登山を始めるのに、どのくらいお金がかかるもの?

「登山に興味はあるけれど、登山用の靴やウエアを何も持ってない。いろいろ道具を揃えるとなるとなんだかすごくお金がかかりそう…」 そんな風に思っている人はいませんか? 登山経験者は、登山を始めようとしている人から「何が必要?」「道具にどのくらいお金がかかる?」と必要装備や費用について聞かれたことがあるかもしれません。今回は、そんな気になるお金事情を見ていきたいと思います。
登山デビュー! 初めての山歩きにはどんなものが必要?

登山を始めるにあたり、どんなものが必要なのでしょうか。夏山シーズンに日帰りで登山に行く際の基本的な服装と持ち物を見てみましょう。
夏山シーズン日帰り登山 |
【服装】 |
長袖シャツ(動きやすく汗がすぐ乾くもの) |
Tシャツ(動きやすく汗がすぐ乾くもの) |
トレッキングパンツ(動きやすく汗がすぐ乾くもの) |
帽子(紫外線対策やケガ防止) |
靴下(疲れ軽減やケガ防止) |
登山靴(疲れ軽減やケガ防止) |
リュック(日帰りであれば30L程度の容量) |
【持ち物】 |
レインウエア[上](山の天気は変わりやすい) |
レインウエア[下](山の天気は変わりやすい) |
防寒着(山では様々な場面で体温の変化が起こる) |
グローブ(岩場などでのケガ防止、防寒) |
ヘッドライト(下山が遅れてしまったら必要) |
地図・コンパス(道迷い防止) |
水筒(水分量=自重(体重+ザック)×5×行動時間) |
タオル(登山では汗だくになることも) |
ゴミ袋(ゴミの持ち帰りはマナー) |
ファーストエイドキット(応急処置をする道具) |
表で見るとなんだか多いように感じるでしょうか。これを全部揃えるとなると、ちょっと負担になりますよね。でも、大丈夫! 一気に揃えなくとも、登山デビューはできます。まずは家にあるもので代用できる場合は利用すること。登山装備は徐々に揃えていく人がほとんどです。では、まず用意すべきものは何なのでしょうか。
はじめの一歩! まずコレは買っておこう
初心者がまず最低限揃えておきたいのは、「ザック(リュック)」「登山靴」「レインウエア」の3つ。『登山の三種の神器』と言われています。それぞれ、なぜ登山用が必要なのか、どんな役割があるのかを見てみましょう。
ザック

夏山の日帰りであれば、30リットル程度の容量で十分に荷物を収納可能。「リュックなら家にある!」という人も多いかもしれません。しかし、ひとえにリュックと言っても、登山用のリュックには街用にはない機能がついていたりします。それは、いつもより重い荷物を背負って山道を長い時間、安全かつ快適に歩くための大事な機能。登山用の30Lのリュックは普段使いもしやすいので、1つあるとなにかと重宝します。
▼登山用リュックの特徴は? ▼30Lのザックを見てみよう!登山靴

登山では、舗装されていない不安定な山道を歩くことになります。登山靴の固いソールが足への負担を軽減。ミドルカットやハイカットの登山靴は足首をしっかり固定することができ、ケガ防止にも繋がります。
▼街用スニーカーはNG? ▼登山靴の選び方は?レインウエア

山の天候は変わりやすく、登山するなら必ず持っていくべきアイテムです。「雨さえ凌げればどんなレインウエアでもいいんでしょ!?」と思うかもしれませんが、防水機能だけでは足りないんです。登山中は雨の中でも運動をしているということを考えてみましょう。動きやすさはもちろんですが、きちんと汗を発散してムレないレインウエアを選ぶ必要があります。
▼はじめてのレインウエア、選び方のポイントは?『三種の神器』の相場は… How Much?

実際に『三種の神器』を揃えるとなったら、どのくらいのお金がかかるのでしょうか。登山用品を扱うブランドの中から、4ブランドをピックアップ。現在販売されている『三種の神器』を調査してみました。ザックは30~40L、登山靴はミッドカット、レインウエアは上下セットで販売している商品のざっくりとした平均単価です。レインウエアについては、モンベルのみ上下別の商品の上下トータル金額の平均となっており、他のブランドは上下別の商品を組み合わせると、セットのものよりもさらに単価が上がります。
登山の三種の神器[ざっくり平均価格] |
ザ・ノース・フェイス |
ザック(30~40L) | ¥23,000 |
登山靴(ミッドカット) | ¥21,000 |
レインウエア(上下セット) | ¥32,000 |
モンベル |
ザック(30~40L) | ¥17,000 |
登山靴(ミッドカット) | ¥22,000 |
レインウエア(上下別) | ¥28,000 |
コロンビア |
ザック(30~40L) | ¥11,000 |
登山靴(ミッドカット) | ¥20,000 |
レインウエア(上下セット) | ¥22,000 |
マムート |
ザック(30~40L) | ¥26,000 |
登山靴(ミッドカット) | ¥26,000 |
レインウエア(上下セット) | ¥43,000 |
『三種の神器』を揃えると、5~10万円。ブランドによってかなりの差があります。あくまで平均値なので、どのブランドも表の価格より抑えることは可能です。では、できるだけ出費を抑えるには、どうすればよいのでしょうか。
できるだけ出費を抑えたい! 購入するときの節約術は?
ここでは、購入の際の節約術を4つご紹介します。

