【実験②】登山で使える、効果の高い100均の保冷剤を探せ!

冷凍庫から出すと、室内でも30分も経つと溶け始めてしまうことが分かったアイスたち。山頂まで数時間かかる登山では、持ち運びに保冷グッズが欠かせません。
しかし、100円ほどのアイス1つのために、何千円もする高機能保冷剤や保冷バッグを使うのはなんだかもったいない感じがしますよね。そこで今回は100円ショップで手に入る保冷剤をピックアップ。一番長持ちする保冷剤はどれか、実験してみました。

100円ショップで購入した大きさや容量の異なる保冷剤4種類を冷凍庫でしっかりと凍らせ、アイスと同様に窓際に置いて観察。保冷剤の代用とすることも多い、ペットボトルの水を凍らせたものも用意しました。それぞれのスペックは以下の通り。
①凍らせたペットボトルの水(550ml)
②巻いて使うペットボトル用保冷剤(350ml用)
保冷時間:2時間~3時間
➂氷点下クールキーパー(内容量150g)
保冷時間:記載なし
④クールパック(内容量500g)
保冷時間:約4時間
⑤クールメイト(内容量300g)
保冷時間:記載なし
冷凍庫から取り出したばかりの時点では、ペットボトルやケース入りの保冷剤よりも袋タイプの方が表面上は冷たく感じられます。果たして、冷たさの持続力が高い保冷剤はどれなのでしょうか!?
1時間経過

②と➂がすでに柔らかくなり危うい印象。②はもともと凍らせても硬くならないタイプではありますが、他の保冷剤のようにキンキンではなくなってしまいました。
➂はキンキンに冷たいですが、ほとんど溶けた状態。パッケージに「本製品の特性上、同内容量の一般保冷剤(0℃タイプ)に比べて早く解凍します。」との注意書きが! 表面温度は低いけれど、解凍が早いということでしょうか。長時間の持ち運びに向かなそうな②➂はここで終了とします。
2時間経過

⑤のケース入り保冷剤は冷たさを保持しつつも、すっかり液体化しているのでここで脱落。ペットボトルは溶けた水がだいぶ増えていますが、細い氷の柱が残っています。健在なのが④の内容量が多い保冷剤。四隅から溶け始めてはいますが、凍った大きな塊がまだあります。
3時間経過

①凍らせたペットボトルはすっかり溶けてしまいました。しかし水はキンキンに冷たい状態。④は3時間経過しても、中心部が凍った状態でキンキンを持続。パッケージに記載の通り、保冷時間約4時間は持ちそうです。
実験の結果、持続力が高い保冷剤は④のクールパック(内容量500g)だということが分かりました。
【考察】効果の高い100円保冷剤を探せ!

山頂にアイスを持って行くために使う保冷剤選びは、下記を考慮する必要がありそうです。
■冷えると溶けるの関係
熱は温度が高いものから低いものへ移動するので、保冷剤は「冷やすために溶ける=溶けることで熱を奪う」という大前提があります。そして、溶けきるまで、融点の温度(個体⇔液体に変わる温度)をキープしようとします。
例えば、➂の“-10℃”の氷点下保冷剤は溶けるまで“-10℃”の表面温度を保ちますが、その反面、融点が-10℃より高い保冷剤よりも溶けるのが速いのです。全ての保冷剤が当てはまるわけではありませんが、「溶けにくい」ということは、「冷えにくい(温度が下がりにくい)」といい換えることもできそうです。
【実験➂】アイスを溶かさずに登山するべし!

実験①②の結果から、今回は溶けにくかった『チョコモナカジャンボ』×保冷時間の長い『クールパック(内容量500g)』で挑戦することに。
そしてもう1つ、山頂へアイスを溶かさずに持って行くために必要なのが“保冷袋”。こちらもできるだけお金をかけずにチャレンジするため、100円ショップの保冷袋を用意しました。

しかし、なんとなく100円の保冷袋は心もとない……。ということで、手軽に保冷効果を高められる+αのアイテムはないかと考え、思い浮かんだのは梱包などに使われる“エアークッション”。熱伝導率が低い物質といえば『空気』であることから、空気が詰まったプチプチはもしや使えるのでは!?と仮説を立ててみました。
そこでアイスと保冷剤をプチプチで包んで保冷バッグへ。そしてもう1つ、家に必ずあるもの“タオル”で包んだパターンも試してみます。
いざ、高水三山へ!

保冷剤の保冷時間が約4時間であることを踏まえ、自宅から山頂まで4~5時間程度で辿り着ける山、高水三山の一つ『岩茸石山』の山頂をゴールに設定。いざ出発です!
自宅最寄り駅⇒軍畑駅
(乗車時間:約2.5時間)
軍畑駅⇒高水山⇒岩茸石山
(標準コースタイム:約2時間)
岩茸石山の山頂に到着!

この日の気温は20℃程と、動いていると汗は出ますが、かなり過ごしやすい日でした。計画通り、冷凍庫からアイスを取り出してから約4.5時間で山頂に到着。早速アイスを取り出してみましょう。

まずは、アイスと保冷剤をタオルで巻いた方(左)から開けてみます。

保冷剤は柔らかくなっているものの、まだ冷たさを持続。溶けたアイスが袋に若干ついていますが、漏れてはいません。モナカを割ってみると……

うわぁ~、中は溶けているではありませんか。もう1つはどうでしょう。

プチプチを巻いたバージョンもオープン。こちらも溶けたアイスが袋についていますね。中身は……

まさかまさかの、こちらも溶けてしまっています。せっかくなので食べましたが、本当のおいしさを知っているだけに、残念な味としか言いようがありません。
こうして“山頂アイス”の夢があっけなく破れたのでした。
【考察】アイスを溶かさずに登山するべし!

実験が失敗に終わり、反省点をまとめながら下山。以下のポイントが気になりました。
■保冷袋に無駄な空間があった!?
広い部屋よりも狭い部屋の方がエアコンが効きやすいですよね? そう考えると、写真の赤色部分の空いたスペースをなくせば、保冷袋内をもっと効率的に冷やせたのではないでしょうか。
■タオルとプチプチは余計だった!?
アイスと保冷剤をタオルやプチプチで巻いてしまったことで、「保冷袋内の温度はそれほど低くなかったのではないか」との疑問が湧いてきました。保冷袋の内側は、アルミ蒸着シート×発砲ポリエチレンで覆われているので、その保冷効果を活かせなかったように思います。