No more苦手意識!岩場・鎖場登りのキホンを山岳ガイドに聞いてみた

2019/06/03 更新

鎖場や岩場が苦手で、登山中に出くわすとナーバスな気持ちになってしまう人もいます。さらに、高所恐怖症の人は精神的にも疲れて、無駄に体力を使ってしまうことも。せめて、自信を持って通過することができれば、楽しめるかもしれないのに。そこで今回は、現役山岳ガイドに鎖場・岩場を安全に通過する方法を教えてもらいました。少しでも苦手をなくして、もっと登山を楽しめるようにしましょう。


アイキャッチ画像撮影:高橋 典子

岩場・鎖場って苦手だなぁ・・・

鎖場が憂鬱な人の画像
撮影:YAMA HACK編集部
登山中に鎖場に出くわして「うわっ、鎖場かぁ・・・」と、ゲンナリしながら登ったことありませんか?登山経験はそれなりに積んでいるのに、岩場や鎖場に出くわすと妙に不安な気持ちって、ものすごくわかります。

特に、高所恐怖症の人は肉体だけでなく精神的にもスゴく疲れますよね。

安全に通過すること出来ますか?

出典:PIXTA
岩場や鎖場が苦手な人は、主に2つのパターン。

・高いところが苦手
・鎖の使い方や岩場の通過のしかたがわからない

苦手意識があると岩場・鎖場に出くわすと不安な気持ちが強くなって精神的に疲れてしまったり、力みすぎて体力を消耗したりします。
それではせっかくの登山を楽しめませんよね。そこで、少しでも苦手意識をなくすために、プロに岩場・鎖場を安心して通過する方法を教えてもらいましょう。

山岳ガイド直伝!岩場・鎖場を安全に通るためのキホン!

今回は、山岳ガイドとして活躍している山田 祐士さんに、岩場・鎖場を安全に上手く通るコツを教えてもらいました。
提供:山田 祐士

社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド。高校山岳部に入部して以来、20年以上に渡って山登りを続け、アルパインクライミングやフリークライミングの経験も豊富。
現在は、初心者~上級者まで幅広い登山者のガイドとして活躍中。岩場・鎖場のある山で好きなところは、山梨県の乾徳山(けんとくさん)。

基本の姿勢は三角形を意識しよう

鎖場での基本姿勢
撮影:YAMA HACK編集部
足を開いた時は手は近い場所。反対に手を広げた時は、足は近い場所など手と足で三角形を意識すると体が安定しやすくなります。

手足を動かす時に動かすのは1箇所ずつ

撮影:YAMA HACK編集部(赤丸は動かしているもの。オレンジは動かさない。)
動く時は両手両足の1点のみ動かして、残り3点を動かさないようにして身体を支えます。これは三点支持(三点確保)といい、岩場・鎖場での基本の動き方。上りでも下りでも同じです。
手や足を移動しやすい位置に合わせて1点ずつ動かし、少しずつ進みます。大切なのは三点支持で身体のバランスを保って移動すること。
実際に、三点支持を意識して登ってみました。
三点支持での移動
撮影:YAMA HACK編集部
しっかり足を乗せられる場所を探しながら、一箇所ずつ動かしていくイメージで登りましょう。
山田ガイド
三点支持のバランスを保つためには、歩幅は小さくしましょう。はしごを登るようなイメージでいくと、上手に通過できますよ!

下りは焦らず臨機応変に行動しよう。

撮影:YAMA HACK編集部(左:腰を下ろして足を出す姿勢、右:身体を岩に向けている姿勢)
下りでも三点支持と歩幅を小さくすることを意識しよう。手をサポートにしながら少しずつ移動しつつ、下りていきます。「段差の大きいところは腰を下ろして足を出す」、「不安な場所では身体を岩に向ける」など、状況に応じて臨機応変な行動を心がけましょう。腰を下ろす時は、お尻を岩につけるとザックがひっかかるなどして動きにくくなるので、足でしっかり立っておきましょう。
山田ガイド
岩場・鎖場は上りよりもどちらかというと下りが難しいです。高度感があり怖いと思うこともあるかもしれませんが、登りと同じく、足でしっかり支えながらゆっくり下りていきましょう。

これはNG!岩場・鎖場が苦手な人がやりがちな3つ間違い

続いては、岩場や鎖場が苦手な人がついやってしまっている行動をチェック。どれも、実はとっても危険な行動です。あてはまるものがあったら、すぐにやめましょう。

鎖でぷら〜んはNG!鎖やロープは補助的に使うべし

撮影:YAMA HACK編集部(左:腕の力だけで登っているNG姿勢、右:足の力で登り鎖は補助的に使用したOK姿勢)
岩場・鎖場で鎖やロープが設置されている場合、がっちり掴んで腕の力で登っている登山者を見かけることがあります。しかし、これはバランスが悪く非常に危険。鎖やロープはあくまでも補助的なものとして捉えましょう。
山田ガイド
腕の力で登るのではなく、足の力で上下に移動するイメージで登りましょう。もちろんバランスを崩した際や、取っ掛かりとして鎖やロープも活用します。

