡れた箇所が、水分の熱伝導率の高さによって冷えやすいことはわかりました。では実際にどれくらい綿が乾きにくいのか、またそれによりどれくらい冷えるのかを実験してみましょう。