山に茹で汁捨ててませんか?
最近は、山ごはんにこだわる登山者も多く、パスタやラーメンなどを食べている人も多く見かけます。しかし残念ながら、麺を茹でた汁をそのまま捨てている人もいるんです。
調理で出た茹で汁は絶対に捨ててはいけない
ご存知の方も多いと思いますが、麺類を茹でた後のお湯を山に捨てるのはマナー違反。麺類の茹で汁は普通の水やお湯と違い、炭水化物や塩分を含んでいます。インスタントラーメンの残り汁の場合は、それらに加えて油分まで。安易に捨てれば、環境への負荷になってしまいます。
美しい山の自然を保護するために、茹で汁や残り汁は絶対に山に捨てないでください!
また、においによって野生の動物をおびき寄せる可能性も考えられます。「餌を与えられた」と勘違いして人を恐れなくなると、危害を加える元となる危険性があるので、絶対にやめましょう。
茹で汁は活用するか、持って帰るかの2択
茹で汁の3つの活用術
登山では多くの体力を消耗するため、水分や栄養は貴重です。残さず摂取して、エネルギーにしてしまうのもオススメ。ソースやスープにすれば、山ごはんをボリュームアップさせられます。
①ソースにして食べてしまう
②スープにしてもう1品プラス
③少しハードルは高いけど…。コーヒーにして飲む
風味やのどごしにクセが出ますが、茹で汁でコーヒーや紅茶を作って飲むという方法もあります。どんな味になるかは試してからのお楽しみですが、食事とドリンクのセットメニューが完成するためお得感満載です。
茹でるだけ!超簡単にスープパスタを作ろう
料理に活用できるとはいうものの、手間がかかると中々実行できないのが人の性。今回、実際に茹で汁を活用してスープパスタを作ってみました。自然を守りつつ、美味しい山ごはんをいただきましょう。
■用意するもの
▼食料
パスタ:袋に入れて、一緒に塩も入れておくと便利
スープの素:茹で汁がとろっとするため、今回はポタージュ系をチョイス
ウインナー:トッピングはお好みでOK
▼調理道具
ガスバーナー:パスタとウインナーを茹でるため
コッヘル:深めのタイプがオススメ
①パスタを茹でる

②ウインナーを投入

③スープの素を入れる
パスタが茹で上がり、ウインナーにも火が通ったらスープの素をいれます。そして、クルクルと回せば徐々にとろみが出てきます。
④完成
後片付けも抜かりなく
茹で汁を使いきったから完璧…ではなく、後片付けまで含めての山ごはん。調理の際に鍋などをすすいだ水も捨てないようにすることが重要です。汚れはティッシュなどでサッと拭き取り、家についてからしっかり洗いましょう。山ごはんを考える際には、後片付けまでをイメージしておきましょう。
茹で汁を自宅に持って帰る方法
調理で出た茹で汁を活用しない場合は、自宅に持って帰って捨てましょう。ここでは2つの方法を紹介します。
①ペットボトルに入れて持ち帰る
誰でも簡単にできるのが、蓋がついたペットボトルやボトル缶などに茹で汁を入れて持ち帰る方法。持って帰った後は、家で処理をします。帰りの荷物が少々増えてしまいますが、特別なものを買い足す必要もないので、すぐに実践可能。
ホット用のペットボトルがあればそれがオススメ。もしなければ、冷ましてからペットボトルに移し替えましょう。
②茹で汁を固める
高吸水性樹脂で水分を固めて持ち帰るという便利な方法も。大量の水分を吸収してジェル状になる吸収性ポリマーを使えば、液漏れの心配もなく持ち帰ることが可能。手持ちの物を活用するなら、ティッシュなどに水分を含ませて袋に入れて持ち帰るというのも手です。
▼高吸水性ポリマー
高吸収性ポリマーは、おむつや女性用品、緊急用トイレなどに使われている素材。一度固めてしまうとある程度の圧力をかけても水漏れしないので、ザックの中に入れて持ち帰っても安心です。
環境に配慮した“真の登山者”を目指そう!
山の上で食べるパスタやラーメンは、普段の何倍も美味しく感じるもの。しかし、山での調理は登山者のモラルが試される場面でもあります。山を愛する私たち登山者が、環境を害してしまっては本末転倒。美しい自然を守っていけるよう、正しい後片付けの方法や無駄のない調理方法を身につけておくことが大切です。環境に配慮して、登山者を目指しましょう。