岩にベッタリはNG!上半身は岩から離した姿勢がGOOD

撮影:YAMA HACK編集部(左:岩にへばりついたNG姿勢、右:上半身が岩から離れバランスのとれたOK姿勢)
胸を張るようにして、重力に対して垂直に立つことがポイントとなります。 べったりと岩に張り付くと、上半身に力が入ってしまい、バランスが崩れてしまいます。また、足元も見えなくなり、より不安定でぎこちない動きになるためやめましょう。
山田ガイド
上半身が岩から離れていて無駄な力が入っておらず、膝にゆったりと伸縮性のある姿勢が理想です!

足が横位置はNG!足のスタンスは縦が鉄則

撮影:YAMA HACK編集部(左:足が岩に対して横になっているNGスタンス、右:足が岩に対して垂直になっているOKスタンス)
岩場・鎖場において、足場は滑落防止のためにも非常に重要。安定した足元にするためのスタンスは、岩に対して垂直に足を置くことです。岩に対して、足を横向きに置いてしまうと靴のグリップが減り、バランスが崩れやすくなり危険です。
山田ガイド
登山靴のグリップ力をしっかり使うためには、岩に対して垂直に足を置きましょう。また、靴を乗せにくい狭い足場では、足を逆八の字に開いて親指の内側で立つと安定しバランスが取りやすくなりますよ。

気になるのは技術面だけじゃない!岩場・鎖場Q&A

出典:PIXTA
登山技術以外にも、岩場・鎖場では気になることがありますね。山田ガイドに質問してみましょう。

高所恐怖症です。精神的な部分での鎖場・岩場通過のコツを教えてください!

山田ガイド
険しい場所が続く箇所で「怖い」と感じることは、正常な反応です。その「怖い」と感じる状況でも、登山の基本動作で活動できるようになることが大切。鎖や岩に対する正しい動きを理解することで、自分の行動に自信を持つことができ、精神的にもゆとりができます。そのために、スポーツクライミングに取り組むのも、岩に対する体の動かし方を知ることに繋がるのでお勧めです。また、例えば三点支持の手順を一度唱えるなど、自分なりのおまじないを作って、気持ちをリラックスさせるのも一つの手ではないでしょうか。

岩場・鎖場でスキル以外に注意すべきことってありますか?

山田ガイド
まずは安全確認を。そして、一箇所の鎖にすでに手を掛けている人がいる場合は、前の人が通行し終わるのを待ちます。必ず、鎖はひとりずつ、重複して鎖を掴まないように進みましょう。

山田ガイドおすすめの鎖場初心者に適した岩場・鎖場のある山(ルート)はどこですか?

山田ガイド
富士山塊の毛無山〜十二ヶ岳の縦走がおすすめです。どの鎖場も基本に忠実に登れば初心者でも楽しめます。岩場・鎖場だけでなく、山頂からは素晴らしい富士山などの絶景や、毛無山から十二ヶ岳へ向かう途中には吊り橋などもあり、ルート全体を通して楽しい登山ができますよ!

普段ソロで登山をしていますが、鎖場・岩場のある山にもひとりで行ってもいいですか?

山田ガイド
きちんと準備をし登山計画書を提出して行けば、初心者向けの山は問題ないでしょう。ただし、初心者がいきなりアルプスなどへ行くことは非常に危険です。必ず経験者に同行してもらいましょう。また、登山講習会などに参加してみるのもおすすめです。

正しい技術があれば、岩場・鎖場はもっと面白くなる!

出典:PIXTA
鎖場での緊張感と、そこを経て絶景を眺めたときの感動や達成感は登山の魅力のひとつ。いつかは日本のマッターホルン・槍ヶ岳へ!などの目標がある人も多いでしょう。アルプスなどの岩稜帯を歩く前に、まずは身近なところで正しい技術を身につけて、より登山を楽しみましょう。また、行き先によってはヘルメットを着用し、安全に山を楽しんでください。
山田ガイド
安全性をぐっと高めるには、岩場での経験を徐々に積み、正しい判断力を実際に身に付けていくことが大切ですよ!

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高橋 典子
高橋 典子

ハイクとキャンプをこよなく愛するフリーライター、高橋です。次はどこに行こうか地図を眺めるのが日課。人生のモットーは自由であること!

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