【1】自分の登山スタイルに合ったものを選ぶ
登山用品の価格は、メーカーや素材、搭載している機能によって大きく変わります。まずは、自分がどんな登山をしたいのか、どんな山に登りたいかを考えてみましょう。それによって必要な機能は異なります。
“形から入る”のは悪いことではないですが、気をつけなければならない点も。「見た目のデザインだけで選んでしまい、ほしい機能がなくて失敗。」「高機能なものを選んでみたけれど、自分の登山スタイルにはハイスペック過ぎて出番がなかった…」なんて後悔をしないためにも、登山経験者や店員さんに相談するのが◎です。
【2】同じショップで購入する
ある程度登山用品をまとめて購入するのであれば、同じショップで購入した方が、ポイントが貯まるのでお得。貯まったポイントで新たな道具を購入できたりします。
【3】できるだけ安い商品を買う
前シーズンのモデルは値段が下がっている場合があります。アウトレットやセールでも探してみましょう。
▼全国のアウトレット情報を見てみよう!【4】レンタルの登山用品を利用する
どれを買っていいかわからない、もしかしたら趣味として続かないかもしれないという不安がある場合は、まずはレンタルで登山用品がどんなものなのかを試してみるのも一つの手。実際に使うことで、自分に合うもの、必要なもののヒントが見つかるはずです。
▼登山用品のレンタルショップを見てみよう!リスクを知っておくことが大前提! 家にあるものを代用しよう

「登山の三種の神器をひとまず用意するとして、他のアイテムはどうしよう…。」すべて揃えられれば理想的ですが、懐があたたかければの話。現実的にはなかなか難しいものです。家にあるものを代用することで、登山を始める初期費用を大いに抑えることができます。
ただし、
登山用品と普段使っているものの違いや、どんな山でも危険が潜んでいるというリスクを理解していることが大前提。手持ちのものを代用するときの注意点をみていきましょう。
ウエア類

登山ではいつもより重い荷物を背負って長い時間歩くことになります。しかも平坦な道ではありませんので、夏場は特にたくさんの汗をかくものです。汗でウエアが濡れた状態が長時間続くと身体が冷え、体温が奪われ続けると低体温症になるリスクも。そのため、汗冷え対策ができる速乾性・吸汗性のあるインナーを選びましょう。手持ちがない場合は、三種の神器と共に優先的に用意するのが◎。
▼ウエア選びの基本を確認!帽子

帽子はかぶらない人もいますが、紫外線対策やケガ防止のためにもあると良いもの。タオルや手ぬぐいを頭に巻いたり、ヘッドバンドを活用しても良いでしょう。いずれも汗をかいても蒸れず、濡れてもすぐに乾くものを選ぶのがポイントです。
▼ハットが1つあると便利!靴下

登山用の靴下には、登山靴と同様に疲れ軽減やケガを防止する大きな役割があります。手持ちの靴下を代用する場合は、できるだけクッション性や吸湿速乾性、肌触りなど優れた靴下を選ぶようにしましょう。
▼家にあるもので登山に行った体験談を参考に!防寒着

標高が100m上がれば気温が0.6度、風速1mで体感温度が1度下がると言われています。山では麓よりもグッと気温が下がりますので、防寒着を忘れずに。レインウエアを防寒着として使うことも可能です。
グローブ

絶対なければいけないアイテムではありませんが、ケガ防止や防寒に役立ちます。安価な軍手を代用する人もいますが、デメリットもあるので注意。軍手は手の保護ができる反面、保温性・防水性・操作性などが、登山用グローブに比べて劣ります。また、滑り止め加工が施されている軍手でも、雨などで濡れてしまうとかえって滑りやすくなります。
▼登山用グローブの機能って?ヘッドライト

万一、下山するのが遅くなってしまい、日が落ちてしまったら登山道は真っ暗。道迷いによる遭難に繋がる危険があります。登山初心者は、必ず暗くなる前に下山できるように、時間に余裕を持ったスケジュールを組むこと。代用できるライトが家にあるかもしれませんが、両手をあけられるヘッドライトがベストです。
地図・コンパス

地図とコンパスも道迷い防止のために必要。地図を無料ダウンロードできるサービスもあるので活用してみては。いざというときに「雨で濡れて地図がぐちゃぐちゃ…」なんてことのないように、ジップロックなどに入れて持っていきましょう。オフラインでも使えるスマホの地図アプリも存在しますが、充電が切れたら一巻の終わり。紙の地図も必ず携行すべし!
水筒
家にある水筒を使う場合は軽いものを選びましょう。ひとまずはペットボトルのままでも問題ないですが、ゴミはきちんと持ち帰ること。
▼登山にはどんな水筒が良い?ファーストエイドキット

家にある救急セットの中から必要なものをピックアップしてポーチへ。備えあれば憂いなしです。
▼キットの中身はどんなもの?出費以上に価値ある経験ができる! さぁ、登山を始めよう!

登山を始めるには、安全面に考慮した最低限の装備を揃える必要があります。ある程度の初期費用はかかりますが、命には代えられません。しかし、出費を抑える選択肢はあります。また、一度道具を揃えてしまえば数年愛用することができますし、たくさんの登山を経験することができるんです。「次はあれが必要だな~」「あの機能がほしいな~」なんて、徐々に道具を揃えていくことも楽しいですよ。ぜひ一歩踏み出して、登山を楽しみましょう。
▼登山をはじめて良かった!