白雲岳

ゼブラ模様の絶景へ!大雪山・赤岳~白雲岳の縦走コース

北海道を代表する火山群の総称・大雪山。最高峰の旭岳をはじめ、多くの名峰が聳えています。レベルや日数に合わせて様々なルートが選択できる大雪山ですが、その中でも『赤岳~白雲岳』は多くの登山者が縦走の入口・さらには経由地として歩く人気ルート。夏は写真を撮る手が止まらないほどのお花畑、秋は燃えるように鮮やかな紅葉など、その雄大な景色で登山者を楽しませてくれます。今回はそんな人気の『赤岳~白雲岳』ルートの詳細や、一緒に周りたい他の山との縦走コースを紹介します。

目次

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

一度見たら忘れられない、大雪山の絶景!

残雪が残る夏山 大雪山

出典:PIXTA(残雪が残る夏山 大雪山)

大雪山は、旭岳を主峰とする火山群の総称。北海道の中央部に位置し、アイヌ民族からは「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれあがめられてきました。白雲岳や赤岳など2,000m級の山々が連なる山塊には、250種以上の高山植物やエゾナキウサギなど珍しい生き物が生息しています。夏でも雪渓が残る時季に見ることのできる、美しいゼブラ模様も魅力の一つです。

また、大雪山系は、きれいな花々が数多く咲き、貴重な動植物が生息するエリア。北海道の大自然を満喫するならこれ以上の場所はありません!山頂だけでなくコース中からも素晴らしい絶景が望めますよ。

これぞ北海道!遮るもののない登山道

赤岳~小泉岳間の登山道

出典:PIXTA(赤岳~小泉岳間の登山道)

登山中は、ただただ自然を感じていたい。そんな願いを叶えてくれる大雪山系は、コース中に遮るものが何もありません。高木が一切なく、青い空の下、延々と雄大な大地が続いています。

一度見たら忘れられない緑と白のゼブラ柄

白雲岳

出典:PIXTA(白雲岳)

緑と白の美しいゼブラ模様が広がる白雲岳山頂。夏でも雪渓が残る山域は、深緑の中に残雪が混じり、壮大なコントラストを演出します。他ではなかなか見ることができない大雪山系ならではの光景です。

赤岳山頂から見る大雪山の山々

赤岳山頂からの景色

赤岳は、山頂から大雪山の雄大な景色が望める山。黒岳や烏帽子岳など、いくつもの山々を一望することができます。荒々しい山肌に緑や紅葉が広がる景色は、見応えの十分の圧倒的スケール感です。

山肌一面に広がる銀泉台の紅葉

銀泉台の紅葉

出典:PIXTA(銀泉台の紅葉)

赤岳の麓にある銀泉台は、紅葉の人気スポット。銀泉台をスタート地点として赤岳や白雲岳に登ると、山肌一面の紅葉を楽しむことができます。紅葉は9月下旬にピークを迎え、山麓全体が緑や朱色、黄色に染まる姿は必見の美しさです。

胸がトキメク一面のお花畑

お花畑

大雪山はレベルや日程に合わせて様々なコース設定が可能。その中でも大雪山屈指の人気を誇る赤岳〜白雲岳のコースは、お花畑を楽しむにはぴったり。チングルマやコマクサ、エゾノツガザクラなど、登山道には愛らしい花々が咲いています。淡いピンクや白などの高山植物は、登山者の心を和ませてくれる存在です。

『赤岳』ってこんな山

北海道 銀泉台 紅葉

出典:PIXTA(北海道 銀泉台 紅葉)
標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
2,078m北海道上川郡上川町12.8℃-0.7℃
参考:ヤマレコ
大雪山系の一角を成す赤岳は、紅葉の名所としても知られる山。標高1500mまで車でアクセスできるため、登山者をはじめ多くの方から親しまれています。可憐な花々が楽しめる赤岳はフォトスポットとしても人気があり、中でも「高山植物の女王」であるコマクサは、艶やかなピンク色で人々を魅了している花です。山名の由来は、赤い花が存在することや紅葉が山麓全体に広がることなどから来ているとされます。

『白雲岳』ってこんな山

大雪山高根が原より白雲岳

出典:PIXTA(大雪山高根が原より白雲岳)
標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
2,230m北海道上川郡美瑛町11.8℃-1.6℃
参考:ヤマレコ

