よく「ダメ」とは聞くけれど…

綿という素材は濡れると乾きが遅く、身体が冷えてしまうからというのが理由なのですが、頭ではわかるものの具体的に実感を伴わず、イマイチピンとこないという方もいるのではないでしょうか?

これから登山を始める人はもちろん、初めて登山をするお友達に服装をアドバイスする際にも役立つかと思います。早速見ていきましょう!
「気体」と「水」の不思議
突然ですが、サウナを想像してください

その理由はズバリ…『熱伝導率』!

そのため、サウナのような気体の90℃で耐えることができても、分子が水になると一気に熱が伝わるため触れることすらできないという事象が起こります。

同様の現象として、冬のお風呂を想像してみてください。お風呂を出た瞬間ものすごく寒く感じて、慌てて水気を拭いて服を着る…誰しも経験したことのありそうなシーンですよね。この現象も、肌の上の水滴が低い外気温を一気に伝えてしまう熱伝導に起因しています。
山ではどう?

では、山ではどうでしょうか? 微風であれ強風であれ、変わりやすいお天気の山では常に風が吹いています。そして誰もそれをコントロールすることはできません。運動して汗をかけば衣服が濡れますが、その部分に無条件に風が吹きつける環境ということ。つまり、ウェア自体が早く乾いてくれないと体もどんどん冷えてしまうのです。
【実験】綿と化学繊維を徹底比較!
濡れた箇所が、水分の熱伝導率の高さによって冷えやすいことはわかりました。では実際にどれくらい綿が乾きにくいのか、またそれによりどれくらい冷えるのかを実験してみましょう。実験!綿ってどれくらい乾かないの?




5分後、化学繊維の方は触っても濡れている感じがなくほぼ乾いていました。一方、綿の方は触るとまだ濡れており、そして何より濡れた箇所が化学繊維より冷たく感じました。
風に吹かれるとどれくらい冷えるのか?


実際に肌に触れさせてみると…

水風呂の冷たさを肌に纏って、風に吹かれる…想像するだけで、寒々しいですよね。
でもそんなに大変な山じゃなければ別によくない?

しかし、「自分が行くのはそんなに大変な山じゃないし」「コースタイムも短いから大丈夫でしょ」と思っている人!その認識は間違いです。運動量が激しくなければ、汗をかかないと思ってはいませんか?
『汗』はいつかくもの?



これは、じっとしていても、私たちは汗をかいているということ。「そんなに動かないから…」などというレベルではありません。何もしなくても汗はかくのです。つまり『いつでも衣服が濡れる環境にある』ということになります。
外にいて風を受ける以上、汗が早く乾くものを着るのはマスト!

山では当然、風の強さは一定ではありません。乾かない衣服で体が冷えてしまうことは、低体温症のリスクに繋がるということ。これ、大げさではなく本当です。事前に避けられるリスクをきちんと避けることも、登山する上での大事なマナーですよね。
▼低体温症は、高い山だけのものじゃない
▼機能性が高いものを選ぼう
すべては快適で楽しい登山のため!

一度冷えた体の温度を上げることは、想像以上に容易ではありません。食べ物で体温を上げるのもたかが知れていますし、濡れていないウェアに着替えられる環境ならいいですが、登山中はそうもいきませんよね。ならばまず『冷やさない』ことが何より重要。「ちょっとくらいいいや」と思わずに、楽しく登山をするために気を付けてみてくださいね。
▼唯一登山でOKな綿!?
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