アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
トレッキングポールって必要?

登山を始めたばかりの頃、装備を揃えていく段階で出てくる1つの疑問。それは、『トレッキングポールって必要?』 山で使っている人をよく見かけるけれど、自分も持っていた方がいいのだろうかと悩みませんか?
実際、登山を長く経験されている人の中でも、トレッキングポールの必要性については意見が分かれるところです。様々な考え方がありますので、今日はその一部をご紹介します。
YAMA HACK読者のみんなはトレッキングポールを使ってる?
YAMA HACK読者のみなさまにアンケートを実施。「トレッキングポールを使っていますか?」の質問に、975名の方が答えてくださいました。ご協力ありがとうございます。早速、結果を見てみましょう!
トレッキングポールを使っている人が6割!
588人/975人と半数以上の人が使っているという結果に。みんなの山行で、トレッキングポールが歩行のサポートや疲れ軽減に一役買ってくれているようです。
では、使っていない人は、なぜ使っていないのでしょうか。こちらも伺ってみたところ、大きく分けて5つの理由がありました。
①そもそも……「持っていない!」

まず、そもそも持っていないという人。それは使っていないはずですよね。「トレッキングポールが必要になるような山にまだ行っていない」という声が多く、その中には現在検討中、いつか購入したいと考えている人もいるようでした。安いものではないので、悩んでいるという方も。
必要なほど長い行程の登山をしていないから
日帰り登山しか経験がなく、あまり重い荷物を持たないので負担がかかることがないから
これから本格的に山登りを続けるようなら膝のためにも購入して使っていきたい
▼ポール選びの参考に
②一番多かった理由は……「自分には必要ない!」

体力や足腰に自信があるため、実際に登山をする中で「必要性を感じたことがない」ということでした。トレッキングポールを使わないことで、体幹の強化や身体のトレーニングを兼ねている人も多いようです。
体力、筋力的に必要ないから
バランス感覚や筋力を衰えさせないため
できる限り自分の身体一つで登りたい
▼鍛えたいあなたにおすすめの簡単トレーニング
③次に多かった理由が……「とにかく邪魔!」

トレッキングポールを実際に使ったことがある人に多かった感想です。どうしても手がふさがってしまうので、写真を撮るときに邪魔になったり、転んだときに怖い思いをした経験があるよう。また、手で岩をしっかりと掴んで登る岩場では、いちいちポールを収納するのが面倒という人が多数でした。
荷物になるから
両手はフリーな状態にしておきたいから
前は使っていたが最近は岩場が多い山を歩くようになったので
▼岩場ではポールをしまって引っかかり防止!
④持ってはいるけど……「時と場合によって!」

使わないことの方が多いけれど、もし足に怪我でもしてしまったら……そんな時のために一応持っていくという人も。また、登る山によっては使ったり、1本だけ持って行ったりと状況によって変えている人もいました。
持っていくけど使わないシーンが多い
雪山では使用するが、夏山では邪魔になるので使用しない
ロングトレイルの時には使う
編集部の中にも、下山中に今まで一度も痛くなったことなどないアキレス腱が急に痛くなり、ストックに助けられたという部員も。不測の事態に備えておくのもありかもしれません。
⑤使い方がイマイチ……「歩きづらい!」

ポールを上手く使いこなせなかったり、頼りすぎると、逆に疲れてしまうもの。ポールを動かすことにも意識が行くので、本来の自分の歩くリズムや歩幅とズレてしまって歩きづらいという人もいるようでした。
ポールがない方がリズム良く早く歩ける
うまく使えてないのか、使うと余計に疲れてしまう
ポールに頼って、腕を痛くすることが何度かあったので
せっかくポールを持っているのならば、効果を最大限に生かさないともったいない! 正しい歩き方を習得すると、グッと快適になるはずです。
▼この機に、使い方をマスターしましょう!
その他の理由

先述の理由以外では、登山道保護のために使用しないという意見も見られました。雪や岩場では滑らないように先端のゴムキャップを外して使用することもありますが、通常の登山道では、石突にゴムキャップをつけて、土壌や植生、木道を傷つけないように注意しましょう。
登山道が荒れてしまうため
登山道に余計な負担をかけないため
トレッキングポールを使っている人が多い一方で、使っていない人にも様々な理由があることが分かりました。もともとは使っていても、登山経験を重ねるうちに必要ないと判断したケースもありましたね。
では、トレッキングポールはどんな人にあると良いのでしょうか? 山岳ガイドに聞いてみました!
山岳ガイドに聞いた! トレッキングポールはこんな人に「あると便利」
数多くの登山者を見てきた山岳ガイド目線では、トレッキングポールがあると良いのはどんな人なのでしょうか。それは……
年配の人・脚力に不安がある人・膝が弱い人

トレッキングポールには、“歩行の推進力アップ”や“バランス保持”、“膝の痛みや疲労軽減”などの役割があります。踏ん張れる脚力がある人には必要ないかもしれませんが、体力や脚力に不安がある場合は、長く登山を続けるためにもあると便利。特に、膝が痛くなる人にとっては、下肢の筋力が必要になる下りで重宝します。バランスを崩すリスクが減り、つまずいた時に咄嗟につくことで転倒を免れる場合も。つまづくよりも体力を消耗しにくいこともポイントです。
【教えてくれた人】 熊田 光治(社団法人日本山岳ガイド協会認定国際ガイド/フランス国家認定アルパインガイド)
▼膝の痛みを抱えている人へトレッキングポールが必要か否か… 自分の身体と相談!

トレッキングポールは万人に必要なものではないけれど、あると頼りになり役立つもの。登山経験を重ねるうちに、「あったらいいな」「自分には必要だな」と感じる場面があれば、ストックの正しい使い方や歩き方をマスターした上で、取り入れてみるとより快適に登山ができるのではないでしょうか。
また、登る山のレベルや、登山道の状況によって使う・使わないを判断するのも1つの手。いずれにせよ、安全で快適に登山を楽しめることが一番ですので、自分に合ったスタイルを見つけてみてください。