白雲岳は、大雪山系最高峰の旭岳から、やや東に位置する山。狭義の大雪山である「表大雪」の一角でもあります。山容は堂々としていて裾野が広く、赤岳から縦走して山頂を目指すコースが特に人気です。また、体力に余裕があれば五色岳や化雲岳へもアクセスすることができるので、多彩なコースアレンジを楽しむこともできます。山頂は、旭岳や高根ヶ原が一望できる絶景スポットです。

大雪山らしい絶景が!【赤岳~白雲岳】の縦走コース

赤岳を経由して白雲岳を目指す縦走コースは、比較的歩きやすい道。登山中にはキレイな花々が見られるので、登山を十分に堪能できるコースといえます。大雪山の絶景を味わたい人にもおすすめです!

合計距離: 13.23 km
最高点の標高: 2202 m
最低点の標高: 1489 m
累積標高(上り): 1107 m
累積標高(下り): -1107 m
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:8時間9分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

赤岳登山口(60分)→第一花園(50分)→駒草平(30分)→第三雪渓(80分)→小泉分岐(60分)→白雲岳

銀泉台の画像

出典:PIXTA(銀泉台の画像)

赤岳へは、銀泉台にある登山口からスタートすることになります。付近には駐車場があり、入山届は小屋で提出することが可能です。林間の登山道は、広めで歩きやすくなっています。

銀泉台~駒草平までの登山道

出典:PIXTA(銀泉台~駒草平までの登山道)

銀泉台を出発すると、さっそく登山道には多くの高山植物が。ミツバオウレンやゴゼンタチバナなどの花々が、登山者の目を楽しませてくれます。第二花園からは景色が一変して長い雪渓となるので、足元に注意して歩きましょう。

奥の平の画像

出典:PIXTA(奥の平の画像)

名前の通り、あちこちにコマクサが生えている駒草平周辺。砂礫の中にひっそりと咲くコマクサの姿は美しいです。赤岳までのルートには石が多く転がっていますが、道は整備されているので気持ちよく歩いていけます。

赤岳山頂

出典:PIXTA

チングルマやエゾコザクラなどお花畑を楽しみながら進むと、赤岳山頂に到着。山頂からは広々とした景色が広がり、大雪山系の主峰・旭岳も遠くに眺めることができます。青い空に、雪渓が重なって素晴らしい展望です。

小泉分岐の画像

赤岳を出発したあとは、小泉分岐を目指して進むことに。コース中は相変わらず気持ちのいい景色が広がり、ミヤマキンバイなど、再び高山植物を楽しむ時間が始まります。

白雲岳への登り画像

小泉分岐から白雲岳方面へと進むと、爽快感のある清々しいの道に。遮るものが何もない空間に思わず笑みがこぼれます。山頂頂下は、急勾配の岩石地帯なので、一歩ずつ登っていきましょう。

白雲岳山頂からの眺望画像

山頂は、美しいゼブラ柄が広がる見事な眺望。この景色が見たくて白雲岳に登る方も多いものです。晴れた日には青い空と緑、雪渓の白が重なり、より美しいグラデーションになります。大自然の織りなす景観に、ただただ感動です。

他にも様々なコース設定が可能

赤岳〜白雲岳の縦走コースは、緑岳や黒岳を目指すなどさまざまなアレンジが可能。大雪山系を満喫したい方は、体力や日程に合わせて、自分なりのルート設定をしてみてはいかがでしょうか?

余裕のある人は、緑岳(松浦岳)へ

合計距離: 17.28 km
最高点の標高: 2202 m
最低点の標高: 1489 m
累積標高(上り): 1556 m
累積標高(下り): -1556 m
【体力レベル】★★★★☆
1泊2日
コースタイム:10時間29分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

【1日目】
赤岳登山口(110分)→駒草平(110分)→小泉分岐(80分)→緑岳(50分)→白雲岳避難小屋(1泊)
【2日目】
白雲岳避難小屋(30分)→白雲岳分岐(40分)→白雲岳(50分)→小泉分岐(89分)→駒草平(70分)→赤岳登山口

緑岳山頂の画像

小泉分岐、もしくは白雲岳分岐から緑岳を経由するコース。1泊2日での縦走になるため、初日は白雲岳避難小屋に泊まります。見晴らしのいい登山道からは、トムラウシの姿を一望することができ、秋には紅葉を楽しむこともできます。体力に余裕のある方におすすめのコースです。

紅葉の時期は黒岳へ行くのも人気!

合計距離: 15.74 km
最高点の標高: 2202 m
最低点の標高: 1489 m
累積標高(上り): 1705 m
累積標高(下り): -1680 m
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:8時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

赤岳登山口(280分)→白雲岳(110分)→北海岳分岐(60分)→黒石石室(20分)→黒岳(50分)→七合目登山事務所

黒岳の紅葉

出典:PIXTA

日帰りで思いきり山を楽しみたいのであれば、黒岳への縦走もおすすめ。黒岳は、ロープウェイ等で山頂に行くこともできるため、紅葉時期は特に人気のある山です。コースは白雲岳登頂後に少し戻り、北海岳分岐へ。登山道は整備されていますが、途中にいくつか川を渡るポイントがあります。

北海道登山の注意点

北海道の山に登るときは、本州とは違う点があるので注意が必要。山は本州よりも冷え込みやすく、ヒグマも生息しています。赤岳や白雲岳に登山する際は、今一度、装備等をチェックするようにしましょう。

①大雪山はヒグマの生息地!

大雪山は、アイヌ民族から「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれてきた神聖な場所。ここでいう神とは、ヒグマのことをいいます。大雪山は、美しい景色や動植物の宝庫であることから人気のエリアですが、ヒグマの生息地であることを忘れてはいけません。

▼熊に出会ってしまったら?

②夏でも防寒対策を

北海道の山に登るときは、夏でも防寒対策をしっかりすることが大切。道内2000m級の山の気温は、本州の3000m級の山に匹敵します。また、コース中は遮るものがほとんどなく、風も強いことから寒さを感じやすいです。夏でも低体温症になる可能性があるので、アウターなどの防寒対策は必須といえます。

▼行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
てんきとくらす(白雲岳の週間天気)

てんきとくらす(赤岳の週間天気)

▼低体温症の怖さとは…?

③携帯トイレを持参しよう

今回の縦走コースでトイレがあるのは、登山口である銀泉台と白雲岳避難小屋のみです。ただ、白雲岳避難小屋はコースから少し外れたところにあるため、実質、登山道にはトイレがありません。万が一、急に体調を崩したときのことを考えて、携帯トイレを用意しておくと安心ですよ。

▼安心を一つ準備!

地図も必ずチェック!大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳

登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!

昭文社 山と高原地図 大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳

銀泉台へのアクセス方法

登山口がある銀泉台へは、マイカーもしくは電車・バスを使ってアクセスすること可能です。駐車場は、登山口周辺にありますが、紅葉時期は大変混み合うので、事前に最新情報をチェックしておくことをおすすめします。

車の場合

札幌→道央自動車道 比布JCT→旭川紋別自動車道 上川層雲峡IC→国道39号→道道1162号

電車・バスの場合

札幌駅→JR特急ライラック→旭川駅→道北バス 層雲峡→シャトルバス→銀泉台

道北バス時刻表

シャトルバス時刻表

銀泉台駐車場

登山口から最も近い銀泉台駐車場。スペースも広いため、多くの登山者に利用されていますが、紅葉期はマイカー規制があるので注意が必要です。

【駐車場情報】
住所:北海道上川郡上川町層雲峡銀泉台
電話番号:011-709-2311(国土交通省 建設部 道路計画課 企画第2係)
駐車台数:90台
料金:無料

【注意】紅葉の時期はマイカー規制

銀泉台周辺では、毎年紅葉の時期にマイカー規制がされています。必ず事前にチェックをお願いします。

マイカー規制の時期やエリアはコチラ

【大雪山レイクサイト駐車場】
大雪山レイクサイト駐車場は、紅葉時期に設けられる臨時駐車場。駐車場からはシャトルバスが運行しています。

住所:北海道上川郡上川町層雲峡
電話番号:01658-2-4058
駐車台数:700台
料金:一人200円(マイカー規制協力金)

大雪渓と深緑のコントラストが美しい!赤岳・白雲岳

大雪山白雲岳山頂より
出典:PIXTA(大雪山白雲岳山頂より)

大雪山は、夏でも雪渓が残ることから、美しいゼブラ模様が望める山域。赤岳・白雲岳の縦走コースでは、コマクサなどの高山植物を眺めながら登山を楽しむことができます。紅葉の名所としても人気があるエリアを、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。


National Parks of Japan

白雲岳・赤岳 は 大雪山国立公園 に含まれています。

 

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